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バルニエ仏外相との会談(20日午前)
国連改革について、日仏双方ともに安保理の常任理事国・非常任理事国双方の数を増やすことが大切であるとの点で意見が一致した。仏は日本の常任理事国入りを改めて支持した。イラクの政治プロセスを頓挫させないように進めていく必要性につき一致した。日本が10月に開催するイラク開発・復興のための信託基金会合に仏も代表団を送ることを表明した。この他に北朝鮮問題、イラン問題、EUの対中武器禁輸解除問題について意見交換を行った。
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日・EUトロイカ外相会合(20日午前)
国連改革について、行財政改革の重要性につき意見が一致した。6月の日・EU定期首脳協議の際に発出された軍縮・不拡散に関する日・EU共同宣言をベースに双方が更なる協力を行うことが確認された。テロとの闘いのために国際社会の一致した協力が重要であるとの点で意見が一致した。この他に中央アジア、北朝鮮問題、アフガニスタン、イラク情勢、EUの対中武器禁輸解除問題等について意見交換を行った。
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ラブロフ露外相との会談(20日午後)
テロ対策のためには、国際社会が一致して取り組むこと、そのために日露が協力することが重要であることで意見が一致するとともに、この関連で日露間で大使級のテロ協議を開催することで一致した。日露関係は、戦略的に重要であること、来年初めのプーチン大統領訪日では十分な成果をあげなければならないことにつき認識が一致した。安保理改革の重要性につき、双方で認識が一致した。露は、日本が常任理事国の有力な候補であるとの従来の立場を改めて表明した。この他に北朝鮮問題についても意見交換を行った。
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ハラズィ・イラン外相との会談(22日午前)
イランの核問題について、川口大臣より、IAEA理事会決議の誠実な履行により国際社会との信頼を醸成するとともに、11月の理事会までの時間を有効利用し、必要な措置をとることを求めた。また、日・イラン関係に影響を及ぼすような事態が生じることを避けることへの期待を表明した。これに対し、ハラズィ外相より、ウラン濃縮活動停止は自発的措置であり条約上の義務でない旨、欧州3ヶ国との合意によりIAEAメカニズムの下で濃縮ウランの活動停止を行ったが、イラン・ファイルを閉じるとの事前の約束に反し、当事国が約束を果たさなかったため、対抗措置として濃縮関連活動を再開した旨、更にイランとしてはNPT上認められている原子力平和利用の権利がありそれを担保したい旨述べた。この他にイラク情勢、国連改革についても意見交換を行った。
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(5) |
日GCC外相会談(22日午後)
GCC側よりGCCカルテット(議長国のクウェートの外務大臣、次期議長国バハレーンの外務大臣及びGCC事務局長)他が出席した。GCC側より、将来のFTA交渉を念頭に置いて日GCC関係を拡大していきたい、外相会談を定例化するとともに次官レベルの日GCC協議を再開したい旨述べた。川口大臣より、FTAに目標を限定することなく経済関係強化の幅広い可能性を念頭において検討を行うことが適当である旨述べた。双方は、毎年国連総会にあわせて外相会談を実施することについて原則合意した他、次官レベルでの協議の実施についても合意し、今後、事務レベルで詰めていくこととなった。国連改革について、バハレーン外相より、代表制の確立と強い国連の2つの視点にたって進めていく必要がある、安保理改革が行われる場合には、日本は常任理事国の有力な候補であり、バハレーンとしては支持する旨述べた。我が国のイラク復興支援の取組及び中東和平問題への関与につきGCC側より高い評価が寄せられた。その他、中東情勢、テロ対策についても意見交換を行った。
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ペターシェン・ノルウェー外相との会談(22日午後)
平成13年にはノルウェー国国王王妃両殿下が我が国を訪問され、また、かねてより同国からは天皇皇后両陛下御訪問の御招請が寄せられていたので、明年は日本・ノルウェー国交樹立百周年にあたることもあり、天皇皇后両陛下のノルウェー国御訪問を両国政府間で検討することとなった。この他、スリランカ和平、中東和平、ミャンマー情勢、WTOについて意見交換を行った。
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(7) |
フラッティーニ伊外相との会談(22日午後)
国連改革について、伊は、国連改革の必要性という原則に関しては同意している、改革の目指す目的及び方向が、より民主的で国際社会の実態を反映した、より実効的な国連を作る必要があることについても同意している、右原則につき、まず合意を達成し、その原則の実現のために具体的にどういう改革が必要なのかを議論するのが適切との趣旨を述べた。この他、イラク情勢、EUの対中武器禁輸解除問題、北朝鮮について意見交換を行った。
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(8) |
フィッシャー独外相との会談(23日午後)
川口大臣より、来年は日本におけるドイツ年にあたり、これを機会に国民間の交流の進展を期待していることを述べた。国連改革、特に日独双方の考えが一致している安保理改革についてますます連携強化を図っていくことで意見が一致した。この他、イラン、北朝鮮、アフガニスタン、イラク、EUの対中武器禁輸解除問題について意見交換を行った。
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(9) |
シャアス・パレスチナ自治政府外務庁長官との会談(23日午後)
パレスチナ情勢について、シャアス長官より、NYにおけるカルテットの協議で中東和平の現状について声明がまとまり、分離壁や入植地に言及される等パレスチナ側にとって明るい希望のもてる内容となった旨報告があった。川口大臣より、カルテットが出した声明に沿った形でのパレスチナ・イスラエル間の和平プロセスが進展することを期待する、パレスチナ自治区内の治安の向上、パレスチナ自治政府の改革を進めて欲しい旨述べた。その他、シャアス長官から、世銀が設置している信託基金に日本が1000万ドルの拠出をしたことに対する謝意の表明があった。
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潘韓国外交通商部長官との会談(24日午後)
日韓二国間関係について、2005年の日韓友情年に向け互いに協力していくことにつき双方が一致した他、日韓首脳会談の開催に向けに協力することを確認した。日韓漁業協定について、川口大臣より、いわゆる北部暫定水域の資源管理について政府間協議を開始すべきだと述べたのに対し、潘長官より本件については事務的に協議を続けたい、他方、民間協議は継続すべきであると述べた。また、国連改革の必要性について意見が一致し、安保理改革については、潘長官からは小泉総理の演説の内容は十分承知している、ハイレベル委員会の検討を見守りたいとの発言があった。その他、第4回六者協議の開催に向けて日米間で引き続き外交努力を続けることを確認し、さらに北朝鮮の弾道ミサイル発射の可能性に係る問題、韓国における核関連物質の開発に関する問題等について意見交換を行った。
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女性外相会合(22日昼)
カルミ=レ・スイス外相のイニシアティブにより、女性外相会合が開催された。本会合には川口大臣を含め11名が出席し、性的暴力と女性のHIV/AIDSへの脆弱性との相互関連性、人身取引対策とジェンダーに配慮した移民政策、紛争下のジェンダーに基づく暴力からの保護、女性の人権の促進等をテーマに意見交換が行われた。川口大臣から、女性に対する暴力撤廃のためには女性のエンパワーメントが重要であり、これは我が国の提唱する人間の安全保障の考え方にもつながる旨を指摘したほか、HIV/AIDSへの取組の重要性、人身取引への我が国の取組、女性問題関連国際機関への積極的支援等について発言した。
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(2) |
G8外相非公式夕食会(22日夜)
22日午後8時より10時半まで開催。イラン、拡大中東北アフリカ構想/中東和平、スーダンのダルフール情勢、イラク、北朝鮮、アフガニスタン及び国連改革について討議され、前3点について特に詳細な議論が行われ、残りの転については現状報告が行われた。特に、イランについては、9月18日のIAEA理事会決議を踏まえて11月の次回理事会に向けたG8としての対応について議論が行われ、イランに対する圧力と対話の重要性及びイランが国際社会に対して自発的に実質的な信頼醸成措置をとることの重要性について意見が一致した。また、川口大臣より、北朝鮮については六者会合の現状や日朝実務者協議の開催につき説明し、国連改革については我が国の考え方につき述べた上で、我が国としてより大きな責任を負う用意がある旨強調した。
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(3) |
CTBTフレンズ外相会合(23日午前)
23日、日本、フィンランド、豪州、オランダの4ヶ国の共催で、包括的核実験禁止条約(CTBT)の早期発効に向けた政治的機運を高めることを目的として開催された。42ヶ国(内27ヶ国が外相級の出席)が参加し、発効要件国を中心に、CTBT未署名・未批准の国々に対して、遅滞なく署名・批准を行うことを求める共同外相声明を発出した。同共同外相声明は、国連総会に提出され、更なる賛同国を募るために開放される予定である。川口大臣の開会挨拶の後、討議が行われ、多くの参加国から、(1)CTBTは核不拡散及び核軍縮の双方にとって極めて重要である、(2)CTBTは未発効であるが、核爆発実験を探知するための国際監視制度施設が順調に建設されていることを評価する、(3)CTBT発効まで核実験モラトリアムが継続されることが重要である、といった発言があった。会合後、主催者を代表して川口大臣とフィンランド外相による共同記者会見が行われ、共同外相声明が公表された。
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川口大臣主催日・カリコム外相昼食会(23日昼)
カリコム側よりミラー・バルバドス外務大臣、ハント・セントルシア外務大臣等6名の外務大臣を含む約20名が参加した。川口大臣からは、日・カリコム協力が深化していること、安保理改革の重要性等を説明し、更なる協力を訴えた。カリコム側より、最近のハリケーンにより甚大な被害を受けたグレナダ、ジャマイカ及びハイチに対する日本からの迅速なる援助に対し、謝意表明があった。国連改革の重要性について日本と認識を共有するとともに、国連改革においては「開発」との関係も考慮されるべきである旨述べた。この他、同じ島国としてハリケーンや台風などの自然災害の問題、防災対策の重要性等について意見交換を行った。
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拡大中東・北アフリカ構想「未来のためのフォーラム」外相級会合(24日午前)
本年6月のG8シーアイランド・サミットで打ち出された「拡大中東・北アフリカ構想」において、本年の遅い時期にG8及び地域諸国の外相等による「未来のためのフォーラム」を開催することに合意したことを受け、パウエル米国務長官及びベナイッサ・モロッコ外相の共同議長によりG8側よりEUを含め11の国・機関、拡大中東・北アフリカ側より18の国・地域・機関の外相乃至代表者が出席して開催された。川口大臣からは、パートナーシップのあり方として、地域の自主性及びイラクの平和と安定が重要との我が国の基本的考えを説明し、また、「未来のためのフォーラム」の運営においてはAPECの例が参考になるとの考え方から、地域諸国の自発性の尊重やビジネス界との連携の重要性を指摘した。最終的に、「未来フォーラム」を本年の遅い時期にモロッコにおいて開催することに合意し、また、2005年1月にG8及びアラブ連盟諸国の外相級会合を開催するとのエジプトの提案が受け入れられた。
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川口大臣主催アフリカ・ランチ(24日昼)
ピン国連総会議長(ガボン外相)はじめ、外相17名を含む30ヶ国、AU平和安全保障委員、AU政治委員等の出席を得た。川口大臣より、日本はTICADプロセスを通じてアフリカとの関係を飛躍的に拡大していることに言及し、アフリカのオーナーシップの高まりを歓迎し、日本としても後押ししていくことを表明した。この他、安保理改革、TICADを中心とする日本の対アフリカ協力等について意見交換を行った。
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川口大臣主催非同盟運動(NAM)諸国とのレセプション(24日午後)
(イ) |
アフガン、バーレーン、レバノン、マレーシア、ナイジェリア、タイ、パキスタン、東チモール、バングラディシュ、PNGの外務大臣を含む19ヶ国より50人以上の出席を得た。川口大臣より、NAM諸国は重要な影響力を有する国際的な主体である、国際社会が直面する諸問題に対処するために国連が果たす役割が増大する中、安保理は国際社会の変化を反映させ代表性を高める必要がある、日本も常任理事国として一層の責任を果たす用意がある旨発言した。NAM議長国のマレーシア外相からは、NAMはミレニアム開発目標の達成を重視している、ハイレベル委員会の活動が国連改革につながることを期待している、国連改革のため日本と緊密に協力していきたい旨述べた。
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(ロ) |
また、同レセプションの際、川口大臣は、チェ・スホン北朝鮮外務次官と短時間会話をする機会があり、川口大臣より、平壌宣言は両首脳間の合意であり、これを重視することが重要、北朝鮮もそのように考えていることを希望する、週末に開催される日朝実務協議で行方不明者の再調査結果が提示されることを期待する、六者協議は重要な枠組みであり、速やかに会合すべき、弾道ミサイル発射準備の報道があるが、右は平壌宣言に違反する等を述べた。チェ次官より、平壌宣言の実施は重要であり、北朝鮮は実施する意志がある、拉致問題については再調査を実施しベストを尽くしている、六者協議についてはこれを継続していくとの立場であり、北朝鮮の非核化が究極の目標である、米国がバイで対応すれば解決可能だと考える、ミサイルに関する報道は推測、噂、憶測である旨述べた。
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日・ASEAN外相朝食会(25日朝)
川口大臣より、日・ASEANの地域協力の重要性について述べるとともに、本年11月のラオスで開催される首脳会議において日ASEAN協力の進展について意見交換を行う意向であること、先の小泉総理の国連における一般討論演説について言及し、2005年が国連改革にとって重要な年であることを強調した。その後の自由討議において、日ASEAN双方は、国連改革が必要であること、今後も同様の意見交換を継続していくことで意見が一致した。
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