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(9)国際組織犯罪
近年、グローバル化やハイテク機器の進歩、人の移動の拡大などが進むに伴い、国境を越えて大規模かつ組織的に行われる国際組織犯罪の脅威が深刻化しています。主な例としては、薬物や銃器の不正取引、盗難品の密輸、詐欺・横領などの企業犯罪や経済犯罪、通貨、支払いカードなどの偽造、汚職、脱税や資金洗浄(マネーロンダリング)などの金融犯罪、売春、不法移民、女性や児童の人身取引などが挙げられます。このような国際組織犯罪に対処するためには、各国それぞれによる対策強化とともに、司法・法執行分野の国際協力により、法の抜け穴をなくすための努力が必要です。
日本は、国連やG8などの国際機関や枠組みを通じた国際組織犯罪分野でのルール作りや、対策の検討・協力に、積極的に貢献してきています。国連アジア極東犯罪防止研修所(UNAFEI:United Nations Asia and Far East Institute for the Prevention of Crime and the Treatment of Offenders)(注)は、1998年から国際組織犯罪対策を主要テーマとする国際研修を実施してきており、2004年度には、刑事司法担当者のためのマネーロンダリングに関する研修を行っています。また、汚職は組織犯罪の温床となっていることから、UNAFEIでは、2004年からタイの国家汚職防止委員会事務局職員を対象に汚職問題に焦点を合わせた研修をスタートさせました。この研修は、JICA国別特設研修として、汚職に関する諸問題を総合的に検討するとともに、腐敗抑圧、資産調査における技術的・法律的知識の向上を図り、職員の能力及び効率性を高めることを目的としています。
人身取引問題も国際的な課題となっています。日本は、東南アジア諸国をはじめとする環太平洋諸国などの出入国管理機関との相互の交流を深め、協力関係を強めるとともに審査技術の向上を図り、各国の出入国管理行政の的確・円滑な運営に資することを目的として、1987年以来毎年、「東南アジア諸国出入国管理セミナー」を開催しており、2004年度は、「各国における人身取引の現状と対策について」を議題とし、他国との連携を図りました。また、国際組織犯罪には偽変造旅券が使用されるケースが多いことから、1995年以降、東南アジア諸国をはじめとする環太平洋諸国などの出入国管理機関における偽変造文書鑑識技術者などとの情報及び意見交換を行い、相互の協力関係の発展、鑑識技術の向上を図り、関係諸国・地域の出入国管理行政の的確・円滑化に資することを目的として、「偽変造文書鑑識技術者セミナー」を毎年開催しており、2004年度も積極的な情報交換を行いました。
column II-13 少年たちの更生に向けて
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