第3節 ODA事業の透明性向上と継続的改善

2010年6月に発表した「ODAのあり方に関する検討 最終とりまとめ」においては、援助の計画(Plan)、実施(Do)、評価(Check)、フォローアップ活動(Act)という一連の事業サイクル(英語の頭文字をとって「PDCAサイクル」)の中で、次のような取組を通じて、援助の透明性向上(「見える化」)を進めようとしています。すなわち、第三者の関与を得ることでODAの説明責任の向上を図る、援助の効果を明示する、プロジェクトの現状や成果などを目に見える形にする、わかりやすい評価報告書を作成する、といったものです。これらを通じて援助の透明性を高め、情報開示を強化することとしました。 この方針を踏まえ、2011年1月には「戦略的・効果的な援助の実施に向けて~見える化の徹底とPDCAサイクルの強化~」を発表し、10月にはそのフォローアップとして「戦略的・効果的な援助の実施に向けて(改訂版)~ODA事業の透明性向上と継続的改善~」を発表しました。(PDCAサイクルについてはこちらを参照

2011年中の取組としては以下のものを実施しました。計画段階において、国別援助方針を導入しました。これは、被援助国の政治・経済・社会情勢を踏まえ、相手国の開発計画、開発上の課題などを考慮した上で策定する国別の援助方針であり、今後3年をめどに原則としてすべてのODA対象国について策定することとしています。これまでの国別援助計画とその下で策定された事業展開計画を統合し、より簡潔で戦略性の高いものに改編して、「選択と集中」による援助の方向性の明確化を目指します。また、個別の案件については実施に係るPDCAサイクル強化の観点から2011年10月に第1回開発協力適正会議を開催しました。経済界・言論界・NGOなど外部の有識者からなる委員との意見交換を通じて、有償資金協力・無償資金協力・技術協力の個別事業を対象に、調査の段階から適正化を図るものです。評価段階では、外務省におけるODA評価の体制を強化し、その独立性を強化するため、評価機能を2011年4月に国際協力局から大臣官房に移管、ODA評価室を新たに設置するとともに、ODA評価室長には外部から評価専門家を迎えました。JICAにおいては、有益な教訓やモデルが得られそうな案件については、より詳細な事後評価を行うこととし、また、ホームページ上に評価報告書の検索データベースを加えるなど、評価の質の向上と評価情報へのアクセス改善を図りました。

ODAに対する国民の理解と支持をさらに得ていくための広報のあり方として、2010年10月にJICAのホームページ上(外務省ODAホームページから直接リンク)に透明性向上のための「ODA見える化サイト」を立ち上げました。全世界で展開しているODA事業のうち、JICAが実施を担当する有償資金協力、無償資金協力および技術協力の各案件について、各事業の概要、案件の形成から完了までの過程を国民にわかりやすく伝えるため、写真や、事前・事後評価などの情報を随時掲載しています(2011年9月末までに455件を掲載)。現在実施中の案件のみならず、過去10年程度の間に完了した案件にも遡った掲載について、2013年度末を目標に実施する予定であり、できる限り包括的な情報開示を目指しています。日本NGO連携無償資金協力をはじめとする、外務省が実施主体となる無償資金協力の案件についても外務省のホームページに随時掲載しています。

ODA見える化サイト http://www.jica.go.jp/oda

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