3.地球規模問題への取組

(1)環境問題

環境問題は、1970年代に国際的に議論され始めました。1992年の国連環境開発会議「地球サミット(UNCED注40))」、2002年の「持続可能な開発に関する世界首脳会議(WSSD注41))」での議論を経て、国際的にその重要性が、より一層強く認識されました。2008年7月のG8北海道洞爺湖サミットにおいては、環境・気候変動は主要テーマの一つとして取り上げられ、建設的な議論がなされました。環境問題は、未来の人類の繁栄のためにも、国際社会全体として取り組んでいく必要がある課題です。


注40 : UNCED:United Nations Conference on Environment and Development

注41 : WSSD:World Summit on Sustainable Development


< 日本の取組 >

環境汚染対策においては、日本は多くの経験や技術を蓄積しており、それらを開発途上国の公害問題に活用しています。特に、急速な経済成長を遂げつつあるアジア諸国を中心に、都市部での公害対策や生活環境改善(大気汚染、水質汚濁、廃棄物処理など)への支援を進めています。

自然環境保全については、住民の貧困削減を考慮しつつ開発途上国の自然保護区などの保全管理、持続可能な森林経営の推進、砂漠化対策および自然資源管理の支援を行っています。それらを通じ、開発途上国における生物多様性の保全を図っています。また、日本も参加している生物多様性条約の下では、2010年までに、生物多様性の損失速度を顕著に減少させる「2010年目標」が設定されており、日本はこの目標を達成するため、様々な取組を行っています。

マングローブが生い茂る汽水域にも不法投棄などの環境破壊が進んでいる(トンガ)

マングローブが生い茂る汽水域にも不法投棄などの環境破壊が進んでいる(トンガ)(写真提供 : JICA

環境・気候変動問題や生物多様性への取組に関する日本の実績については、第I部第3章を参照してください。

環境開発計画(フィリピン)

フィリピンでは、マニラ首都圏を中心に、人口の増加、経済活動の活発化が進む一方、水不足、水質汚濁、大気汚染、廃棄物排出量の増加など、生活環境の悪化が深刻となっています。しかし、環境改善のための設備投資促進は、一般的に収益を生みがたく、民間金融機関による中長期の資金供給はあまり進んでいません。このような状況を受け、日本は、現地の民間企業、地方自治体、政府出資企業に対し、約248億円の円借款を通じて環境保全のための設備投資に必要な中長期資金を融資しています。貸付資金は<1>水供給・水質保全(上下水道施設の整備)、<2>再生可能エネルギー、<3>産業公害防止、<4>固形・医療・有害廃棄物処理、への融資およびコンサルティング・サービス費用に充当されています。


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