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4. 評価結果の概要

(1) 国別評価

(イ) タンザニア

 我が国では、タンザニアとの極めて友好な関係、タンザニアが市場志向型経済政策及び民主化努力を推進していること等から、タンザニアを我が国の対アフリカ援助の重点国の一つと位置付け、94年には、アフリカ域内で第4位である104,760,000ドルを供与している(全世界では第18位)。また、同年、我が国はタンザニアの二国間援助におけるトップドナーとなっている。

 本件国別評価は、犬飼一郎国際大学教授を団長に、杉山隆彦国際協力事業団国際協力専門員、菊地剛海外コンサルティング企業協会開発研究所長他によるチームによって95年11月に実施された。

 この評価では、我が国援助の包括的効果を調査することを主眼とし、我が国援助がタンザニアの中心たる農業・工業分野の発展や、タンザニアが推進している市場経済化、貧困緩和へどのように貢献しているか検証した。

 評価結果では、我が国がこれまで基礎生活分野、農業、基礎インフラ等を重点として協力してきたことは妥当であり、道路インフラ整備、食糧増産援助等、多大の成果を上げたとする一方、工業分野への協力においては、タンザニア側の自主管理がうまく機能していないプロジェクトも見られ、被援助国の行政能力に応じた規模のプロジェクトを実施することが重要であると指摘している。

 また、我が国がこれまでタンザニアに派遣してきた700名以上の青年海外協力隊員や多くの専門家の経験や知識を十分に活用する体制の整備の重要性についても指摘している。

(ロ) ペルー

 ペルーは、我が国援助の支出累計額(95年まで)では中南米地域で第1位を占める重点援助対象国であり、また、我が国はペルーにとり第一の援助供与国となっている。

 評価調査は、堀坂浩太郎上智大学外国語学部教授を団長に、櫻井敏浩日伯パルプ資源開発株式会社取締役(元OECFリマ駐在員事務所駐在)、山崎圭一横浜国立大学経済学部助教授他による調査団により96年4月に実施された。

 この評価調査では、1990年以降の我が国の対ペルーODA及びODA外交について「フジモリ政権下でのペルー(国際環境を含む)の状況変化」、「ペルーの社会的なニーズ」「日本のODA政策及び中南米政策」の各々との整合性・妥当性、及び「個別的プロジェクトの目的」達成度の4点を念頭に置きつつ、総合的な視点から分析を行った。

 調査結果では、1990年代前半の対ペルーODAは、ペルー内外の状況が急激に変化する一方、大統領による非常措置や日本人専門家殺害事件などODAの実施を難しくする障害が発生した中で、「民主化」、「市場経済改革」というODAの基本原則を踏まえつつ、多様な形態のODA手段を駆使し機動的に対応してきたと分析。この結果として、我が国ODAは、ペルーが進める国際社会への復帰、民主化、経済改革を支援するとともに、「人的派遣」を行い得ない状況下ではあったが、ペルーの社会ニーズに対応した援助を行い得たと評価している。さらに、長期的視点でペルーの国民的ニーズを把握し、今後ともペルーの動向を客観的視点から見極めつつ援助を行っていくこと、ペルー側の急速な制度改革に対応し得るよう日本側のODA能力を強化すること、「草の根」型援助拡大のための態勢をつくること、官民参加による裾野の広い二国間関係の構築することを提言している。

(2) 特定テーマ評価

(イ) 貧困問題・生活改善(バングラデシュ)

 世界経営協議会(CIOS)に委託し、「貧困問題・生活改善」とのテーマで我が国のバングラデシュにおける無償資金協力、草の根無償資金協力案件5件が与えた影響・効果等を考察した。草の根無償の案件については、バングラデシュ最大のNGOであるBRACへの供与は草の根無償スキームの宣伝効果があったこと、国際的ネットワークに属するNGOであるFHI/Bへの供与は貧困層へのきめ細かいケアを可能としたことを指摘している。「モデル農村整備計画」においては、インフラ整備に加え青年海外協力隊の地域住民への技術支援が大きな効果を上げ、ハード・ソフト両面の協力がかみ合っていた旨、また「ダッカ市雨水排水施設整備計画」、「ダッカ市下水道網整備計画」は雨水の市外への放出、下水処理能力の向上を通じて保健衛生・生活環境の改善に貢献したと評価している。

(ロ)開発・援助に関する途上国NGO等の意識調査

FASID(国際開発高等教育機構)

 FASIDへの委託調査で、途上国の草の根レベルにおいて開発・援助に携わる個人の、開発・援助に対する基本的な認識、我が国ODA全般の評価等に関する意識調査を、47カ国5地域と広範囲にわたりアンケート方式で実施した。

 本調査では、アンケートの単純集計の分析の他、活動地域、活動分野、組織の属性(ローカル組織か国際的な組織か)によるクロス集計の分析も行った。

 調査の結果、「開発」という概念は主に「人材の育成」「貧困の克服」「生産性の向上」と捉えられていること、我が国草の根無償について、継続的支援や援助実施後のアフターケア等に改善の余地があるが、援助供与の迅速性、意思決定の透明性という面で高く評価され、拡大が望まれていること等の他、アフリカ地域で活動している開発援助関係者は「開発」を「貧困の克服」と捉えている傾向が強い等、活動地域や活動分野により全体と異なる傾向も見られ、興味深い結果が報告された。

(3) 合同評価

(イ) 仏との合同評価(フィリピン:公衆衛生)

 我が国がフィリピンで実施していた結核予防についての技術協力(公衆衛生案件)について、日仏合同で評価調査を行った。この合同評価は、94年3月にマダガスカルで仏側案件「公衆衛生支援」について行った合同評価(同評価結果は第14回評価報告書に掲載)と対をなすもので、調査は、マダガスカルでの調査とほぼ同じ調査団員により実施され、途上国における結核予防の専門家1名(仏側)が新たに参加した。

 報告は、フィリピンの結核予防政策の分析を行うとともに、プロジェクト・デザイン、実施状況、インパクト、持続発展性などにっき詳細な分析を行い、強化サービス地域内における結核患者の発見・治療、人材養成などプロジェクトの実施状況及び成果について高い評価を与えるとともに、全国公衆衛生行政に関する行動計画の策定、民間・NGOとの協調、他の援助国・機関との調整などの必要性を提言している。(なお、本件評価調査後、プロジェクトは、多くの点で、本報告の提言が実現されるような方向で展開されている。)

(ロ)米との合同評価(ザンビア:エイズ予防(米国援助案件))

 日米合同評価チームは、エイズが深刻な問題となっているザンビアにおいて米国が行っている「エイズ予防プロジェクト」についての評価を行った。このプロジェクトは、政策策定、職場におけるエイズ予防、「伝統的な治療者」、若年層のエイズ感染予防、メディアを通じたエイズ予防、任意のエイズ検査及びカウンセリング、性病の管理プログラム、少額贈与、コンドームの普及、といった種々の活動を行っており、それぞれの部門についての目標達成度の評価や、それぞれの活動を改善する方策についての提言が行われた。コンドームの普及の部門を始めとして、ほとんどの部門の活動は1順調に目標が達成されてきており、活動の効果が出てきていると評価された。ただし、性病の管理プログラムと少額贈与の部門については、今後は活動を継続すべきでないとの提言も行われた。また、「家族計画サービス・プロジェクト」との活動の統合を含め、米国がザンビアで行っている他の保健分野の活動との調整を行うべきであるとの指摘もなされた。

(4) 有識者による評価

(イ) インドネシア(南東スラウェシ州農業農村総合開発)

目黒 依子 上智大学文学部社会学科教授

 社会学者であり、WID(途上国の女性支援)についても深い見識と経験を有する目黒教授が、インドネシアにおける農村総合開発案件をWIDの視点から評価した。報告書では、住民=男ではなく、住民=男女であるとの視点から、案件の計画段階及び実施段階における女性の参加状況や女性へのインパクトなどについて調査・分析を行っている。その結果として、本プロジェクトは、当初から「WID配慮案件」として計画されたものではなかったが、プロジェクトの進捗とともに女性の労働軽減などの成果が認められるとして評価している。同時に、地域社会の総合開発においては、経済ばかりでなく社会的・文化的側面を含む統合的アプローチが必要であり、本件のような住民参加型の農村総合開発においては、男性が決定権を持つ村落構造と女性も重要な農業の担い手であるという実状を認識し、計画段階から女性の意見が案件全体の方針決定に入れられるようにするべきであること、水田稲作への転換による貧困軽減のための地域総合開発におけるジェンダー平等という視点からは、水や機械の操作・管理に女性も男性とともに携わっていくような仕組みを作ることが重要であることなどを指摘している。

(ロ) インドネシア、タイ、中国、フィリピン、マレーシア

(水道環境衛生訓練センター、環境管理センター(以上インドネシア)、環境研究研修センター(タイ)、北京市下水処理場建設計画、日中友好環境保全センター(以上中国)、パンタバンガン林業開発保全(フィリピン)、有害化学物質評価分析・産業廃棄物処理(マレーシア))

高橋一生笹川平和財団参与

(現在 国際開発高等教育機構国際開発研究センター所長)

 元OECD行政官である高橋参与が、個々の環境プロジェクトの技術的側面ではなく、東アジア各国の環境行政の分析から、我が国環境援助のあり方をテーマとして評価した。

 我が国の環境援助については評価し得る成果を上げているとしつつ、所得の増加と環境破壊の間には、一人当たり国民所得がある一定点より高くなると経済成長のもたらす環境破壊が減少し始めるという関係があり、東アジア諸国がなるべく早くこのターニングポイントに達するための努力が必要であること、そのための我が国の環境協力アプローチの型の一つとして、インドネシア、タイ及び中国に我が国が設立した環境管理センターのネットワークを基盤として、技術移転機能の拡大、人材育成の体系化を図ることを提案している。

(ハ) カンボジア、マレーシア、ミャンマー(草の根無償資金協力及びNGO事業補助金)

安村 廉 産経新聞社論説委員

 論説委員として我が国経済協力に詳しい安村氏が、草の根無償資金協力、及びNGO事業補助金プロジェクトの視察を通して、近年強い関心が持たれているNGOとの連携について、問題点を指摘し提言を行った。

 本調査において、個々のプロジェクトをミクロ的に見れば、カンボジア「職業訓練センター」では供与した機材の一部が使用されていない等、問題点もある。しかし全体的に見ればそれらは試行錯誤として許容できる範囲であり、適切なアフターケアさえ絶やさなければ、草の根無償資金協力及びNGO事業補助金は地道な貢献活動と成り得ると述べている。また、我が国、被援助国政府及び現地NGOの有機的なつながりが大切であると指摘している。

(二) タイ(環境研究研修センター、山岳民族自立支援(JOCV)、チェンキアン高地農業開発訓
       練センター設立計画、メクワン灌厩農業開発事業、東部タイ農地水保全センター事
       業)

式部 透 長崎大学経済学部教授

菅家 正瑞長崎大学経済学部教授

ウマリ・セリア長崎大学経済学部助教授

 式部教授以下長崎大学経済学部の教授、助教授3名がタイにおける環境・農業関連のプロジェクト5件を評価した。環境研究研修センターについては、環境問題が深刻化しつつあるタイにおいて着実な訓練実績を上げており、その内容も、一般大衆を含むコースの設置や地方政府職員の訓練を強調する等稗益層拡充への配慮が見られると評価している。また農業関連4件については、幾つかの案件で地域農民参加型の農業開発を行っていると評価している。全体として都市化が進んでいる地域での環境対策と共に発展から取り残されつつある貧困地域においても環境破壊的農業からの離脱、地域住民型の農村活性化を通じて環境が保全されていると評価している。

(ホ) 中国(天生橋水力発電計画)

田中耕一(賊ダム水資源地環境整備センター調査第三部長

小林守三菱総合研究所アジア市場研究部アジア研究室長

(1)最近の中国の経済発展に伴い、対象地域では産業事情のみならず社会生活、自然環境も、事業計画当時から変化しているのではないか、(2)プロジェクトの経済効果に加えて周辺事情の変化に事業施設がどの程度調和し貢献しているか、を田中部長が環境配慮の視点から、また小林室長が経済的インパクトの視点から調査した。評価の結果、天生橋2級発電所の電気は隣接する各省に送電され電力不足の解消に役立っており周辺地域の農・工業発展にも貢献していること、自然環境への影響も少なく住民移転にも生活安定計画を策定するなどの工夫が見られること等が明らかとなった。

(へ) 中国、モンゴル(青島開発計画(通信)、9省市電話網拡充計画(以上中国)、通信施設整
              備計画(モンゴル))

岩噌弘三新日本ITU(国際電気通信連合)協会専務理事

 我が国の通信電話の現状に対する幅広い知識を有し、JICA専門家として電信電話分野における技術協力にも永年係わってきた岩噌専務理事により、通信分野の我が国経済協力のうちのモンゴルと中国の計3件のプロジェクトが評価された。モンゴルにおける「通信施設整備計画」については、衛星通信地上局関連設備と電話交換機の設置により、世界各地と即時に電話接続できるようになるなど大きな効果が出ており、非常に成功した案件であったと評価された。また、中国に対する有償資金協力事業である「青島開発計画(通信)」と「9省市電話網拡充計画」は、中国における急速な電話網拡大のために重要な役割を果たしたと評価された。

(ト) ネパール(園芸開発計画、ウダイプール・セメント工場設計計画、カトマンドゥ・バスターミ
         ナル建設計画、針灸治療院支援)

中内恒夫国際基督教大学国際関係学科教授

 本評価は、国際開発の専門家である中内教授が、有識者譜面マニュアル作成の一環として、同マニュアルを用いてケーススタディを行ったものである。

 プロジェクト方式技術協力、有償資金協力、無償資金協力、草の根無償資金協力という異なる援助形態の四つのプロジェクトを対象に、各プロジェクト毎に評価の視点を設定し、評価項目に沿って言乳価を行った。評価した案件は総じて良い効果を上げているが、「園芸開発計画」については、今後の自立発展性確保のためにマーケティング能力の向上が、「ウダイプール・セメント工場」については工場の運営・管理能力の改善が必要と指摘している。

 また、草の根無償と他のスキームとの組み合わせや、ネパールでの我が国の協力のあり方として、住民参加の重視、小規模なプロジェクトの推進等を提言している。

(チ) イエメン、エジプト(カイロ大学附属小児病院、教育文化センター建設計画(以上エジプ
               ト)、建設機械センター建設計画、アッシール婦人訓練センター設備
               改善計画、ハズ村飲料水供給計画(以上イエメン))

佐藤寛アジア経済研究所研究員

 中東地域の専門家で、専門調査員として在イエメン大使館での勤務経験を持つ佐藤研究員が、エジプトの無償資金協力2件、イエメンの草の根無償資金協力案件2件、無償資金協力案件1件の評価を行った。評価にあたっては、当初想定された直接の効果に止まらず、プロジェクト周辺の住民・社会に与えた副次的影響をも加味しつつプロジェクトの持続可能性、自立発展1生について調査した。エジプトの2件については、いわゆる貧困層を対象とする通常の援助とは異なるものの、持続可能性、自立発展性が確保されており、エジプト側の評価は極めて高いとし、イエメンの草の根無償については、今後の案件増加に備え大使館ローカルスタッフヘの権限付与などの措置が提言されている。

(リ) ザンビア(ノンプロジェクト援助)

クラウンエージェンツ

 本評価は、経済協力の資機材調達を取り扱っているクラウンエージェンツを活用し、ザンビアにおける我が国ノンプロ無償の効果について検証したものである。ノンプロ無償による調達機材のエンドユーザーに対するアンケート結果を通し、我が国ノンプロ無償は、企業の生産性向上、雇用創出、中小企業の支援、食糧増産、道路輸送システムの改善等の効果をもたらし、ザンビア経済に大いに貢献したと分析している。

(ヌ) ドミニカ共和国、ホンジュラス

(果樹園芸、コンスタンサ畑地灌厩計画、青年海外協力隊(以上ドミニカ共和国)、コヨレルダム灌厩復旧計画、灌厩排水開発計画、青年海外協力隊(以上ホンジュラス))

鮫島 敬治 日本経済研究センター研究顧問

板垣 啓四郎 東京農業大学国際農業開発学科助教授

 元日本経済新聞社論説委員であり我が国経済協力全般に明るい鮫島研究顧問と農業開発の専門家である板垣助教授が、参加型開発という視点を踏まえつつ、中米における我が国の農業協力のあり方をテーマに実施した。評価の結果、我が国協力の成果は現れているとしつつ、政権の頻繁な交替、経済規模の小ささ等、経済発展上の課題を有する中米地域で効果的な農業協力を行うには、「継続性」「一貫性」「発展由という視点を念頭に置いた協力が重要であり、また、「道路」「生産者価格」「農地改革」の改善が図られれば、さらに我が国援助の効果を高めることになるであろうと指摘している。

(ル) メキシコ(地震防災、教育テレビ研修センター)

クヌート・サムセットNORAD(ノルウェー開発協力庁)コンサルタント

 NORADのコンサルタントであり、FASIDの研修コース講師の経験も有するノルウェーの専門家であるサムセット氏が、開発援助における長い経験と知見を活かし、またPCM手法(プロジェクト・サイクル・マネージメント:評価を援助の一環として位置付けるもの)を適用しつつ、メキシコにおける「地震防災」(研究協力)と「教育テレビ研修センター」(人材育成)を評価した。両案件とも、全般的に良好な成果をあげていると評価。地震防災センター、教育テレビ研修センターともに、日本側の時宜に適つた適切な投入(専門家派遣、研修員受入及び機材供与)、メキシコ側の優れた人材と熱意ある取組みなどにより、目的に適つた適切な機関として設立され、所期の通りのサービスを提供していると評価した上で、将来の自立発展性に関し、財政基盤の確保、同様のサービスを提供する他の機関との関係における位置付けなどの課題を指摘している。

(ヲ) トンガ、フィジー

        (増養殖研究開発計画、手工業・文化資源保存普及センター建設計画、青年海
         外協力隊(以上トンガ)、稲作研究開発計画、看護学校建設計画、青年海外協
         力隊(以上フィジー))

中根千枝東京大学名誉教授

 対外経済協力審議会会長であり、援助評価検討部会の委員でもある中根名誉教授が、大洋州島興国における我が国協力のあり方について評価を行った。

 脆弱な国家財政、人材不足を抱える大洋州島興国のような国々に対しては、自助努力にも限界があることを勘案して、援助のあるべき方法を考える必要がある。つまり、維持管理が比較的容易なプロジェクトが好ましく、大型の援助の場合には、国単位ではなく、隣接国を含む地球全体に波及効果のある有効な援助の方法を採るべきであると指摘している。

 また、所期の目標を十分に達成し得なかった稲作開発計画の評価から、プロジェクトを形成・実施する際の教訓として、被援助国の文化的、社会的慣習や伝統を十分に把握することが重要であると指摘している。

(5) 援助実施体制評価

 インドネシア

 日本のODAが被援助国の発展に役立っためには相手国の発展に応じ、ODAの実施体制を変えていく必要があるのではないか。我が国のODA供与累積第1位であり、かつ経済発展の著しいインドネシアにおいて援助実施体制全般に亘る評価を実施した。

 門田英郎(財)際開発センター顧問(元総務庁事務次官)を団長とする調査団は1)貧困撲滅、2)環境保全、3)人造り・教育、4)草の根レベルの協力促進、等の対インドネシア援助における新しいテーマを念頭に置き調査した。全体としては、大使館や援助実施機関(JICA、OECF事務所等)は、既存の援助スキームの枠の中で創意工夫しながら経済分野から社会分野にシフトしつつある援助ニーズに対応していると評価した上で、更なる改善のために、案件の発掘・形成、地方レベルの開発援助と面的展開、プロジェクトの自立発展等の側面から、実施体制について、長期派遣者の案件発掘・形成への活用等、工夫を凝らすべき諸点の提言を行ろている

 

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