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小泉総理大臣


小泉総理大臣のオーストラリア、ニュー・ジーランド訪問
(概要と評価)

平成14年5月3日

 4月30日~5月3日、小泉総理大臣はオーストラリア及びニュー・ジーランドを訪問したところ、その概要及びとりあえずの評価は以下のとおり。

1.日程

4月30日 午後  キャンベラ着
5月1日 午前  ハワード首相との日豪首脳会談(少人数会合及び拡大会合)

昼  ハワード首相主催昼食会

午後  無名戦士の墓献花
戦争記念館視察
キャンベラ発
シドニー着
カー・ニューサウスウェールズ州首相による表敬
アジア協会主催総理講演会及び晩餐会
5月2日 午前  シドニー発

午後  ウェリントン着 クラーク首相との日・ニュージーランド首脳会談
イングリッシュ国民党党首による表敬
クラーク首相主催晩餐会
5月3日 午後  ウェリントン発、帰国


2.概要

(1)日豪首脳会談

 5月1日、日本時間午前8時20分から約1時間20分(少人数会合40分、拡大会合40分)にわたり、ハワード首相との間で首脳会談を行ったところ、概要以下のとおり。会談後、共同プレス・ステートメントが発表された。

(イ)テロ対策
 両首脳はテロ対策につき国際的連携が必要なことを確認し、両国間の協力を約束した。
(ロ)東チモール
 総理より、豪州の東チモールでの役割を評価しており、対東チモール協力のあり方を豪州とともに考えていきたい、と述べたのに対し、ハワード首相は、日本が域内安全保障上の役割を果たすことを理解しており、日本の東チモールに対する貢献を大いに歓迎する旨述べた。
(ハ)朝鮮半島
 総理より、朝鮮半島の安定のため、日米韓との密接な連携に加え、北朝鮮と国交を持つ豪州とも協力したい、と述べたのに対し、ハワード首相は喜んで協力したい、と述べた。
(ニ)東アジア
 総理より、「共に歩み共に進むコミュニティ」構想と豪州がその中心的メンバーとなることへの期待を説明し、ハワード首相から強い支持を得た。
(ホ)日豪関係全般
 総理より、日豪関係は大変順調であり、価値観を共有する両国で創造的パートナーシップを築いていきたい、と述べたのに対し、ハワード首相は、経済、域内安全保障面でも密接な二国間関係を一層強化したい、と述べた。
(ヘ)日豪経済連携
 ハワード首相より、自由貿易協定を将来の目標とし、一歩一歩進めていくべきとの意見表明があり、総理よりは、経済連携を視野に置きながら、現段階では様々なレベルの協議を行って実績を一歩一歩積み上げ、これが将来自由貿易協定につながっていけば良い、と応答した。なお、この部分について共同プレス・ステートメントでは「日豪間のより深い経済的なつながりのためのあらゆる選択肢を探求するべくハイレベル協議を開始することで合意した」とされている。
(ト)京都議定書
 ハワード首相より、京都議定書に米国及び途上国の双方が加わることが重要である、と述べたのに対し、総理は、議定書への豪州の参加を期待しており、日豪間で協調していくことが重要である、と述べた。

(2)シドニーにおける総理スピーチ

 1日夜、小泉総理はシドニーでのアジア協会主催講演会において「日本と豪州、創造的パートナーシップに向けて」と題するスピーチを行い、(イ)日本と東アジア地域、世界経済の将来のために大胆な構造改革を推進する、(ロ)東アジア地域における「共に歩み共に進むコミュニティ」の構築に向け豪州の参加とアジアの実情に配慮した具体的な協力(経済連携、東チモール等)の積み重ねを呼びかける、(ハ)テロ対策、環境、WTO等グローバルな課題における日豪協力を推進したい、と述べた。このスピーチの最中に何度も拍手があり、終了後活発な質疑応答もなされ、非常に有意義な会合となった。

(3)日・ニュージーランド首脳会談

 5月2日、日本時間12時5分から約1時間にわたり、クラーク首相との間で首脳会談を行ったところ、概要以下のとおり。

(イ)グローバルな課題(テロ対策、アフガニスタン、環境)
 両首脳はテロ対策での国際的な協調、対アフガニスタン支援で一致した。
 クラーク首相の質問に応え、総理より、今国会期間中に京都議定書を締結するとともに、米国に参加を粘り強く働きかけていく、ニュー・ジーランドの締結を希望する、科学技術の進歩により環境と開発の両立は可能と考える、と述べた。これに対しクラーク首相は、8月までに締結したい、技術面も含め日本・ニュー・ジーランド両国で環境保護のため協力していきたいと述べた。
(ロ)東アジア
 総理より「共に進み共に歩むコミュニティ」構想を説明し、ニュー・ジーランド側の参加への期待を表明した。クラーク首相は、ニュー・ジーランドは欧米ではなく東アジアの一部である、として、総理の構想を強く支持した。
(ハ)二国間関係
 クラーク首相より、2001年4月の訪日の際に提案した5分野(科学技術、観光、林業、人的交流、教育分野)での関係緊密化を進めていきたい、と述べたのに対し、総理は、ニュー・ジーランド側の考え方を真剣に受けとめ一層交流が拡大できるよう進めたい、と述べた。またクラーク首相より、日本・ニュー・ジーランド間の自由貿易協定は望ましいが、現時点では難しいと理解しており、一つ一つの具体的交流を進める方が良い、と述べた。
(ニ)地域情勢(東チモール、朝鮮半島)
 両首脳は、国連PKOへの貢献と東チモールの国造りに対する支援について一致した。
 総理より、国際社会との対話と協調の利益について国交を有するニュー・ジーランドから北朝鮮に説明頂きたい、と述べたのに対し、クラーク首相は是非そうしたいと応えた。
(ホ)その他(構造改革、捕鯨、漁業、放射性物質輸送)
 総理より、ニュー・ジーランドにおける改革の是非について質問したのに対し、クラーク首相より、政府は経済的合理性とともに社会的公平を考えるべきであり、現政権は両者のバランスをとりつつ進めている、と述べた。
 クラーク首相より捕鯨、漁業、放射性物質輸送の問題について言及があったのに対し、総理は、両国で立場の異なる問題が基本的に良好な二国間関係を阻害しないよう、建設的に取り組みたい、と述べた。

3.とりあえずの評価

(1)2002年1月の総理のシンガポール演説に示された東アジアにおける「共に歩み共に進むコミュニティ」構想について豪州、ニュー・ジーランド両国の強い支持が確認され、今後具体的な協力を積み重ねていくとの方向性が示された。
(2)グローバルな課題(テロ対策、京都議定書等)や域内的課題(東チモール、朝鮮半島等)につき共通の考え方が確認され、協力が約束されたことは、共通の価値観に立脚するわが国と両国との外交関係強化に資した。
(3)経済連携のあり方について、日豪間では自由貿易協定を将来の課題として視野に入れつつ、当面はあらゆる選択肢について協議を積み重ねることとなった。日本・ニュー・ジーランド間では、ニュー・ジーランド側が提案している5分野での関係緊密化も含めて具体的な交流を進めていくこととなった。このように二国間経済関係強化の方向性が明確化されたことは有益であった。
(4)特に豪州との間では、21世紀初頭の新しい国際環境を踏まえ、ダイナミックかつ前向きな関係を構築することが約束され、具体的協力内容とともに「日豪の創造的パートナーシップ」として発表されたことは、日豪関係の大幅な増進に資するものである。


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