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column II-15 内側からの改革を目指して~UNDPの杉本恵太さん


地雷対策に関するセレモニーにて。中央が杉本さん
地雷対策に関するセレモニーにて。中央が杉本さん

 2004年の春、日本政府のJPO(Junior Professional Officer)派遣制度 注)を通じて、南部アフリカのアンゴラへUNDPの事業担当官として赴任しました。私にとってアンゴラは、1997年から内戦が再発する1998年まで、難民の帰還支援のためNGOの一員として勤務したことがある、思い出深い国です。
 アンゴラでは、2002年4月、長年続いていた内戦が終結して以来、戦後復興から開発への移行を支援するべく、多くの国際機関やNGOが活動しています。UNDPはこうした戦後の平和の定着、開発への移行を支援することを使命としており、私は特に地雷対策を担当しています。避難民の帰還や社会・経済の復興は、地雷が埋まっている土地では達成することができません。人々の安全を保障し、開発の基盤を確保することが、地雷対策の大きな目標です。
 具体的には、新規事業の策定や評価、それにアンゴラ政府や資金拠出国との交渉などが私の日々の任務です。アンゴラの人々が自らの手で平和を築き、開発を推進して行けるように、国際社会の知識や経験を伝え、様々な面で能力の向上に寄与するべく地雷対策事業を計画しています。アンゴラは対人地雷禁止条約の批准国です。これまでのところ、UNDPの支援により、アンゴラ政府は地雷対策を全国レベルで計画し調整する政府委員会を設立し、2006年末までの備蓄対人地雷の廃棄を目指しています。現在は、地雷除去を専門とする政府機関の能力強化を目的として、新たな事業の策定を進めています。
 こういった支援を適時適切に実施するためには、私自身を含め、UNDPの各職員が能力の向上に励むとともに、事務所内で各部署を補強し、連携の強化を図ることが重要です。こうしたUNDP自身の改革について、私は上司や常駐代表ともたびたび議論を交わしています。
 「Be the change you wish to see in the world(世界に変化を求めるなら、まず自分が変わること)」。 ガンジーの言葉を思い出しながら、自分自身から変わることを意識して、アンゴラの開発に、そしてUNDPという組織の改革に貢献できればと思います。

2005年7月31日、アンゴラにて

注)外務省主催で毎年行っている国際機関への派遣制度。この選考試験に合格すると原則2年間の任期で、派遣取り決めを結んでいる国際機関に若手職員として派遣される。


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