(4)資源・エネルギー
開発途上国では、電力へのアクセスを享受できない人々が約15億人います(注45)。エネルギー・サービスの欠如は、産業の未発達、雇用機会の喪失、貧困化、そして医療サービスや教育を受ける機会の制限といった問題につながります。今後、世界のエネルギー需要はアジアをはじめとする開発途上国を中心に増大することが予想されており、エネルギーの安定供給や環境への適切な配慮が不可欠です。
注45 :(出典)国際エネルギー機関「2009年世界エネルギー展望」(2009)
< 日本の取組 >
開発途上国の持続可能な開発およびエネルギーの確保のため、近代的なエネルギー・サービスの提供や産業育成のための電力の安定供給に取り組んでいます。また、エネルギー利用の効率化や再生可能エネルギーを活用した発電施設など環境に配慮したインフラ整備支援を行っています。たとえばザンビアでは、配電網や小水力発電設備の整備により、住民の生活環境の改善に貢献しています(「電力アクセス向上事業」)。
また、近年では、民間と連携して発電所や港湾などのインフラ整備を行う取組が進められつつあり、ベトナムでは円借款による発電計画の策定や発電所などの基盤設備の建設によって、後続の発電事業において日本の企業を含む民間企業の独立発電事業者(IPP)事業参画が促進されました(「フーミー火力発電所建設事業」)。
資源国に対しては、資源開発を通じた外貨獲得によるその国の自立的発展に協力するとともに、鉱山周辺インフラの整備などを含めた資源国のニーズに応じた支援などにより、総合的かつ戦略的な関係の構築・強化を図っています。これらを通じ、企業による資源の開発、生産、輸送の円滑な実施を通じたエネルギー・鉱物資源の安定供給を確保していくため、国際協力銀行(JBIC)、日本貿易保険(NEXI)、石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)による支援に加えODAを積極的に活用していくことが重要です。
フリータウン電力供給システム緊急改善計画(シエラレオネ)
シエラレオネでは、内戦や発電所設備の老朽化により、首都フリータウンとその周辺地域の電力供給が極めて脆弱です。このため計画停電が日常化し、一般家庭ではほとんど電力供給を受けられない状態(1週間に1日、数時間程度の電力供給)にあります。そこで日本は、フリータウンの首都機能の維持および周辺地域住民に対する安定した電力供給を行うため、必要な施設整備および増強に関して必要な資金を無償資金協力により供与しています。