共同新聞発表
- 日本政府の招待により、セルソ・アモリン・ブラジル外務大臣は、3月24日から26日まで日本を公式に訪問した。
- アモリン外務大臣の今次訪問は、国際的枠組を強化するために両国の協力を多様化かつ緊密化させることを通じ、伝統的な日伯両国関係の重要性をあらためて示すものとなった。
- アモリン外相は、小泉純一郎総理を表敬し、ルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ大統領の親書を手交した。その中で、ルーラ大統領は、小泉総理がブラジルを訪問するよう招請した。アモリン外相は、小泉総理に対して、ルーラ政権発足以来のブラジルの現況について説明した。
- アモリン外相は、外務省において、川口順子外務大臣と有意義な会談を行うと共に、他の日本側及びブラジル側の出席者とともに夕食会に招かれた。
- 外相会談では、友好的雰囲気の中で、二国間関係、国際問題及び地域情勢の主要問題につき話し合われた。
- 両国政府は、2002年の外相会談で一致したハイレベル政策対話のメカニズムを設置することにより両国外務省間の政治対話を強化させることにつき意見の一致を見た。
- 両国間の民間経済協力関係について、両外相は、ブラジル工業連盟(CNI)と日本経団連との間の日伯経済合同委員会の取り組みを一層重視することが重要である点につき認識が一致した。アモリン外相は川口外相に対し、次回の同委員会会合の際に、経済界同士の話し合いと共に両国政府で話し合いの機会を持つことが適当である旨強調した。
- 在日ブラジル人問題について、アモリン外相は、在日ブラジル人代表との会合に言及し、教育の分野において、特に、日本の当局が、ブラジル教育省により既に認められたブラジル人学校生徒が日本の大学に進学できるよう認可したことなどの進展があることに満足の意を表した。更に、ブラジル人子弟が日本の公立学校に就学するにあたっての便宜、在日ブラジル人学校の各種学校としての認可、日本語及び日本文化担当教師のブラジル人学校への派遣、ブラジル人教師への査証の付与簡素化などの点における今後の改善につき期待を表明した。
- 川口外相は、2008年の日本人のブラジル移住100周年に言及した。アモリン外相は、両国の継続的な人的・知的交流の強化が重要であることに鑑み、この出来事の重要性を強調し、2008年の記念事業が成功するようブラジル政府が協力する意向を表明した。
- 両外相は、地球環境問題と持続可能な開発について、より緊密かつ長期的な二国間協力の機会として、双方が関心を共有する課題についての議論を念頭に、二国間対話を開始することを確認した。また、両外相は、本年9月を目途に、日伯共同議長の下で、気候変動の将来の行動に関する非公式会合を行うことを確認した。
- 両外相は、現下の様々な国際情勢認識を行う中で、特に現在のイラク情勢、中東紛争、その他の緊張地域の紛争につき意見交換を行った。両外相は、両国がこれまで中東和平当事者へ行ってきた様々な建設的働きかけを想起し、その文脈で、アモリン外相はルーラ・ブラジル大統領による19世紀以降初めてのブラジル国家元首の中東訪問を想起した。両外相は、中東における公正で、包括的、恒久的和平が、国連安保理の決議に基づいて、早急に達成される必要性につき見解が一致した。
また、両外相は、イラクの主権回復、イラクの復興・支援が引き続き重要であるとの認識で一致した。
- 両外相は、世界の様々な場所において、テロが激化していることを強く非難し、卑劣
なテロリストの蛮行によって無辜の生命が奪われていることに哀悼の意を表した。
- 両外相は、国連の場における協力を両国間で進めていくことを確認するとともに、国連改革、特に、安保理改革の現状につき真剣に議論した。日本とブラジルは、アナン事務総長の提唱した、有識者による「脅威、挑戦及び変革についてのハイレベルパネル」の設置を強く支持した。両外相はこのパネルが、国連が現在の課題により良く対応していくことを可能にする機構改革案を提案することへの期待を表明した。また、両国からこのパネルに参加している緒方貞子氏及びバエナ・ソアレス大使の貢献を強調した。両外相は、可能な限り2005年の国連憲章60周年までに、国連改革、特に安保理改革を進めていくために国際社会が行動していくことの必要性につき認識を共有した。
両外相は、日伯両国が相互に、また、利害の共通する他の国々との間で、国連安保理の効率性、代表性の拡大をめざして協力を継続していくことを強調した。その意味において、安保理の新たなメンバーには先進国とともに途上国も含むべきであるとの見解をあらためて表明した。ブラジルと日本は、共通のビジョンに基づき、安保理改革において進展を促進することを目的として、協力を深めていく決意を確認した。
- 両外相は、WTOドーハラウンドの交渉について意見交換した。両外相は、WTOドーハ開発アジェンダ交渉について、2004年に交渉を進展させることの必要性に鑑み、年央までに、ドーハアジェンダの主要テーマである、農業及び非農産品市場アクセスについて枠組み合意を行うべく早急に交渉を強化していくことで認識が一致した。
- 両外相は、両国間の資金協力、二国間及び第三国に対する技術協力が活発に行われていることに同慶の意を表し、これらが二国間関係における重要な要素であることで見解が一致した。
- 両外相は、文化交流を一層進めることの重要性で見解が一致し、この意味において、今後行われる重要な文化行事を後押ししていくことを表明した。
- アモリン外相は、上記の公式会談に加え、河村建夫文部科学大臣・日伯友好議員連盟事務局長、緒方貞子国際協力機構理事長、篠沢恭介国際協力銀行総裁と会談し、また、槍田松瑩日伯経済委員長主催の昼食会において、ブラジル国内の変化及び国際社会への新たな参画に関する講演を行った。
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