学校防災マップを自ら作成するエルサルバドルの中学生たち(写真:マリア・エバ・オルティス、オスカル・マウリシオ・ジョベル/JICA)
2011年3月11日に東北地方太平洋沖で発生したマグニチュード9.0の巨大地震によって引き起こされた東日本大震災は、死者・行方不明者合わせて約1万9,000人、全壊した家屋約13万戸、発災直後の避難者は約47万人、被害総額は約16兆9,000億円という甚大な被害をもたらしました。これに対し、救援物資・義援金の寄付、緊急援助隊の派遣など世界各国から多くの支援が寄せられました。今回の震災における日本の経験と教訓を世界と共有し、世界各国の防災への取組に貢献することは、震災時に寄せられた各国からの温かい支援に対し応えることでもあります。
翌2012年7月3、4日の2日間、日本の主催により、「世界防災閣僚会議in東北」が前年の震災の被災地でもある仙台市を中心とする東北地方で開催されたことは、たいへん大きな意味を持っています。会議には、63か国(外務大臣、防災担当大臣をはじめとするハイレベルが参加)、14国際機関の代表のほか、国際・国内NGO、民間セクターの代表など、約500名が参加しました。
「世界防災閣僚会議 in 東北」仙台での全体会合
野田総理大臣(当時)は冒頭の挨拶において、震災で得た知識・経験と教訓を国際社会と共有していくことは日本が人類全体に負っている重大な責務であること、震災時に各国から寄せられた支援と励ましに「恩返し」をする意味でも、日本は国際社会に貢献していくとして、防災分野で2013年から3年間で30億ドルの支援を行う旨を述べました。また、ピーリス・スリランカ外務大臣からスマトラ沖地震インド洋津波について、ブラウンリー・ニュージーランド震災復興大臣からクライストチャーチ地震について、それぞれの経験と教訓につき報告がありました。東日本大震災については、宮城県の女川第一中学校の女子生徒2名から、自らが遭遇した実際の過酷な体験を経て、自分たちで話し合い、考えた、これから生まれてくる人に向けたメッセージと思いを、「互いに絆を深めること」、「高台へ避難できるまちづくり」、「大震災を記録に残すこと」として世界に向けて発表しました。
岩手県一関市、宮城県石巻市、福島県福島市では、分科会が開催され、それぞれ、災害の備えができた強靱(きょうじん)な社会のあり方や防災教育の重要性、災害後に必要な幅広い関係者の連携、温暖化・都市化などの災害リスクへの対応、などについて議論が行われました。
2日間の会議の議論の内容は議長総括として発表されました。議長総括の主なポイントは次のとおりです。
世界防災閣僚会議in東北を通じ、これらを主な要素とする「21世紀型の防災」を提案し、日本として、今後、国際社会の防災分野の取組を主導していく決意を表明しました。
2009年のインドネシア、パダン沖地震の被害調査の様子。災害に強い社会基盤構築推進のための研究について、インドネシアの防災研究者と連携を行い、研究成果を実践に移す体制をつくろうとしている(写真:JICA)
津波で流された陸前高田の市街地を視察するアフリカ防災セミナーの参加者(写真:JICA)