3. 現場主義の強化

現場の機能強化のため、2003年から大使館およびJICA現地事務所などで構成される「現地ODAタスクフォース(現地TF)」が各国で設置されています。

現地TFは開発途上国における援助ニーズの把握に加えて、日本の援助の方向性や重点分野などを示す国別援助計画の策定、相手国政府との政策協議、ほかの援助国・機関や国際機関との連携に関与します。そのほか、援助手法の連携や見直し、援助候補案件に関する提言をするなど、幅広い役割を担っています。たとえば、ほかの援助国・機関や国際機関との連携では、開発途上国政府の主体性の下に、援助国を含む関係機関が協力し、「貧困削減戦略文書(PRSP注6))」や「セクター別計画」の策定・改訂が進められており、現地TFもそうした議論に積極的に参加しています。現地TFは、開発ニーズの把握、現地援助コミュニティとの連携、現地日本企業・NGOなどとの連携を行っていますが、活動のレベルにはばらつきが見られ、それぞれのタスクフォース間での知見・経験・成功例の共有が十分とはいえません。

効果的なODAの実施のためには、相手国のニーズを迅速に把握でき、相手国政府やほかの援助国・機関との対話を行うことのできる現地の体制の強化が必要です。そのため政府開発援助大綱や政府開発援助に関する中期政策では、現地の機能を強化する方針を打ち出しています。

現地TFがその役割を十分果たせるように、人員の強化や情報・知見の共有での支援を実施しています。人員の面では、これまでにアフリカの9つの大使館に援助協調に対応するために「経済協力調整員」を派遣し、援助協調にかかわる情報収集・調査や日本の政策についての対外発信および提言を行う体制をとってきています。また、情報・知見の共有では、相手国の経済全体を明らかにするマクロ経済や国家の開発計画についての情報を収集・分析するために、現地の大学や研究所へ調査を委嘱し、その調査結果を援助の実施に役立てています。さらに相手国政府・援助関係者に日本の援助政策を紹介し、意見交換を行うためのワークショップの機会も設けています。

ODAのあり方に関する検討」では、<1>経済協力調整員の拡充による援助協調対応の強化、<2>現地TFと現地日本企業やNGOとのワークショップをより頻繁に行うことによる対話・情報収集の強化、<3>地域または近隣国の複数の現地TFによる情報共有の場を設置することによる地域別・課題別の現地TF間の情報・知見の共有(こうした横の連携強化により、成功例や知見をタイムリーに共有・活用する)など、現場で活動する関係者の情報を最大限活用し、事業の実施に活かしていくこととしました。今後、その実現に向けた取組を進める予定です。


注6 PRSP : Poverty Reduction Strategy Paper


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