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閣僚宣言(仮訳)
世界貿易機関閣僚会議 於ジュネーブ
平成10年5月18~20日
1.今次第2回WTO閣僚会議は、多角的貿易体制の設立50周年記念式が開催されているという同体制にとって特に意義深い時期に開催されている。我々はこの機会に、関税及び貿易に関する一般協定及び世界貿易機関協定の前文に具現化された目的に従って、多角的貿易体制が、貿易の自由化及び拡大を促進し、国際貿易関係の実施のための枠組みを提供することにより、過去半世紀に亘り成長、雇用及び安定に重要な貢献を行ってきたことに敬意を表する。しかしながら、これらの成果を全世界の人々が十分にかつ平等に共有できるようになるために、更に為すべきことがあることにつき我々の意見は一致している。2.我々は、多角的な規則に基づく貿易体制が極めて重要であることを確認する。我々は、我々がシンガポールで行ったコミットメント及び評価を再確認し、また同会議以来、既存の協定及び決定に基づく作業が重要かつ新たな進展をもたらしていることに留意する。特に、我々は、基本電気通信及び金融サービス交渉が成功裡に終結したことを歓迎し、情報技術合意が実施されたことに留意する。我々は物とサービスの貿易の漸進的な自由化を達成するための我々のコミットメントを新たにする。
3.この50周年は、多くのWTO加盟国の経済が金融市場の混乱がもたらした困難を経験している時期に到来している。我々は、この機会に、全ての市場を開放的に維持することが、これらの困難に対する持続的な解決策の重要な要素の一つでなければならないことを強調する。右を念頭に、我々は、如何なる保護主義的措置の使用も拒否し、IMF及び世界銀行におけると同様に、WTOにおいても、開放的で規則に基づく貿易体制が、あらゆる開発段階の経済において安定した成長をもたらすための貢献を最大限にするという観点から、国際的な経済政策立案の一貫性を高めるために共に作業を行うことに合意する。
4.我々は多角的貿易体制に対する支持を高めるために、多角的貿易体制の恩恵についての一般の理解を高めることの重要性を認識し、この目的に向けて努力することに合意する。この関連で、我々はWTOの活動の透明性の向上の方途につき検討する。我々は、更に、持続的経済成長及び持続可能な開発の目的に向けての努力の強化を継続する。
5.我々は多角的貿易体制の恩恵が可能な限り広範に行き渡ることを確保するためのコミットメントを新たにする。我々は、多角的貿易体制が開発途上加盟国の特定の貿易関連の関心及び開発のニーズに応じた貢献を行う必要があることを認識する。我々は、多角的貿易協定及び関連の閣僚決定における開発途上加盟国、とりわけ後発開発途上国を優遇するための特別規定の適用を見直すため、貿易と開発に関する委員会において既に進行中の作業を歓迎する。
6.我々は、後発開発途上国及び経済規模の小さないくつかの国の疎外化を引き続き深く懸念しており、これらの国の多くがが直面している慢性的な対外債務問題により複雑化されているこの問題について迅速に取り組む必要性があることを認識する。この関連で、我々は、シンガポールで合意した、後発開発途上国のための行動計画を包括的に実施するために、WTOが他の国際機関と協力してとったイニシアチブ、特に1997年10月にジュネーブにて開催された後発開発途上国に関するハイレベル会合を通じて発揮したイニシアチブを歓迎する。我々はまた、右イニシアチブを極めて重視しており、そのフォローアップに関する事務局長の報告を歓迎する。我々は、後発開発途上国が輸出する産品に対する市場アクセス条件を、可能な限り広範かつ自由化された形で引き続き改善することを約束する。我々は、加盟国に対し、各国がハイレベル会合で約束した市場アクセスに関するコミットメントを実施するよう求める。
7.我々は、また、シンガポール閣僚会議以降に加入したWTO加盟国、すなわち、コンゴー共和国、コンゴー民主共和国、モンゴル、ニジェール及びパナマを歓迎する。我々は現在加入交渉中の31の申請国・地域についての進展を歓迎しまた、加入手続が可能な限り迅速に進展することを確保する決意を新たにする。我々は、WTOへの加入に当たっては、加入申請国・地域側において、WTOの諸規則及び諸原則を十分に尊重すること、並びに意味のある市場アクセスについてのコミットメントが必要であることを想起する。
8.WTO協定及び閣僚決定の完全かつ誠実な実施は、多角的貿易体制の信頼性のために絶対必要であり、また世界のあらゆる地域においてグローバルな世界貿易の拡大、雇用創出の促進及び生活水準の向上のモメンタムを維持するため不可欠である。我々が第3回閣僚会議を開催する際、我々は、個別の協定の実施と協定の目的の実現についての評価を更に追求する。その評価においては、特に、実施に当たって生じた問題及びその結果として加盟国の貿易及び開発の見通しに及ぼす影響がその対象となろう。我々は、我々が合意した、見直し、交渉及びその他の作業のための既存のスケジュールを尊重するコミットメントを再確認する。
9.我々は、世界貿易機関を設立するマラケシュ協定は、WTOは同協定の附属書に含まれている協定で取り扱われる事項に係る多角的貿易関係に関する加盟国間の交渉のための場を提供する旨、及びWTOは、また、閣僚会議の決定するところに従い、多角的貿易関係に関する加盟国間の追加的な交渉のための場及びこれらの交渉の結果を実施するための枠組みを提供することができる旨規定していることを想起する。上記第1項から第8項に鑑み、我々は、既存の協定の完全かつ誠実な実施を確保し、第3回閣僚会議への準備を行うため、一般理事会の指示の下、一つの過程が開始されることを決定した。この過程は、我々が第3回閣僚会議において決定を行えるように、一般理事会がWTOの作業計画(全加盟国の様々な関心及び懸念に応えるために十分広範で、WTOの枠組みの下で行われる更なる自由化を含む)に関する勧告を提出することを可能とする。この観点から、一般理事会は、コンセンサスによる意思決定の原則を十分に尊重しつつ、一般理事会の作業が完全かつ時宜を得た形で完了することを確保するため、1998年9月に特別会合を開催し、さらにその後は定期的に会合する。一般理事会の作業計画は、以下を含むものとする。
- (a) 次の事項に関する勧告
- (i) 加盟国によって提起されるものを含む、既存の協定及び決定の実施に関する問題
(ii) 既にマラケシュにおいてマンデートが与えられた交渉の予定通りの開始を確保すること
(iii) その他の既存の協定及びマラケシュにおいて採択された決定で既に規定されている将来の作業- (b)シンガポールにおいて開始された作業計画に基づくその他のあり得べき将来の作業に関する勧告
(c)後発開発途上国に関するハイレベル会合のフォローアップに関する勧告
(d)加盟国間の多角的貿易関係に関して加盟国から提案され、合意されるその他の事項の検討の結果による勧告10.一般理事会は、また、上記の勧告から生じる更なる作業計画の組織及び運営(作業の範囲、構成及び時間的枠組みを含む)に関する決定のための勧告をコンセンサスに基づき第3回閣僚会議に提出する。右勧告はその作業計画が速やかに開始され、終了することを確保するものである。
11.以上の作業計画は、全ての加盟国間の利益の全体的な均衡の達成を目指すものとする。
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