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演説
杉浦副大臣演説

国連小型武器会議における杉浦外務副大臣演説

平成13年7月9日

議長、
御列席の皆様、

 まず初めに、カミロ・レイエス・コロンビア在ジュネーヴ国連常駐代表閣下に対し、国連小型武器会議の議長就任を心からお祝い申し上げます。また、カルロス・ドスサントス・モザンビーク国連常駐代表閣下が会議の準備委員会において果たされたご尽力に敬意を申し上げます。

 残念なことに、21世紀を迎えた今日でもなお、世界各地で様々な紛争が続いております。民族や宗教に基づく敵意を人々の心から取り除くことができるかどうか、私達の英知を問われています。過剰に蓄積された小型武器の存在によって、こうした敵意はいとも簡単に武力紛争へと形を変え、人々の生命を奪い、心に癒しがたい傷を残すに至っております。

 毎年50万人以上が小型武器の犠牲になっていることからも明らかなように、小型武器は「事実上の大量破壊兵器」と言えます。犠牲者の実に8割以上は女性や子供であります。市民の武装化や児童兵の問題に見られるように、小型武器の拡散は、「人間の安全保障」を脅かしております。まさに「平和を破壊する武器」である過剰に蓄積された小型武器や、小型武器の非合法取引に取り組んでいくことが必要であります。

 今回の会議は、小型武器問題に関する初の国連会議であるという、大きな歴史的意義を有しており、この会議を成功に導かねばなりません。そのためには、まず、国際社会が小型武器問題に取り組むという強い政治的意志を表明するものでなければなりません。また、小型武器問題の解決のための規範設定及び具体的プロジェクトに向けて、コンセンサスで行動計画を採択することも重要であります。さらに、会議の成果を踏まえたフォローアップを着実に実施していかねばなりません。

 我が国は、軍備管理・軍縮に対する取り組みを積極的に推進して参りました。我が国は、いかなる国への武器輸出も認めていないほか、市民による小型武器の保有及び使用を厳しく規制しております。我が国は、より多くの国がこうした規制を行うことを希望しております。

 我が国は、1995年以来、小型武器問題に取り組んでおり、この会議も我が国提出の国連総会決議により、開催に向けた道筋がつけられました。また、国連政府専門家パネル及び国連政府専門家グループの議長を務めてきた堂之脇外務省参与が、この会議の副議長に就任しております。

 小型武器は、社会経済開発、人道支援、紛争終了後の復興の大きな阻害要因となっております。したがって、小型武器がもはや必要とされないような社会を作り上げることが不可欠であると考えます。このような考えに基づき、わが国は、武器供出の代わりに開発、社会秩序の改善を支援する小型武器回収プロジェクトをカンボディアにおいて着手致しました。もっとも、何よりも必要なのは、小型武器のない社会を築きたいという被害国、被害地域の人々の「熱意」であります。国際社会は、その「熱意」に応える形で、支援を提供していくべきであります。

 我が国は、他の関心国と協力しながら、小型武器回収プロジェクトを実施して参ります。例えば、EUと協力して、カンボディアのプロジェクトを拡大します。また、バルカン半島、アジア太平洋諸国、ニジェールをはじめとするアフリカ諸国などにも、対象地域を広げていく考えであります。被害地域を特定した後、最善の支援の仕方を考え、調査・研究を経た上で、具体的プロジェクトを実施して参ります。

 更に、我が国は、国連軍縮研究所(UNIDIR)に対し、過去の小型武器回収プロジェクトの成功、失敗の調査、研究を委託し、今後の小型武器回収プロジェクトの道筋を作っていきたいと考えております。

 我が国としては、今後とも小型武器問題の解決に向けて積極的に取り組んで参ります。我が国は、このために、既に国連小型武器基金に187万ドルを拠出し、カンボディアへの国連調査ミッションの派遣、ARF通常兵器信頼醸成セミナーの開催等を実施してきました。更に、わが国はこの基金に90万ドルを追加拠出し、小型武器問題の解決に尽力して参ります。

 更に、本会議の成果を踏まえた各国、各地域の取り組みを議論するフォローアップ会議の開催が重要であると考えており、我が国において、明年初頭を目途に、こうした会議を開催する所存であります。

議長、
御列席の皆様、

 冒頭、私は、21世紀は、人類の英知を試す世紀であると申し上げました。国連小型武器会議は、まさに私達の英知を試しております。この会議の成功を通じて、小型武器によってもたらされる問題に立ち向かう決意を示そうではありませんか。そして、この会議で示されたその英知を、後世にも示そうではありませんか。

 御静聴ありがとうございました。



副大臣 / 平成13年 / 目次


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