4. アフリカ(サブ・サハラ)地域
アフリカ、特に、サハラ砂漠より南に位置するサブ・サハラ・アフリカは、依然として深刻な貧困問題に直面しています。サブ・サハラ・アフリカ諸国の大半(48か国中33か国)は後発開発途上国(LDC)であり、人口の約半分が貧困ライン(一日約1ドル)以下の生活を送っています(注64)。また、同地域には、内戦や紛争、難民、干ばつによる飢餓、HIV/エイズをはじめとする感染症のまん延など、発展を阻害する深刻な問題を抱える国も多く、国際社会から多大な援助を必要としています。国連安保理やG8サミットなどにおける議論を見ても、アフリカのこうした問題は国際社会の重大な関心事となっています。
一方、アフリカは豊富な天然資源や美しい自然環境に恵まれており、貿易・投資や観光の促進による経済成長の大きな可能性を有しています。日本は、アフリカが持続的な経済成長および貧困削減などを実現するため、国際社会の責任ある一員として、相応の貢献をしていくことが求められています。
注64 : サブ・サハラ・アフリカでは、全体の人口の約51パーセントが1日1ドル25セント未満で暮らしている。
< 日本の取組 >
日本は、アフリカの自助努力(オーナーシップ)と国際社会による協力(パートナーシップ)を基本原則とするアフリカ開発会議(TICAD)の開催を通じて、アフリカ自身による開発課題への取組に、積極的に協力してきました。1993年に開始したTICADの15周年にあたる2008年5月には、横浜において第4回アフリカ開発会議(TICAD IV)を開催し、2009年3月には、ボツワナにおいてTICAD IVの支援策の履行状況を確認する閣僚級会合を開催しました。また、2009年4月に開催されたG20ロンドン・サミットにおいて日本は、対アフリカ支援に係る力強いメッセージを表明しました。また、アフリカの持続的な成長のためには、民間企業の進出や資源開発が重要であり、これら取組を支援するための調査もODAにより実施しています。
●アフリカ支援については、第I部第1章第2節を参照してください。
「水の防衛隊」派遣
2008年に開かれたTICAD IVにて日本は「水の防衛隊」派遣を打ち出しました。これは、アフリカ諸国に日本の技術者(青年海外協力隊やシニア海外ボランティアを含む)を派遣して安全な水を安定的に利用できるように技術指導を行う構想です。安全な水の確保と給水施設の維持管理、水利用に関係する衛生環境の改善などの幅広い活動を展開しています。これまでエチオピア、セネガル、タンザニア、南アフリカに派遣しており、2012年までの5年間で、さらに多くのアフリカ諸国に様々な分野の技術者を派遣し、現地の人々と協力して安全な水を人々に届ける取組を行っていく計画です。
飲用に適さない不衛生な水を汲む住民。安全な水へのアクセスが限られている。(写真提供 : JICA)
スーダンにおける学校水衛生改善事業(写真提供 : (特活)JEN)