本文 > 第I部 > 第2章 > 第4節 > (3)国連首脳会合(2005年9月)
(3)国連首脳会合(2005年9月)
国連ミレニアム宣言のフォローアップのための首脳会合は、188か国の首脳級が参加してニューヨークで開催され、2015年のMDGs達成に向け、全世界がさらなる努力を重ねることを確認しました。最終日に採択された成果文書では約5割が開発問題に割かれ、先進国と開発途上国の開発に関するグローバル・パートナーシップの構築やODAの対GNI比0.7%目標達成に向けた努力を含む先進国による開発資金の動員、開発途上国による国内の開発資金の動員、債務救済、貿易・投資の重要性、南南協力、教育・保健・ジェンダーなどの社会分野の取組の重要性、農村開発、環境・持続可能な開発、アフリカをはじめとする各地域の事情に応じた支援などについて提言されています。
(イ)日本の貢献
首脳会合中に開催された開発資金に関する特別会合には、町村外務大臣が出席し、日本が、ODA事業量の100億ドルの積み増しを目指すことやアフリカ向けODAを倍増すること、援助の質と効率の向上に努めることなどを改めて表明しました。また、人間の安全保障、開発途上国のオーナーシップや南南協力といったアプローチの重要性を強調しました。同時期に開催された安保理首脳会合の機会には、町村外務大臣から、アフリカの紛争後の状況における諸問題に関するTICAD国際会議を近く開催する旨発表しました。そして、国連総会首脳会合に出席した小泉総理大臣及び開発資金に関する特別会合における町村外務大臣の双方から、MDGsを達成するためには善意の意図表明だけではなく、行動が求められるとして、日本を含め先進国がこれまでに行った約束を実行に移すことの重要性を強調しました。
また、日本はこの機会に、主に先進国が取り組むべき目標として掲げられているMDGs目標8(開発のためのグローバルなパートナーシップの推進)に対する貢献を報告書にまとめて発表しました(報告書の詳細は囲み I-5を参照)。
さらに、関係国際機関や開発途上国などとも協力し、「MDGs達成のための農業研究・技術の普及」及び「MDGs達成のための地方貧困女性の経済エンパワーメント」と題する2つのサイドイベントを開催しました。前者では、アフリカにおける農業振興策の一環として日本が積極的に開発に協力してきた新たなコメの品種であるネリカ稲を紹介し、MDGs達成のために農業開発が果たす役割の重要性とともに、農業分野で最大の援助国として日本がこれまで地道に取り組んできた成果を強調しました。後者では、地方女性の潜在能力の発揮が、ジェンダー平等と貧困削減の実現、そしてMDGs達成に寄与することを指摘し、日本が3月に発表したODAを通じた「ジェンダーと開発(GAD:Gender and Development)」イニシアティブにのっとり、開発援助のすべての段階でジェンダーに配慮した取組を進めていることなどを紹介しました。
(ロ)「日米戦略的開発協調」の立ち上げ
この会議の機会に行われた日米外相会談においては、両国がMDGsの実現に向けて協力していくことで意見の一致を見ました。さらに、両国は、世界の2大援助供与国である日米間の協力は、開発途上国が援助を効果的に開発へつなげていくための一助となるとの考えから、「日米戦略的開発協調」を立ち上げることで合意しました。経済成長を通じた貧困削減、国のオーナーシップ、能力開発・強化を通じた持続可能性、開発と安全保障といった共通の開発原則を謳った共同声明を発表し、今後、日米両国が効率的に援助を進めていく上で戦略的に重要な国を選定し、焦点を当てて協力していくこととしています。
これまで見てきたように、MDGsは21世紀の国際社会が共有する開発課題であり、その実現は国際的な公約です。アジア・アフリカ閣僚会議において、町村外務大臣が、日本は「有言実行」の国であると述べたように、日本は、以上に述べたような施策を着実に実施することにより、MDGs達成に向けて引き続き積極的に貢献していきます。
Coffee Break ミレニアム開発目標ってなに?