4. 評価の改善
「ODAのあり方に関する検討」では、ODAの評価の改善についても言及されています。ODA評価は「PDCAサイクル」(注7)に適切に位置付けることでODA実施の効率化や管理の改善を図るとともに、国民への説明責任を果たしています。今後はODAの評価に関する体制をさらに強化し、過去の教訓を今後の援助に着実に反映できるよう努め、また評価結果の活用を推進するため、評価手法を研究し、分かりやすい評価を実施することを検討しています。具体的には以下の項目について推進・検討を行っています。
(1)ODA評価体制の強化-評価部門の独立性の強化と外部人材の登用
2010年6月に公表された「OECD-DAC対日援助審査報告」においても指摘されたことも受け、ODA評価部門の体制とその独立性を強化し、評価の客観性と重みを高めることとしました。具体的には、外務省のODA評価部門の責任者に知見と経験を有する外部の人材(有識者など)を招くことやODA評価部門をODA政策部門から分離することを検討しています。また、NGOやコンサルタントなど、外部や現場からの意見・提言が外務省やJICAに届きやすくなるよう、「ODAご意見箱(仮称)」を設置する予定です。
(2)過去の成功例・失敗例から確実に教訓を学び取るための仕組み
評価を通じて得られた教訓や提言をこれまで以上に活用すべく、ODAの質の向上に役立て無駄のない援助の徹底を図ります。具体的には、政策レベルの評価については、日本の外交政策や開発協力の重点分野に応じて案件を選定し、プロジェクトレベルの評価では、事後段階の評価に加え、できる限り有益な教訓を引き出せそうな案件を選別して詳細な評価を実施するとともに、評価結果のさらなる案件形成・選定段階へのフィードバックを徹底します。また、個別プロジェクトを形成・選定する際には、当該対象国の案件や類似の案件に関するそれまでの評価結果が十分に反映されているか確認する体制を一層整備していく予定です。
(3)評価の「見える化」による情報開示
ODA評価の結果については、関係省庁・政府機関、NGO、関係企業、研究者を含むあらゆる国民に広く情報を開示し、説明責任を果たすとともに、ODAに関する様々な議論の材料を提供することが重要です。このため、評価報告書は、できる限り専門用語を使わない簡潔な表現で記載するとともに写真や図表を活用して、「分かりやすさ」を徹底します。また、外務省の政策レベルの評価にレーティング(評価結果を長い文章で表すのではなく、いくつかの段階表示で端的に示すこと)を導入する是非についても検討しているところです。なお、評価報告書の内容は従来どおり、外務省およびJICAのそれぞれのホームページですべて公開していきます。
注7 政策の策定(Plan)→実施(Do)→評価(Check)→反映(Act)のサイクル