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(2)アフガニスタン
アフガニスタンは、20年以上にわたる内戦により経済・社会インフラ、統治の基本システムが破壊された状態から、新しい国づくりに対する努力を続けています。日本及び国際社会は、アフガニスタンの和平・復興への取組が、世界全体の平和と安定、さらには、テロの根絶・防止にもつながるという考えに基づき、2002年1月に日本が主催したアフガニスタン復興支援国際会議(東京会議)においては、国際社会全体から45億ドル以上の支援が表明され、日本も向こう2年半で最大5億ドルの支援を表明しました。続く2004年4月のアフガニスタン国際会議(ベルリン会議)においても、日本は2006年3月までの2年間で、東京会議で表明した支援に加え、さらに4億ドルの追加支援を表明するなど、アフガニスタンの復興に対する積極的な姿勢を印象づけました。2005年7月末までに、日本は約9億2,200万ドルに上る支援を実施してきています。
日本は、2002年5月の川口外務大臣(当時)アフガニスタン訪問の際に表明した、「平和の定着」構想に基づき、「和平プロセス」、「治安」、「復興」の3つの分野に支援を実施してきています。具体的には、DDR(Disarmament, Demobilization and Reintegration:元兵士の武装解除、動員解除、社会復帰)、選挙実施準備、メディア支援、行政経費支援、地雷対策、インフラ整備(主要幹線道路整備など)などを重点的に支援しています。特に、円滑な復興開発を可能とするためのDDRプロセスについては、日本が主導的な立場で協力しており、2005年3月には、UNDPを通じ、アフガニスタン移行政権によるDDRプロセスを支援する「アフガニスタン新生計画」を紛争予防・平和構築無償により実施しました。DDRプロセスの進捗は、アフガニスタン政府をはじめ、国際機関からも高く評価されており、同年7月7日には、約6万人の元兵士の武装解除・動員解除が終了しました。また、緒方貞子アフガニスタンに関する総理特別代表(当時)の2度のアフガニスタン訪問を踏まえた提言に基づいて実施している地域総合開発支援(緒方イニシアティブ)は、地方復興支援のモデルを提示し、人道支援から復興・開発への継ぎ目のない移行を図る試みとして評価されています。
日本の復興支援は多岐に渡ります。2004年度は無償資金協力により「カブール国際空港ターミナル建設計画」などのインフラ整備を始めとして、教育分野への支援としては、無償資金協力により学校の圧倒的な不足により2部・3部制を組まざるを得ない状況を解消するための「学校建設計画」を実施しています。さらに、世界遺産であるバーミヤン遺跡の保存・修復、活用などに関する計画の作成と石窟内の壁画の保存・修復作業を進めています。
2004年10月には、国際社会が見守る中、アフガニスタン大統領選挙が、日本を含む国際社会の支援も得て無事に終了しました。今後は、今般民主化プロセスを経て選出されたカルザイ大統領主導のもと、アフガニスタンは国づくりへの努力を続けていきます。日本は、アフガニスタン政府の国づくりに対するオーナーシップに対し、引き続き積極的に協力を推進していきます。

カブール市内に設置され復興の象徴となったバス停
column II-14 DDR(武装解除、動員解除、社会復帰)の現場から~在アフガニスタン大使館井上DDR担当参事官