3. 国民との連携の強化

  国際協力は、幅広い国民各層の参加を得て実施されており、開発途上国における開発の成果を高めるためには、今後、特に民間企業、NGOとの連携強化が重要です。

(1) 官民連携の推進
  民間企業の事業展開(直接投資)と政府開発援助の実施を合目的的に連携させる戦略的な官民連携を進めることが、存在感のある日本の国際協力の推進につながります。そのため、外務省では、経済団体や個別の民間企業と意見交換の場を設け、対話を深めています。2007年10月には、TICAD IVも見据え、アフリカに対して官民合同の調査団を派遣し、アフリカにおける官民連携の可能性を調査しました。また、資源・エネルギーの確保の観点からの官民連携も重要です。

→ 第1章第2節のこちらも参照してください

(2) NGOとの連携
  NGOは開発途上国で地域住民とともに活動を行っており、多様な援助需要に応じたきめ細かな援助が可能です。大規模な自然災害が発生した場合には、NGOは被災国政府からの要請を待たずに被災現地に素早く赴き、迅速かつ柔軟な緊急人道支援活動を展開することが可能です。また、日本の「顔の見える援助」という点からもNGOの活動は重要です。近年、NGOは開発援助、緊急人道支援のみならず、環境、人権、貿易、軍縮などの分野において様々な活動を行っており、国際社会においてますます大きな役割を果たすようになっています。
  政府は、日本のNGOの活動強化を図るため、NGOの海外での活動に政府資金を提供し、また、日本のNGOの基盤強化に向けた各種の能力強化事業やNGOとの対話、連携を推進してきています。
  日本NGO連携無償資金協力は、開発途上国・地域で活動する日本のNGOが実施する経済・社会開発活動に対して事業資金を提供する制度で、2002年度の設立当初には20億円であった予算は、2007年度には28億円になっています。
  また、政府はNGOの能力強化への協力を実施しています。近年、日本のNGOは国際協力の現場において目覚ましい活動を行い、高い評価を得ているものの、より一層活躍するためには、その専門性や組織実施体制の強化が必要です。このような観点から、NGOの組織強化や人材育成に向けた様々なプログラムを実施しており、2007年度からは、海外のNGOへ日本のNGO職員を派遣する研修事業を開始しました。
  同時に、NGOとの対話・連携の強化に努めています。国内では、1997年からNGO・外務省定期協議会を開始し、日本の援助政策や日本NGO連携無償資金協力についての討議が活発に行われています。また、実施機関であるJICAJBICもNGOと定期協議会を開催し、政府開発援助事業に対するNGOからの意見を積極的に取り入れています。国外では、大使館関係者、JICA、JBIC、NGO関係者が定期的な意見交換を行う試みが2002年に始まり、これまで、カンボジア、バングラデシュ等の13か国で実施しています。
  このような国内外におけるNGOとの協議に加え、NGO、政府、経済界が連携して、2000年にジャパン・プラットフォーム(JPF)が設立されました。JPFには日本NGO25団体が参加し、緊急人道支援の際には、事前に供与された政府開発援助資金や一般企業・市民からの寄付金を活用して、迅速な援助を実施しています。JPFは、2006年度、インドネシア(ジャワ島地震)、イラク、スーダン、リベリア、東ティモールおよびレバノンに緊急人道支援活動を展開し、これらに活用された政府開発援助は約10億円となりました。
  日本のNGOが開発途上国の様々な援助課題に一層積極的に対応できるようにするため、今後とも連携・協力の充実・多様化に努めていきます。

コラム 4 スリランカの安全な血液供給を支える


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