日豪首脳会談
共同プレスステートメント
「日豪の創造的パートナーシップ」
(仮訳)
(この演説は英語で行われました。以下はその和文仮訳です。)
英語版はこちら(原文)
本日、小泉総理大臣とハワード首相は、民主主義、自由、法の支配、市場経済という両国が共有する基本的価値観を立脚した長年にわたる緊密な結びつきと協力から多大な利益と利点が生じていることを認識した上で、21世紀初頭の新しい国際環境における多大な機会と課題を最大限に活用するために、ダイナミックで前向きの関係を構築することを約束した。
グローバルな課題
- 両首脳は、テロリズムとの闘いにおいて国際社会の結束が重要であることを認識し、日豪それぞれがこの努力に対して行っている貢献の価値を認めた。また、この関連で、両首脳は、アフガニスタンを支援していく決意を再確認した。
- ハワード首相は、日本が国連安全保障理事会常任理事国になることについて豪州が強く支持し続けていることを再確認した。
- 両首脳は、グローバルな貿易と投資の更なる自由化を促進するとの決意を表明し、WTO新ラウンド貿易交渉の成功が極めて重要であるとの認識を示した。
- 両首脳は、重大な環境問題である気候変動に対して、環境と経済の両方に配慮しつつ取り組む決意を再確認した。日本は、京都議定書の締結の過程にある。豪州は京都議定書の目標の達成に引き続き努力する。両首脳は、全ての国を含む地球規模の気候変動のレジームを構築するために協力する意志を強調した。
- 両首脳は、持続可能な開発の目標を共有し、ヨハネスブルク・サミットの成功に向けて引き続き力を合わせていくとの意図を表明した。
地域的な協力
- 両首脳は、東チモールの大統領選挙が平和裏に終了したことを歓迎した。特に、豪首相は、国連平和維持活動に対する日本の貴重な貢献を歓迎した。両首脳は、現地における国連平和維持活動の成功の確保を含む、独立移行期及び独立後の東チモールに対し力を合わせて支援していくとの決意を確認した。
- 両首脳は、APEC、東アジア金融危機、ASEAN地域フォーラム、カンボジアや東チモールでの平和維持活動における強固な協力の実績を踏まえて、地域の課題に対応すべく引き続き力を合わせていくとの新たな決意を確認した。
- ハワード首相は、小泉総理が2002年1月14日にシンガポールにおいて提唱した、「共に歩み共に進むコミュニティ」のビジョンを歓迎した。小泉総理は、豪州がこのコミュニティの中心的なメンバーとなって欲しいとの期待を改めて表明し、この面で豪州が行うことができるであろう貢献について強調した。両首脳は、地域の多様性や域内各国の特定のニーズに配慮すべきであると述べた。さらに、両首脳は、既存の枠組みによる地域協力への貢献を高く評価した。
- 両首脳は、人の密輸やマネーローンダリング等の国境を越える問題について、効率的に対応できるよう力を合わせることの重要性を強調した。この関連で、小泉総理は、2002年2月にバリにおいて、インドネシアと共同で「人の密輸に関する地域閣僚会合」を成功裡に開催したことにつき豪州を祝福した。
- 両首脳は、両国がそれぞれ米国と結んでいる中核的な同盟に留意しつつ、アジア太平洋地域の安定を支えている米国の関与と存在に対して強い支持を与えた。両首脳は、地域の安全保障環境を維持するために力を合わせていくことを確認した。
二国間関係
- ハワード首相は、小泉総理の構造改革への取り組みに強い支持を表明し、強い日本経済が豪州や世界各国にとって利益になると述べた。小泉総理は、豪州の力強い経済成長は構造改革の成果を示していると述べた。
- 両首脳は、2001年4月にシドニーで開催された「日豪21世紀会議」での幅広い提言に示されているように、二国間関係全般にわたって協力が推進されるとの勇気づけられる見通しがあることに留意した。
- 両首脳は、地域の経済発展やグローバル化への対応を含む、日豪両国経済に起こっているダイナミックで構造的な変化を反映するために、二国間経済関係をさらに強化するよう努力していくとの決意を再確認した。両首脳は、日豪二国間の貿易と経済のつながりを強化するための方策に関する民間からの提言と提案が最近提出さたことを歓迎した。両首脳は、両国政府が、日豪間の深い経済的なつながりのためのあらゆる選択肢を探求するべくハイレベル協議を開始することで合意した。
- 両首脳は、戦略的な利益に基づく、安全保障及び防衛問題に関する両国間の対話と協力が拡大しつつあることを歓迎した。
付属文書
小泉総理とハワード首相が発出した共同プレスステートメントに則り、両国政府は日豪創造的なパートナーシップを促進させるべく以下の事項につき行動していくこととなる。
グローバルな課題
- テロリズム
テロ対策のためのハイレベル協議。
- エネルギー
エネルギー分野における二国間及び国際エネルギー機関(IEA)やAPECなどの多国間の機関やフォーラムでの協力強化。
- 環境
京都議定書を含む気候変動及び共通に関心を有する他の国際的な環境問題を議論し、また、気候変動に対処する方策に関する日豪間の実際的な協力を探求するための近い将来の日豪間の環境大臣会談。
- 国連
アジア太平洋地域の正当なニーズに関する国連の適切な関与を維持することに特に焦点を当てた協力の強化。
地域の平和維持活動に関するより緊密な協力。
ブラヒミ勧告の実施並びに安保理及び他の機関の改革の必要性に関する継続的な協力。
地域的な課題
- 国境を越えた犯罪
(1) |
人の密輸
地域各国から要請されたプロジェクトに関する共同支援の可能性を含めて、2002年2月にバリで開催された地域閣僚会合の成果をフォローアップするための共同努力。
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(2) |
マネーローンダリング
アジア太平洋マネー・ローンダリング対策グループ(APG)及び金融活動作業部会(FATF)における一層緊密な協力。 |
- APEC
WTOアジェンダ、知的所有権の強化、経済法制インフラ及び競争政策の強化、ビジネスマンの移動の促進、電子商取引、特に電子税関とペーパーレス貿易の促進を含むAPECの課題の促進のためのより緊密な協力。
- 開発協力
地域内の開発能力の向上に関するより緊密な協力。
地域のニーズに対応した能力向上への支援を含む南太平洋地域における開発援助に関する協議と調整。
二国間関係
- 政治対話
年1回の首脳級会合と定期的な閣僚級の会合の継続的な開催。
- 経済協議
グローバル、地域間、二国間の経済問題を協議するための次官級のハイレベル経済協議及び課長級の作業部会。
- 安全保障
日本の防衛庁長官の可能な限り早期の訪豪。
安全保障・防衛問題に関するお互いの取り組みに関する協力と理解を深めるための年1回の協議。
研究者及び個人の立場で参加する政府関係者による1.5トラック安保対話の2002年後半の実施。
- 教育
今月東京にて開催される、日豪高等教育フォーラムを支持。
JETに関する日本の考え方に留意し、豪州における日本語教育を強化するための方策の模索。
- 科学技術
(1) |
両政府が開始したシンポジウムを通じた、より緊密な研究、協力や共同事業のための科学技術に関する幅広い対話。
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(2) |
バイオテクノロジー
奈良で開かれ、日豪のバイオ関連企業が一同に会し、相互の利益を探求する第5回日豪薬物研究開発シンポジウムへの支援。
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(3) |
宇宙
2002年に予定されている豪州の衛星の宇宙開発事業団(NASDA)による打ち上げを含む宇宙分野における日豪の協力の拡大。 |
- 姉妹都市
日豪姉妹都市関係成立40周年を記念する関係機関主催の全国レベルの催し。
- 日豪21世紀会議
2001年シドニーで開催された日豪21世紀会議の適切なフォローアップ。
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