囲み I-5 ミレニアム開発目標(MDGs)の目標8に対する日本の取組
目標8は、主に先進国がMDGs達成のために取り組むべき課題をとりまとめたものである。外務省は、1990年から現在までの目標8に対する日本の貢献をとりまとめ、2005年の中間レビューの機会に報告書として発表した。
報告書の概要
第1章:政府開発援助(ODA)
1.ODA量
・日本は1991年から2000年まで世界最大のドナー。1990年から2003年までのODA総額は1,533億ドルと世界のODAの5分の1を拠出。2005年、今後5年間でODA事業量の100億ドルの積み増しを表明。アフリカ向けODAについても今後3年間で倍増を表明。
2.国際機関を通じた援助
・1990年から2003年の累積額は372億ドル(総額の約15%)で、DAC諸国中最大の貢献。
3.後発開発途上国(LDC)、内陸開発途上国(LLDC)及び小島嶼開発途上国(SIDS)向け援助
・2003年のLDC向け援助実績は11億ドル。無償資金協力の供与相手国トップ5のうち3か国がLDC。
・LLDC向け経済インフラ支援は1990年代を通じてDAC諸国中第1位。
・第3回「太平洋・島サミット」では太平洋島嶼地域の開発戦略である「沖縄イニシアティブ」を採択。
4.援助効果向上
・2000年以降、ODA大綱の改定、JICA及びJBICの組織改革など、援助効果向上のためODA改革を推進。ベトナムなどで、援助効果向上に向けた具体的な取組を実施。
・援助効果向上に関するパリ・ハイレベル・フォーラムでは、日本独自に行動計画をとりまとめ公表。
・2003年の二国間ODAにおけるアンタイド率は96.1%。
5.経済成長を通じた貧困削減
・東アジア・大洋州のODA供与累積額(1990年-2001年)は781億ドル(サブ・サハラ・アフリカについては1,107億ドル)、同期間の平均経済成長率は7.5%であり、2億人が貧困から脱出。
・貿易・投資の促進による民間セクター支援を主導。
6.基礎社会サービス向けODA
・基礎教育分野、保健分野、水衛生分野などを積極的に支援(詳細は第I部第2章第3節参照)。
7.防災への貢献
・2004年のスマトラ沖地震の際には迅速に5億ドルを拠出。2005年1月神戸で開催された国連防災世界会議で「防災協力イニシアティブ」を発表。
第2章:貿易・投資、その他政府資金の流れ(OOF)
1.市場アクセス改善と貿易歪曲的措置の削減
・2003年4月の制度拡充以降、LDCからの輸入金額の約93%が無税・無枠。
・LDCからの農業産品の輸入額は2002年で3.8億ドル(主要先進国中第2位)。農業産品に対する輸出補助金もゼロを維持。
2.貿易関連の能力強化
・貿易に関する能力強化に向けたODA件数は年間1000件以上。
・貿易関連インフラ支援については1990年から2002年の累積でDAC諸国中最大の実績。
3.その他政府資金の流れ(OOF)と海外直接投資(FDI)
・1990年代を通じて開発途上国向けOOFはDAC諸国中第1位、民間資金の流れは概ね第2位。
・南南協力推進の観点から、開発途上国二国間投資協定交渉の主催、アフリカ・アジアビジネスフォーラムの開催、TICADエクスチェンジネットワークの設立など、積極的に貢献。
第3章:債務救済
・従来より、国際合意に基づく債務救済を実施。
・拡大HIPCイニシアティブを超えた自発的措置としてODA及び適格な非ODA債権の100%削減を実施。
・他のG8諸国とともに、HIPCがIMF、IDA及びAfDFに対して抱える適格な債務を100%削減する提案に同意。
・拡大HIPCイニシアティブによる債務削減額はG8諸国中最大の22億ドル(G8諸国貢献分の約21%)。