I.政府開発援助実績(注1)


 1999年の日本の政府開発援助は、為替レートが大幅な円高となり、ドル表示での実績が上昇したこと、また新宮澤構想により設立された「アジア通貨危機支援資金」に対し、アジア開発銀行を通じて約33億ドルを拠出したことから(注2)、対前年比44.0%増の153.2億ドルとなった。経済協力開発機構(OECD)開発援助委員会(DAC)によれば、日本は91年以来9年連続して世界第1位のODA供与国である。なお、99年における我が国ODAの対GNP比は0.35%(前年は0.28%)でDACメンバー22か国中第7位(前年は12位)であり(注3)、また、国民一人当たりODAについては98年時点で84.1米ドル(97年は74.2米ドル)とDAC諸国中第9位(97年は第9位)である。なお、ODAの贈与比率については、97/98年平均で43.5%でありDACメンバー国中21位である。

 形態別では、99年の実績のうち二国間援助は全体の約7割の104.8億ドル(対前年比22.5%増)となり、その内訳は、無償資金協力が23.2億ドル(同7.1%増)、技術協力が31.6億ドル(同15.4%増)、政府貸付等が50.0億ドル(同36.9%増)であった。また、国際機関(世界銀行など国際開発金融機関及び国連の開発関係機関)を通じた援助は全体の約3割の48.5億ドル(対前年比132.3%増)となっている。

 昨年に引き続いての二国間援助、特に政府貸付の増加は、アジア通貨・経済危機から立ち直りつつあるアジア諸国のグローバル化への対応能力の強化、社会的弱者支援等を背景としたものである。

(注1)
  • 国際的な比較の都合上、暦年・ドルベースの統計を主として用いている。円で実績等が示される場合は、括弧内に99年DAC指定レート(1ドル=113.9円)でドル換算した額を概数で表示している。
  • 資料編II.99年我が国の政府開発援助実績参照。
  • 特記なき限り、東欧諸国及び卒業国向け及び欧州復興開発銀行(EBRD)向けを除く。
(注2) 但し保証のための拠出国債を除けば、98年に比し14.3%増の121.6億ドル、円ベースでは0.5%減の1兆3,854億円。
(注3) 他のDAC諸国との比較上、東欧諸国向け及び卒業国向け、EBRD向けを除いた数値。


BACK / FORWARD / 目次