(3)食料

2008年の食料価格高騰に伴い、多くの開発途上国で飢餓や貧困の脅威が増大し、社会不安が拡大しました。国連食糧農業機関(FAO)によると、2009年の栄養不足人口は約10億2,000万人と予測されており、ミレニアム開発目標(MDGs)が掲げる2015年までの飢餓人口の割合半減の経路から遠ざかりつつあります。また、紛争、自然災害、金融・経済危機の発生などにより、食料支援の必要性は高まっています。さらに、社会的セーフティネットの確保や栄養改善、食糧増産による需給バランスの改善など、多面的な施策が必要です。

< 日本の取組 >

このような状況を踏まえ、日本は、食糧援助を行っています。2008年度には、二国間食糧援助として24件、計163億4,000万円の支援を行いました。また、多国間食糧援助では、主に国連世界食糧計画(WFP)を通じて、緊急食糧援助、教育の機会促進や地域社会の自立をサポートする食糧支援などを実施しています。2008年度には総額約260億円をWFPの事業に拠出しました。

農業に関する日本の実績については、農業分野の実績を参照してください。

アジア食料安全保障情報整備強化支援事業

日本は従来、ASEAN諸国間の情報ネットワーク整備や食料・農業統計データの改善を通して、ASEAN地域の食料安全保障に貢献してきました。現在日本は、生産予測情報などの整備にかかわる地域研修や地域ワークショップの開催を行っています。また、域内格差是正のため域内先発途上国による後発途上国への技術支援を促進しています。日本は生産予測情報などの整備において、豊富な経験・ノウハウなどを有しており、これらの取組により、ASEAN全域の食料安全保障がより迅速かつ的確に把握・監視され、強化されることが期待されています。

(写真提供 : WFP


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