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第1章 実績から見た日本のODA

2006年5月に発生したジャワ島中部地震での医療活動の様子(写真提供:JICA)
2006年5月に発生したジャワ島中部地震での医療活動の様子(写真提供:JICA

Point

●2005年(暦年)のODA実績は、対前年比47.3%増の約131億4,658万ドル。ただし、要因はイラクに対する債務救済及びインドネシアへの債務猶予であり、それを除けば、対前年比3.8%減。
●2005年のODA実績の内訳は二国間ODAが全体の79.2%、国際機関を通じた支援が20.8%。

 2005年の日本の政府開発援助(ODA:Official Development Assistance)実績は、二国間ODAが対前年比75.9%増の約104億621万ドル、国際機関を通じたODAが対前年比8.8%減の約27億4,037万ドルで、ODA全体では対前年比47.3%増の約131億4,658万ドル(円ベースでは、対前年比50.1%増の約1兆4,474億円)となりました。
 現在日本のODA予算は1997年をピークに、35%も減少しています。そうした中で、2005年のODA実績は2004年の約89億2,246万ドルを大きく上回る結果となりました。これはイラクに対する債務救済の実績(約32億2,092万ドル(約3,546億円))やスマトラ沖地震等への支援の一環としてインドネシアに対して行った債務支払猶予による増額分(約13億4,152万ドル(約1,477億円))という特殊要因があったことが主な原因です。こうした特殊要因を差し引いた2005年のODA実績は約85億8,414万ドル(約9,451億円、対前年比3.8%減)となります。
 日本のODA実績の内訳としては、二国間ODAが全体の79.2%、国際機関を通じたODAが20.8%を占めています。二国間ODAについては、開発途上国との協議を経て援助プロジェクトを実施するため、日本と被援助国との関係強化に貢献することが期待されています。また、国際機関を通じたODAは国際機関の専門的知見の活用、政治的中立性の確保、政府ベースの援助が届きにくい国・地域への支援が可能であるなどのメリットがあります。そのため日本は、二国間での対応および国際機関との連携を柔軟に使い分け、適切に援助が供与されるよう努力しています。
 二国間ODAの内訳を見ると、無償資金協力として計上された実績は約65億2,362万ドル、ODA実績全体の49.6%(約7,283億円、対前年比53.7%増)を占めています。このうち債務救済は約47億7,569万ドル、36.3%(約5,258億円、対前年比97.9%増)を占め、債務救済を除いた無償資金協力として日本が供与した金額は約17億4,793万ドル、13.3%(約1,924億円、対前年比8.5%減)を占めています。債務救済が日本のODA実績全体の約3分の1を占めた理由としては、上述のイラクに対する債務削減、拡大HIPC(Heavily Indebted Poor Countries:重債務国貧困国)イニシアティブによる債務免除の実施などが挙げられます(拡大HIPCイニシアティブについては第II部第2章第2節2.(7)を参照してください)。また、技術協力は約26億7,106万ドル、20.3%(約2,941億円、対前年比4.8%減)、政府貸付等が約12億1,153万ドル、9.2%(約1,334億円、対前年比約2,646億円増)、債務救済を除いた政府貸付等は約24億3,377万ドル、18.5%(約2,680億円、対前年比138.1%増)となっています。
 また、二国間ODA(東欧及びODA卒業国を含む)を地域別に見ると、アジアは全体の36.6%、約38億4,109万ドル(約4,229億円)、うち、債務救済分は約800万ドル(約9億円)、中東は全体の33.2%、約34億7,922万ドル(約3,831億円)、うち債務救済分は約32億2,178万ドル(約3,547億円)となり、中東に対する二国間ODAは、債務救済がそのほとんどを占めています。アフリカは全体の10.8%、約11億3,734万ドル(約1,252億円)、うち債務救済分は約1億2,388万ドル(約136億円)、中南米は4.0%、約4億1,502万ドル(約457億円)、うち債務救済分は約8,217万ドル(約90億円)、大洋州は0.9%、約9,697万ドル(約107億円)、債務救済分はありません。欧州は3.1%、約3億2,061万ドル(約353億円)、うち債務救済分は約1億1,762万ドル(約130億円)となっています。

図表II―1 2005年の日本のODA実績

図表II―1 2005年の日本のODA実績

図表II―2 日本のODA予算の推移・他の主要経費の推移(当初予算ベース)

図表II―2 日本のODA予算の推移・他の主要経費の推移(当初予算ベース)

図表II―3 二国間ODAの地域別配分の推移

図表II―3 二国間ODAの地域別配分の推移

図表II―4 DAC主要国のODA実績の推移

図表II―4 DAC主要国のODA実績の推移

図表II―5 DAC諸国におけるODA実績の対GNI比

図表II―5 DAC諸国におけるODA実績の対GNI比

図表II―6 DAC諸国におけるODA実績の国民一人あたりの負担額

図表II―6 DAC諸国におけるODA実績の国民一人あたりの負担額

図表II―7 日本のODA実績と対GNI比率の推移

図表II―7 日本のODA実績と対GNI比率の推移

図表II―8 日本の二国間ODAに占めるLDC向け援助額

図表II―8 日本の二国間ODAに占めるLDC向け援助額

図表II―9 日本の二国間ODAに占めるLDC向け贈与の割合

図表II―9 日本の二国間ODAに占めるLDC向け贈与の割合



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