3.G8北海道洞爺湖サミットと主要経済国首脳会合

2008年の7月7日から9日まで開催されたG8北海道洞爺湖サミットでは、環境・気候変動は主要な議題の一つとされました。同G8サミットにおける気候変動問題についての議論の成果は、以下の3点に要約されます。

第63回国連総会で一般討論演説をする麻生太郎内閣総理大臣
第63回国連総会で一般討論演説をする麻生太郎内閣総理大臣
(写真提供:内閣広報室)

(1)長期目標
2050年までに世界全体の排出量を少なくとも50%削減するとの目標を、気候変動枠組条約の全締約国と共有し、同条約の下での交渉において検討し採択することを求めることで合意しました。
(2)中期目標
G8各国が自らの指導的役割を認識し、すべての先進国間における比較可能な努力を反映しつつ、排出量の絶対的削減を達成するため、野心的な中期の国別総量目標を実施することで合意しました。同時に、実効的かつ野心的な2013年以降の枠組みのためには、すべての主要経済国が意味ある緩和の行動をコミットすることが必要であることで一致しました。
(3)開発途上国関係
開発途上国の温室効果ガスの削減や適応対策の努力を支援するため、7月1日世界銀行に「気候投資基金」が設立されたことを歓迎・支持することで一致しました。また、より貧しい国々が気候変動の悪影響に対して最もぜい弱であることを認識し、災害リスクの低減を含めた気候変動への適応に対する協力を継続・強化することで一致しました。

さらに、7月9日に開催された主要経済国首脳会合は、開発途上国も含む16の主要経済国の首脳レベルが一堂に会し、気候変動問題に特化して議論を行った初めての場となりました。同会合では、①温室効果ガスの排出量削減につき世界全体の長期目標を含む長期協力行動のためのビジョンの共有を支持するとともに、気候変動枠組条約の下での交渉において、世界全体の長期目標を採択することが望ましいこと、②途上主要経済国は今後対策をとらないシナリオの下での排出量からの離脱を達成するため国ごとの適切な緩和の行動を遂行すること、③開発途上国の気候変動に適応する能力を強化するため共に努力していくこと―などで一致しました。

図表I-2 環境・気候変動分野の成果