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8. 前年度報告書における
       政策提言への取り組み状況

 昨年度の「第14回経済協力評価報告書」において指摘された援助政策に関する提言については、ほぼ全ての事項について、実際の援助政策あるいは個別案件において何らかの対応がなされ、具体的には、以下のような取り組みが行われている。

(1) フォローアップ体制・モニタリング体制整備の必要性

 フォローアップ(協力終了後の追加的支援)やモニタリング(実施中の案件監理)については、技術協力、有償資金協力等の各協力形態においてその充実に努めている。例えば、技術協力において、「第三国研修」では、帰国研修員による取得技術・知識の活用状況について調査を行っている。また、モニタリングに関しては、例えば、有償資金協力により実施したバングラデシュのグラミン銀行を通じた貧困層向けツーステップローン(「農村開発信用計画」、95年度)について、継続してインパクト調査を実施している。

(2) セクター分析・調査の重要性

 優良案件を発掘・形成し実施するためには、当該セクター全体の中における案件の位置付けなどセクターについての分析・調査も重要である。このため、技術協力及び無償資金協力においては、プロジェクト形成調査を活用することにより、毎年、特定セクターを取り上げ調査・分析を実施してきている。96年には、農業分野、人口・エイズなどの分野において、延べ13カ国について調査を実施した。一方、有償資金協力においても、従来より国単位・セクター単位で当該国の開発計画も含めた検討を行い、その上で、当該援助案件の必要性・妥当性を判断し、供与の是非を決定してきている。

 さらに、96年8月より、JICA及びOECFの協力も得て「環境分野のODA」についてのレビューと今後の方向性の検討を行い、結果の一部は97年5月の「我が国の政府開発援助の実施状況(96年度)に関する年次報告」において公表された。

(3) 有償資金協力・技術協力等の連携及び援助協調の必要性

(イ) 各援助形態間の有機的連携は援助を効果的・効率的に実施する上で重要であり、例えば、有償資金協力案件に対し日本人専門家を派遣(技術協力)する(例:タイの「バンコク地下鉄建設計画」(96年度有償資金協力)でタイ側の実施機関に対し日本人専門家を派遣)、技術協力の要望調査において有償資金協力との連携に配慮した調査を行う、有償資金協力案件審査の基礎資料となるF/Sを開発調査を活用して実施する(例:「日比友好道路改良計画」94、95年度有償資金協力)、などの方法により、有償資金協力と技術協力の連携を図っている。また、従来より、無償資金協力で設立された施設を拠点に技術協力を行う(例:ケニア「ジョモ・ケニヤッタ農工大学」)など無償資金協力と技術援助の連携も積極的に図ってきている。

(口) 他方、限られた援助資金を有効に活用するとの観点から、DAC新開発戦略も踏まえ、主要援助国との援助協調にも努めており、米、仏、独、英、加、北欧諸国、豪、EUなどと年1回程度援助政策協議を行っている。また、各国と具体的案件での援助協調を実施しており、例えば、日米コモン・アジェンダの枠組みでの人口・エイズ、環境、WID(途上国の女性支援)分野における協力、ボスニアにおける英・加との協力(「主要送電線復旧計画」、96年度)、アフリカにおける仏との保健・医療分野での協力(96年度にはコモロの「エル・マルーフ病院医療機材整備計画」で協力)やインドシナにおける協力(96年度にはカンボジア「国営放送局整備計画」で協力)、中米における米との協力(96年度にはグアテマラ「小学校建設計画」で協力)などを行っている。さらに評価の分野では、89年度より米、仏、豪、UNICEFなど主要援助国や国際機関との合同評価を毎年度1、2件実施してきており、96年度には、バングラデシュにおいてUNICEFとの合同評価を実施した。

(4) 被援助国の開発計画との整合性

 政策協議や国単位・セクター単位の分析・調査を通じ、被援助国の開発計画の適切な把握と確認を図るとともに、プロジェクト形成調査やJICA企画調査員の派遣等による案件発掘・形成においても被援助国の開発計画について十分な配慮を行うこととしている。また、被援助国側から提出される要請案件についても、その要請案件と国家計画その他の上位計画との関係や整合性について十分に調査を行うこととしている。

(5) 南南協力の有用性及び問題点

 JICAによる「第三国研修」の枠組みにより「南南協力」を支援するとともに、96年度よりUNDPに拠出している人造り基金の一部を南南協力支援向けとし、アジアの米作り技術をアフリカに移転するためのプロジェクト(「アジア・アフリカ・ハイブリッド稲作研究」)をはじめとする種々のプロジェクトを我が国主導で実施している。

 また、南南協力の場合、日本の「顔が見えない」という問題点の指摘については、ほとんどの第三国研修に対し、日本人専門家を講師として派遣している。

(6) NGO、地方公共団体との連携強化

(イ) 我が国NGOについては、96年4月よりNGO・外務省定期協議会を開催(年4回)し、また、地方公共団体については、地方公共団体が招聘した海外技術研修員について隔年毎に調査を行い、帰国後の活動状況の把握に努めている。

(口) 個別案件においては、技術協力では、96年度よりプロジェクト方式技術協力にNGO連携強化費を設置しているほか、プロジェクト形成調査にNGO団員を参加させるなどにより現地で活動するNGOとの連携強化を図っている。

 また、有償資金協力では、社会林業(例:インド「アラバリ山地植林計画」、91年度)や農村開発(例:フィリピン「農地改革インフラ整備計画」、95年度)など参加型開発案件において現地NGOとの連携を図っているほか、事前調査(例:中国「三江平原農業開発」、96年度)や援助効果調査(例:バングラデシュ「農村開発信用計画(グラミン銀行)」、95年度)にあたり我が国NGOの協力を得ている例もある。

 他方、無償資金協力では、草の根無償資金協力により我が国NGO、現地NGO、現地地方公共団体などによる草の根レベルの活動を積極的に支援してきており、96年度には969件を実施した。また、一般無償資金協力においても、ザンビアの「ルサカ市周辺地区給水計画」(94年度)などにおいて、現地NGOとの連携を行っている。さらに、中国の環境問題に関し、我が国地方公共団体との連携により開発調査(「大連市環境モデル地区整備計画調査」、96年度)を実施している。

(7) その他

(イ) 「広報活動強化」については、国内広報においては、一般の国民が経済協力の実状・成果についてより正確に理解できるよう、種々の媒体を通じODAに関する情報を国民に伝達するよう努めている。具体的には、ODA情報のFAX通信、インターネットによるODA情報発信及びODA広報強化ビデオ制作などにも新たに取り組んでいるほか、国外広報においては、「顔の見える」援助を念頭に各種広報活動を実施している。最近ではODAのシンボルマークの供与機材への貼付及び二国間ODAパンフレット(現地語)の作成も行っている。

(ロ) 「政策対話の強化」については在外公館を通じた事前調査の強化や各国の事情を踏まえた適切な調査団の構成により、年次協議、政策協議などの充実を図っている。また、新たに援助対象国となった国に配慮しつつ調査団派遣国を選定しており、95年度には5カ国、96年度には9カ国の新たな援助対象国に調査団を派遣した。

(ハ) 「要請主義によらない案件形成」については、環境分野など国際的取り組みが行われている分野(地球的規模の問題)や新規の援助対象国で案件の発掘・形成が被援助国側で円滑に行われない場合に、プロジェクト形成調査やJICA企画調査員により案件の発掘に取り組んでいる。例えば、フィリピンの「エイズ対策」(プロジェクト方式技術協力、96年度)は、GII(地球規模問題イニシアティブ)を推進するためのプロジェクト形成調査団を派遣することにより形成されたものである。

(二) 「住民参加への配慮」については、案件形成段階より住民参加への配慮を行っており、今回の報告書に報告が掲載されているインドネシアの「南東スラウェシ州農業農村総合開発計画」(プロジェクト方式技術協力、91年3月~97年2月)もその一例である。そのほか、上記(6)(口)のインドの社会林業をはじめとする有償資金協力や無償資金協力による植林事業、有償資金協力によるスリランカの灌厩事業(「ワラウェ左岸灌厩改修拡張計画(皿)」、96年度)、無償資金協力によるネパールの小学校建設(「小学校建設計画」、94、95年度)などの案件が住民参加により実施されている。また、ガーナの「アセセワ・イエジー地区電化計画」(無償資金協力、96年度)のように、被援助国自身の努力により住民参加が積極的に図られる場合もある。

(ホ) 「メインテナンス援助」については、フォローアップやアフターケアの枠組みによる協力を行っているほか、(1)新規協力案件を実施する場合に、過去の同様の案件に対しフォローアップ協力として供与したスペアパーツを当初より供与品目に加える(無償資金協力)、(2)被援助国側実施機関に対し維持管理体制づくりに関する助言を行う(有償資金協力)などにより、案件の維持管理・自立的発展のための協力を行っている。

 また、「医療サービスの有料化」については、無償資金協力による医療機材供与につき調査段階で対象病院の財務分析を行い、必要に応じ被援助国側に医療サービスの段階的値上げなどの提言を行っている。

 さらに、「WIDの観点からの評価」については、95年8月に、参加型のプロジェクト方式技術協力案件(インドネシア「南東スラウェシ州農業農村総合開発計画」)について、WIDの視点からの評価調査を実施している(評価結果は本報告書に収録)。

 

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