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第II部 2005年度のODA実績

小学校にも留年制度があるホンジュラスでは、学力不足による子どもの留年・中退が大きな問題となっている。(写真提供:JICA)
小学校にも留年制度があるホンジュラスでは、学力不足による子どもの留年・中退が大きな問題となっている。(写真提供:JICA
ホンジュラスでの算数教材(写真提供:JICA)
ホンジュラスでの算数教材(写真提供:JICA)

第II部 Summary

 第II部では、第1章において、2005年の日本のODA実績をDAC統計に基づいて概観し、第2章において、2005年度のODAの実施状況を援助政策の新たな展開も含め、概括的に説明します。

 2005年(暦年)の日本のODA実績は、対前年比47.3%増の約131億4,658万ドルとなりましたが、これは、イラクに対する債務救済及びインドネシアへの債務猶予という特殊要因によるものであり、これらの要因による増加分を除けば、実績額は対前年比3.8%減少しています。
 なお、2005年のODA実績の内訳は、二国間ODAが全体の79.2%、国際機関を通じたODAが20.8%を占めています。

 2005年度の特筆すべき動きとしては、イラクに対する国づくりへの支援、対中国ODA、インドネシアへの巡視船艇供与などが挙げられます。
 日本を含む国際社会は、引き続き、イラクの国づくりへの支援を進めています。日本は、自衛隊派遣による人的貢献とODAによる支援を「車の両輪」としてイラク復興支援を実施してきました。そして、イラクの国家再建に必要な生活基盤の再建及び治安の改善に重点を置き、総額約15億ドルの無償資金協力をすでに実施・決定したほか、行政官や技術者の育成、国際機関やNGOを通じた復興支援、約60億ドルの債務削減の決定等を行いました。2006年7月には陸上自衛隊がイラクから撤収しており、今後は円借款による支援を進める段階に本格的に移行します。
 2005年4月の日中外相会談において、日中両国は、2008年の北京オリンピック前までに円借款の新規供与を終了することについて共通認識に達しました。現在、その細部について事務レベルでの協議を実施しています。一方、無償資金協力及び技術協力については、環境問題や感染症などの日中間における共通の課題の解決に資する案件及び日中両国の相互理解・交流の増進に資する案件を中心に実施しています。
 2005年3月、マラッカ海峡において日本の船舶「韋駄天」が海賊に襲撃され、日本人が拉致されました。このような状況にかんがみ、日本はテロ・海賊対策を強化するため、2006年6月、無償資金協力により、インドネシアに対して巡視船艇3隻を供与することとしました。なお、この巡視船艇には防弾措置を施したため、武器輸出三原則等における武器に該当しましたが、テロ・海賊等の取締り等のためのみに使用されることや日本の同意なく第三者に移転しないことを政府間の合意で担保した上で官房長官談話を発出し、同原則等の例外としました。


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