3. 効果的実施のために必要な事項

(1)評価の充実

より効果的・効率的なODAを行うためには、援助実施状況や効果を的確に把握し改善していくことが必要です。そのため外務省を含む関係府省庁やJICAは、モニタリングや評価を強化しています。

ODAの評価は、政策の策定(Plan)→実施(Do)→評価(Check)→反映(Act )のサイクル(PDCAサイクル)の中に位置付けられ、その結果得られた教訓や提言はODA政策の策定および実施過程に反映(フィードバック)するため、関係部局をはじめ、被援助国政府にも伝えられます。また国民に対し、ODAがどのように使われ、どのような効果があったのかを説明することも重要であり、評価はホームページなどにも掲載され、国民に対する説明責任(アカウンタビリティー)を果たす役割も担っています。

現在外務省では、主に政策レベルの評価(国別評価および重点課題別評価)やプログラムレベルの評価(援助手法別評価)を行い、JICAではプログラムレベルの評価(セクター別評価やテーマ別評価など)およびプロジェクトレベルの評価を行っています。

外務省が実施する政策レベルの評価やプログラムレベルの評価は、政策の妥当性、結果の有効性、プロセスの適切性の観点から評価を実施し、その客観性・透明性を確保するため、第三者評価を行っています。なお、2004年度より「ODA評価有識者会議」に委託して評価を実施してきましたが、より効果的なODA評価の在り方を検討するため、2009年度をもって同会議は一旦終了しました。

 一方、JICAが実施するプロジェクトレベルの評価やテーマ別評価については、2008年10月の新JICA発足に伴い、有償資金協力、技術協力に加え、2009年度からは無償資金協力を加えた3 つの援助手法の評価を実施しています。今後は各プロジェクトの事前段階から、実施段階を経て、事後に至るまで一貫した評価を行うとともに、3つの援助手法に整合性のある評価の仕組みを確立していきます。なお、これらの評価は妥当性、有効性(インパクト)、効率性、持続性の観点から行われ、事後評価においては外部による評価を実施しています。

これ以外にも、「行政機関が行う政策の評価に関する法律」(いわゆる「政策評価法」)に基づいて、外務省では経済協力政策全般に関する政策評価や一定額を超える案件の事前評価、5年未着手または10年未了案件(注85)の事後評価も行っています。

こうした評価で得られた提言と教訓は、それぞれフォローアップを行い、新規プロジェクトの計画・実施へ反映しています。

ODA評価の見直しに関しては、第II部・第2章・第1節 4.評価の改善も参照してください


注85 : 5年未着手案件とは案件実施決定後、5年を経過した時点で貸付契約が締結されていない、あるいは貸付実行が開始されていないなどの案件。10年未了案件とは、案件実施決定後10年を経過した時点で貸付実行が未了である案件を指す。


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