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経済

米国の鉄鋼セーフガード措置


平成14年9月


1.経緯・今後のスケジュール

3月5日   ブッシュ大統領がセーフガード措置の決定を発表
20日 セーフガード措置発動(3年間)。直ちに日本はWTO紛争解決手続に基づく二国間協議(GATT22条協議)要請
4月11日
-12日
米国とWTO紛争解決手続に基づく協議を実施
(EU、韓国、中国、ノルウェー、スイスと共同開催)
5月17日 セーフガード協定に基づき譲許停止措置(対抗措置)をWTO物品理事会に通報
21日 WTO紛争解決手続に基づきパネル設置を要請
6月14日 WTOパネル設置
18日 米国に対する関税譲許の適用停止等を内容とする政令を施行。(ただし、譲許バランス回復のための関税引上げは行わず、当面現行の関税率を維持)
8月31日 平沼経済産業大臣が談話を発表。米国政府の建設的な対応を勘案し、6月18日に適用を停止した関税譲許については、WTO紛争解決手続の結論が出るまでの間、実際の関税引上げを行わないことを表明。
10月以降 WTO紛争解決手続においてパネルでの審理開始。
2003年春頃にはパネル報告予定。その後上級委への上訴がある場合、最終決定は2003年秋以降の見込み。
(日本のパネルへの第1回意見書の提出)

*セーフガード措置とは

 ある産品の輸入が増加し、それにより同種の又は直接的に競合する産品を生産する国内産業に重大な損害が生ずるような場合、一時的にガットの義務を停止(関税引き上げや輸入数量制限)し、当該国内産業を保護するためにとられる輸入制限措置。


2.米国の輸入制限(セーフガード)措置の概要

 以下の産品類計14品目に対して、3年間に亘る措置(2年目以降は関税率引下げ等措置を緩和)を実施。

(1) スラブ(鋼板に加工される前の半製品)
 関税割当:540万トンの輸入割当(初年度)を超えた場合には30%の関税を賦課。

(2) 鋼板類(自動車、産業機器、食用缶等で幅広く使用)
 30%の関税引上げ。

(3) 条鋼類(主に建設用の鉄筋等に活用される棒鋼等)
 30%の関税引上げ(一部13%の関税引上げ)。

(4) 鋼管類(一般配管や機械構造用配管等で使用)
 15%の関税引上げ。

(5) ステンレス類(さびに強く、棒鋼、ワイヤー等多様な用途で使用)
 15%の関税引上げ(一部8%の関税引上げ)。

*適用除外

(1) 適用除外国:FTA(自由貿易協定)締結国(カナダ、メキシコ、イスラエル、及びジョルダン)及び製品によっては米国向け輸出が僅少な開発途上国を措置から除外。

(2) 適用除外品目:措置決定発表から120日以内に適用除外品目を決定。


3.日本の対応

(1) 日本は、米国に対し措置の即時撤回を求め、本件をWTO紛争解決手続に付託し、加えて、補償の提供(注1)、除外品目の対象拡大(注2)を含めた適切な対応を求めてきた。

(2) しかしながら、5月17日の譲許停止措置(対抗措置)(注3)の通報期限までに決着を見なかったところ、権利の保全のため譲許停止措置(対抗措置)の通報を行い、また、6月18日に米国に対する関税譲許の適用(関税率に関する日本のWTO協定上の約束)停止等を内容とする政令を施行した。ただし、話し合いでの解決に全力を挙げるとの観点から、現行の関税率を維持した上で引き続き日米間交渉を続けてきた。

(3) その結果、8月31日、除外の認定等に係る米国の建設的な対応を勘案し、6月18日に適用を停止した関税譲許については、WTO紛争解決手続の結論が出るまでの間、実際の関税引上げを行わないことを決定。(EUは9月中旬に対応を決定する見込み。)

(4) また、WTOパネルは、6月14日に設置(その後、日本を含む8カ国(注:EC、韓国、中国、スイス、ノルウェー、NZ、ブラジル)のパネルは統合され単一化)され、10月以降本格的に審理に入る。(日本のパネルへの第1回意見書の提出)

(注1) 補償
セーフガード発動国は、セーフガード措置によって影響を受けた輸出加盟国との間で実質的に等価値の譲許その他の義務を維持するよう(引き上げた関税等と同等の関税引き下げ等を他品目について行うよう)努力することとされ、そのような補償の適切な方法を合意できるとされている。

(注2) 除外品目
今回のセーフガード措置発動にあたり、米国は、発動国(米国)での生産が困難な品目等については、業界が米国政府にセーフガード措置の適用除外を申請できるとしている。

(注3) 譲許停止措置
補償について合意が得られない場合、輸出加盟国は一定の要件の下で、譲許停止措置(いわゆる対抗措置。関税引き上げ等、実質的に等価値の譲許その他の義務の停止)をとることができる(輸入の絶対量の増加の結果としてとられたものであり、且つ、協定適合的なセーフガード措置に対しては、3年間は対抗措置をとることができない。)。


4.適用除外品目

 米国は、日本関連の適用除外品目を8月末までに6回にわたり発表した。その結果、自動車鋼板用高品質鋼材等を含む合計約55万トンが除外されたため、そもそもセーフガード措置の対象外となっているもの等を合わせ、2001年の対米輸出実績(220万トン)の7割程度の水準がセーフガード措置の影響を受けないこととなった。


5.日米の鉄鋼貿易

(1) 日本の総輸出量(2001年)(財務省通関統計)

総輸出 3,050万トン(1兆8,000億円)
対米輸出は220万トン、うち今回措置の対象品目分は140万トン(除外交渉等により65万トンまで減少)

(2) 日本からの国別輸出比率(2001年)(数量ベース、財務省通関統計)

1)韓国22%、2)中国15%、3)タイ8%、4)台湾8%、5)米国7%、6)マレーシア5%

(3) 米国の国別輸入比率(2001年)(数量ベース、米国輸入統計)

1)EU20%、2)カナダ15%、3)ブラジル10%、4)メキシコ10%、5)韓国7%、6)日本7%


6.米国のセーフガード措置の他国への主な影響

(1) EUは、米国の鉄鋼セーフガード措置による外国鉄鋼製品のEUへの流入の可能性を懸念し、3月28日、セーフガード調査を開始するとともに、同29日、鉄鋼輸入製品に係る暫定的セーフガード措置を発動(6ヶ月間)。9月2日、確定セーフガード措置の発動についてWTOに通報した。(日本は、暫定的セーフガード措置に係り、4月10日、セーフガード協定に基づく協議を実施。確定セーフガード措置に対しては、措置のWTO整合性や日本への影響等を総合的に考慮の上、対応を判断する予定。)

(2) 中国は、5月21日、暫定的セーフガード措置を発表(6ヶ月間)。(日本は、6月24日、セーフガード協定に基づく協議を実施。)

(3) ハンガリーは、6月3日、暫定的セーフガード措置を発表(6ヶ月間)。
ポーランドも、8月14日、暫定的セーフガード措置を発表(200日間)。
チェッコ共和国は、8月28日、セーフガード調査を開始。

(4) カナダは、3月25日、加国際貿易裁判所(CITT)が鉄鋼輸入製品に係るセーフガード調査を開始。7月5日、CITTが調査結果を発表。

(5) チリは、4月12日、セーフガード調査を開始。7月16日、確定セーフガード措置を発動。



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