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(5)地雷除去・小型武器の回収

 カンボジアやアフガニスタンのような長年紛争が続いた地域を中心として埋設されている地雷、及び、多くの紛争犠牲者をもたらしていると言われる小型武器は、子どもを含む一般市民などの非戦闘員に対しても無差別に被害を与えており、人道上極めて重大な問題です。さらには、復興・開発活動を妨げ、紛争再発の原因となることもあります。
 ODA大綱並びに新ODA中期政策では、平和の構築という観点から、紛争予防のための兵器の輸出入管理の強化、不正な武器の取引防止、法制度整備などに関する開発途上国の能力強化支援、紛争終了国における国内安定・治安確保のために、地雷や小型武器を含む武器の回収・廃棄への支援、地雷被害者などの能力強化に特段の配慮を払う旨明記しています。

アフガニスタンにおける地雷除去作業の様子
アフガニスタンにおける地雷除去作業の様子

(イ)地雷対策への取組
 日本は「犠牲者ゼロ・プログラム」(注)の下、地雷除去を含む地雷対策支援を積極的に行ってきており、1998年以降の支援総額は180億円以上にのぼります。2004年12月、対人地雷禁止条約(オタワ条約)第1回検討会議においては、アジア・中東・アフリカ地域に力点を置きつつ、[1]「平和の構築」への貢献、[2]「人間の安全保障」の視点の重視、[3]産官学民の連携による技術開発への取組の三原則に従って、従来同様の規模で地雷対策支援を行うとの新たな地雷政策を表明しました。
 2004年度は、従来からの国際機関を通じた資金協力、対人地雷対策無償、草の根・人間の安全保障無償、日本NGO支援無償などを用いた支援を引き続き行ったほか、2005年3月には、包括和平合意が成立したスーダン南部における地雷対策を進めるため、UNMASを通じた約7億7,000万円(約700万ドル)の緊急無償支援を決定・実施しています。また、手作業による地雷除去には相当の危険と時間が伴うことから、日本は、地雷除去活動の安全性と効率性の向上のために、地雷探知・除去技術の研究開発にも積極的に取り組んでいます。日本は、今後とも世界からの地雷廃絶を訴えていくとともに、人道の視点のみならず、開発の視点も取り入れながら対人地雷対策支援を引き続き積極的に実施していきます。

column II-15 内側からの改革を目指して~UNDPの杉本恵太さん

図表II-24 対人地雷問題に関連する支援実績の割合

図表II-24 対人地雷問題に関連する支援実績の割合


(ロ)小型武器回収への取組
 小型武器への対策として、日本は単に小型武器を回収するだけではなく、違法な小型武器の流通を防止し、小型武器を保持する理由を除去することを目的とした、包括的な取組を関係機関と協力して実施しています。カンボジアにおいては、政府および地方政府と協力して、「小型武器回収の対価として開発を提供するプロジェクト」を実施しています。2004年度には第2フェーズへの拠出を決定しました。このプロジェクトは、武器回収の対価として、地域住民の意向に沿ったインフラ(道路、井戸、橋、学校の修理・建設)を整備するとともに、政府による小型武器の管理・登録のためのシステムづくりを行う事業で、2005年3月末までに11,000丁以上の小型武器を回収しました。また、2005年3月には、UNDPを通じてシエラレオネにおける「開発のための武器回収計画」を支援することを決定しました。日本は、今後ともこれらのプロジェクトの経験も活かし、小型武器問題に関する取組を積極的に実施していきます。


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