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国連

ミレニアム・ミレニアム・サミット及びミレニアム総会
(第55回国連総会)に向けた我が国の立場


平成12年8月

1.改革による国連の強化

 21世紀に国際社会が直面する諸問題に国連がより効果的に対処できることを確保するため、改革を通じた国連の機能強化が強く求められている。ミレニアム・サミット及び第55回総会では、こうした国連の改革について明確なヴィジョンが示されることが、国際社会の国連に対する信頼を維持し高めていく上で必要である。

(1)国際の平和と安全の分野では、国連に対する国際社会の期待がますます高まっており、これに応えるためには事務総長報告「我ら人民」にも謳われているような、正統性と効率性の向上のための安保理の改革が急務である。具体的には、改革の流れを後戻りさせないためにも、常任・非常任議席双方の拡大等の具体的論点につき、各国の立場の収斂を目指すことが必要である。

(2)財政改革推進に努力する。国連の安定した財政基盤確保のため、滞納国は滞納を解消する努力を払うべきである。特に今次総会では、国連分担率が、加盟国の経済力や国連における地位及び責任を反映した、バランスのとれたものとなるよう、見直しを行う必要がある。

(3)開発分野では、国連機関相互間の本部・現地レベルでの調整強化、国連とブレトン・ウッズ機関との連携を一層強化する。我が国は今後とも経社理を中心に経済社会分野の改革に一層努力していく。

2.軍縮・不拡散

(1)我が国は「核兵器のない世界」の一日も早い実現を目指し、核軍縮・核不拡散に関し現実的かつ具体的な措置を積み重ねていく。

(イ)我が国は、今後、本年の核兵器不拡散条約(NPT)運用検討会議で採択された最終文書に盛り込まれた措置を実施するため、外交努力を一層強化していく。この一環として、今秋の国連ミレニアム総会に新たな核軍縮決議案を提出する等、積極的なリーダーシップを発揮していく。

(ロ)米露によるSTART IIの早期発効とSTART III交渉開始を求める等、米露をはじめとする核兵器国による一層の核兵器削減への取組を働きかける。

(ハ)包括的核実験禁止条約(CTBT)の早期発効を目指し、未署名・未批准国へのミッション派遣等の働きかけを継続し、また、カットオフ条約について、ジュネーヴ軍縮会議で条約交渉のための特別委員会の速やかな設置に努める。

(ニ)大量破壊兵器の運搬手段となるミサイルの拡散抑制のため、ミサイル輸出管理レジーム(MTCR)を中心とした努力を強化していく。

(2)
(イ)小型武器問題では、2001年の国連小型武器会議の成功に向けた準備を推進する。

(ロ)対人地雷問題では、今後とも普遍的かつ実効的な対人地雷禁止と地雷除去及び犠牲者支援の強化を車の両輪とする包括的アプローチにより、「犠牲者ゼロ」を実現するべく積極的に取り組んでいく。

(ハ)国連軍備登録制度を定着・発展させるべく努力を継続する。

(ニ)生物兵器に関しては、同禁止条約を強化するための検証議定書の作成交渉を、妥結目標期限である2001年に予定される運用検討会議までに完了させるため、引き続き、交渉に積極的に参加していく。

3.紛争の解決及び予防

(1)紛争予防のためには、国際社会全体に「予防の文化」を涵養すると共に、平時から紛争後の再発防止の段階まで、紛争の各段階において、幅広い政策手段を用いて紛争予防に取り組む、「包括的アプローチ」が必要である。
 紛争予防に関わる主体の多様化が著しい今日、このような多様な主体による取組の調整主体としての国連の重要性が増すと共に、国連自身の平和活動能力の強化が求められる。

(2)国連の平和活動については、東チモールやコソヴォにおけるような複雑な活動の重要性を認識する一方で、伝統的な平和維持活動は今後とも世界各地で重要な役割を果たし続ける。国連の平和活動のあらゆる側面をレビューするために、国連平和活動検討パネルを設置した事務総長のイニシアティヴを評価する。

(3)平和活動の実施に当たっては要員の安全確保を図ることが重要である。各地に展開する国連要員及び人道支援機関等の関連要員の安全確保の強化に一層努めるとともに、昨年発効した「国際連合要員及び関連要員の安全に関する条約」の非締約国に引き続き同条約の締結を働きかける。

4.開発

(1)民間投資や途上国内資金の動員を含めた開発資金の手当てについての幅広い検討、貿易・投資や人造り等まで含めた開発政策の包括的検討、効率性や結果重視のアプローチ等を進める必要がある。開発途上国自身による主体的な開発への取組(オーナーシップ)を基礎に、援助受入国と国際機関、各ドナー、NGO等のパートナーシップを推進する。更には、南南協力強化を図る。

(2)我が国は、開発においても人間個人に着目する視点を取り入れることが重要と考える。我が国は、6月の社会開発サミット・フォローアップ特総や7月に東京で開催した「人間の安全保障に関する国際シンポジウム」の議論も踏まえ、「人間の安全保障」の観点からの開発や人道・復興支援への取組に引き続きイニシアティヴをとっていく。

(3)アフリカ開発に関しては、98年10月の「第2回アフリカ開発会議」(TICADⅡ)でとりまとめた「東京行動計画」のフォローアップとして、アジア・アフリカ協力に代表される南南協力及び地域協力、さらに民間部門による協力等を活用することにより、貧困削減とそのための成長、アフリカの世界経済への統合、及び開発の基盤整備(良い統治・紛争予防と紛争後の開発)の実現に向けて、IT、感染症、農業等の各分野において、具体策を引き続き実施していく。

(4)ITと開発の関連では、負の側面であるデジタル・ディバイドに焦点が当たりがちであるが、その活用により更なる発展を可能とするデジタル・オポチュニティーという観点も重要である。我が国はG8九州・沖縄サミットに先駆けて国際的な情報格差解消のために今後5年間で150億ドル程度を目途とした包括的な協力策を用意した。今後、UNDP等の国際機関とも連携をとりつつ協力を進めていく。

5.人道支援・人権

(1)我が国は人道面での緊急事態への対応、紛争後の緊急人道支援から復興支援、開発支援への円滑な移行等を重視し、また、人間の安全保障の観点から、世界各地の難民や国内避難民等の問題に対する国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)等国連機関を中心とする取組を引き続き積極的に支援していく。 

(2)人権高等弁務官を中心とする国連の取組を引き続き支援していく。また途上国の民主的発展及び人権の擁護・促進のために、途上国における法制度や司法・行政制度の充実、民主的選挙のための支援を行っている(「民主的発展のためのパートナーシップ」)。
 また、我が国は、国連婦人開発基金(UNIFEM)や女性に対する暴力撤廃信託基金等への従前からの拠出等を通じ、本年6月の「女性2000年会議」の成果も踏まえ、女性の更なる地位向上に向けて積極的に取り組んでいく。
 明年9月に開催される「子どものための世界サミット」フォローアップ特総も契機に、世界の子どもたちの健康状態の改善、教育の普及に引き続き貢献していく。また、児童の商業的性的搾取からの保護の強化のため、明年12月に横浜にて「第2回児童の商業的性的搾取に反対する世界会議」を開催する。

6.地球規模問題

(1)気候変動について、京都議定書の早期発効を目指し、各国が議定書を批准できるよう本年11月に開催される気候変動枠組条約第6回締約国会議(COP6)にて議定書の重要案件について決定を得ることが重要であり、我が国として、引き続き交渉進展に貢献する。

(2)途上国の開発にとって阻害要因となっている感染症の問題について、我が国は、G8九州・沖縄サミットの機会にあわせて発表した、沖縄感染症対策イニシアティヴに沿って、感染症対策に今後5年間で30億ドルを目処とする協力を行っていく。

(3)薬物問題につき、我が国は国連薬物統制計画(UNDCP)への拠出、二国間協力を継続していく。本年1月には東京で「2000年薬物対策東京会合」をUNDCPと共催し、国際的な情報交換の推進を図った。

(4)リオの地球サミットから10年目の2002年に開催される「リオ+10」では、国連環境開発会議以降に生じた技術革新やグローバリゼーションの進展も踏まえつつ、地球環境問題対処への国際的意思を確認することが重要である。
 地球環境問題は、相互に関連しあう多くの分野を関連条約が個別に規律しているが、今後は環境関連条約の一層効果的・効率的な実施が重要である。

(5)G8九州・沖縄サミットのコミュニケにも謳われた通り、国連国際組織犯罪条約の案文確定を歓迎し、またその補足議定書の2000年中の採択に向け、各国と共に努力する。

7.教育・文化

 我が国は、ユネスコの改革努力と諸活動、特に万人のための教育の実現、文化の多様性の促進のための活動を引き続き支援していく。
 2001年は、「文明間の対話国連年」であることに踏まえ、我が国としても国際的なシンポジウム開催への協力等を通じた「文明間の対話」という考えの促進に努める。 

8.国連における邦人職員数

 邦人職員数は、未だ低い水準にあり、職員の増員に向け、我が国と国連の双方による働きかけが引き続き必要である。                                

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