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経済


国連貿易開発会議(UNCTAD)
第10回総会中間レビュー会合
(概要と評価)


2002年5月7日

1.概要

(1)期 間 2002年4月30日~5月2日

(2)開催地 タイ・バンコク

(3)出席者 UNCTAD加盟国、国際機関、NGO。開会式にはタクシン・タイ首相が参加。日本よりは、水野賢一外務大臣政務官を首席代表とする代表団が参加。12カ国より閣僚・準閣僚クラスが出席(タイ・スラキアット外相、フィリピン・ギンゴナ副大統領兼外相。アンゴラ、バングラデシュ、ケニヤ、タンザニア商務大臣等。)その他の諸国からも本国、ジュネーブ代表部などから参加。国際機関からは、リクーペロUNCTAD事務局長、スパチャイ・WTO次期事務局長、キムESCAP事務局長らが出席。

(4)経 緯 今次会合は、2000年2月に開催されたUNCTAD第10回総会(日本より小渕総理大臣が参加)以降のUNCTADの活動の状況を検討し、次回総会(2004年開催予定)までのUNCTADの活動の方向性を議論することを目的として開催された。
 特に、過去1年間余の間、第3回後発開発途上国(LDC)会議(2001年3月)、WTOドーハ閣僚会議(2001年11月)、開発資金会議(2002年3月)等の一連の重要な会議が開催されたので、これらの会議を踏まえて、UNCTADの活動のあり方を閣僚レベルで検討することが目的であった。

(5)議論概要 今次会合では、閣僚レベルでの自由な議論が行われた(議長はスラキアット・タイ外相)。

(イ) 途上国側出席者からは、以下の点が指摘された。

(a) WTO新ラウンドでは、途上国への特別の配慮が必要であり、また途上国の貿易関連能力構築への支援が重要である。

(b) 途上国からの輸出を支援するために、途上国内の生産能力の増強、先進国市場へのアクセス改善(関税引下げ)が必要である。またEUによる農産品への(輸出)補助金は、途上国の農産品輸出の障害となっている。

(ロ) 先進国側からは、以下の点が指摘された。

(a)日本: 水野政務官から発言を行い、日本の途上国支援の基本的考え(途上国自身の自助努力(オーナーシップ)の必要性)、アジアの経験をアフリカの開発にも活かす努力を述べ、UNCTAD提案の貿易関連能力構築支援事業への資金援助を検討している旨などを表明した。

(b)EU: LDCからの全輸入品(但し武器を除く)を無関税とする政策(Everything but Arms, EBA)をとっている。また、共通農業制度(Common Agricultural Policy, CAP)も改革に努力している。

(ハ) 水野政務官から南南協力の重要性を指摘したことに関連して、途上国を含む経済連携、自由貿易地域(FTA)の持つ意味を検討すべきとの意見も多く出された。

(ニ) 概ね全ての国から、第3回後発開発途上国(LDC)会議、WTOドーハ閣僚会議、開発資金会議等の一連の会合での合意が実施される事が重要との指摘がなされた。

(ホ) 中国のWTO加盟により、中国が他の途上国にとって手強い競争者となるのではないかという点について、大きな関心が集まった。この点については、龍永図・中国対外経済関係部副部長は、中国のWTO加盟は、中国の輸入増大などにより、他の途上国にとっても利益をもたらすとの説明を行った。


(6)事務レベルでの
 合意文書
今次会合では、事務レベルを中心に、以下の二点について議論し、その結果を合意文書にまとめた。

(イ) UNCTADの活動の効率性と機能の見直しについての検討

(ロ) 2002年2月のUNCTAD第10回総会で合意された活動計画(「バンコク行動計画」)の実施状況の検討


(7)次回会合 ブラジルから、第11回UNCTAD総会を2004年(UNCTAD総会設立40周年にあたる)にブラジルで開催したいとの意向が表明された。


2.評価

(1) 1964年に創設されたUNCTADは、1960年代の東西冷戦、南北対立という「対立の時代の落とし子」(リクーペロUNCTAD事務局長の表現)という面があった。しかし、現在、開発途上国の中でも中進国と低開発国に分化し、また中国のWTO加盟、WTO新ラウンド交渉の開始という重要な展開も踏まえ、開発と貿易・投資を如何に支援すべきかについて新しい局面を迎えている。そのため、UNCTADとしても、新しい使命を果たすべく、その具体的活動のあり方を探る為に、閣僚レベルの自由な会合を持った事は、大きな意義があった。

(2) 閣僚レベルでの意見交換の結果、日本からのこれまでの主張も反映する形で、以下の諸点で参加者の間で認識の概ねの一致が見られた事は特に重要である。

(イ) 途上国の輸出促進のためには、先進輸入国側の市場アクセスの改善に加え、そもそも途上国の生産構造の多様化(モノカルチャーからの脱却)・生産能力の増強が必要であり、そのための直接投資誘致、途上国の制度改善、人材養成等、広範囲で包括的、統合された努力が重要である。

(ロ) 途上国の人材養成(能力構築)に、日本は従来より支援してきているが、途上国側からはこのような努力を高く評価するとの発言が相次いだ。

(ハ) 日本が提唱している南南協力、アジアの経験をアフリカで活かす事等も、参加者から強い関心と支持を得た。


(3) 今回、水野政務官から、日本が今後ともUNCTADと協力しながら途上国支援を実施していく旨述べた事は、リクーペロUNCTAD事務局長を始め、出席者からも大いに歓迎された。

(4) WTO新ラウンド交渉を進めるにあたり、UNCTADの分析・研究機能に強く期待するとの意見も多数出された。今回、UNCTADの機能強化の議論もなされ、今後、UNCTADが開発問題で一層の役割を果たす事が期待される。 

(5) 尚、水野政務官は、タクシン・タイ首相を表敬するとともに、スラキアット・タイ外務大臣と会談を行い、日タイ二国間関係及びアジア地域における日タイ協力の強化について意見交換を行った。またリクーペロUNCTAD事務局長とも会談を行い、日本とUNCTADとの協力関係を一層強化することで一致した。



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