囲み I-6 後発開発途上国(LDC)向けODAのアンタイド化勧告
1. 勧告の概要
(1)目的と原則
OECDのDAC(開発援助委員会)は、1961年の発足以来、加盟国の援助効果を高める手段について討議を重ねてきた。その中の議題の一つに、二国間援助による物資やサービスの調達先を拠出国などに限定する、いわゆる「ひも付き」援助を行わないようにすべきか否か(「アンタイド援助」)という問題がある。DACは長年にわたり、この問題についての討議を重ね、2001年5月、後発開発途上国(LDC)向けのODAのアンタイド化をすすめる勧告を採択し、同勧告は2002年1月に発効した。
(2)勧告が適用される範囲
本勧告は技術協力を対象外とし、さらに、食糧援助と投資関連技術協力(IRTC)については各国の自発的な判断に委ねている。したがって、日本のODAでは、無償資金協力(除く、食糧援助)及び有償資金協力が勧告の対象となる。
(3)負担の均衡
DAC加盟国によって、それぞれのODA総額に占める勧告の適用範囲の割合にバラツキがあると、加盟国間に不公平感が生じる可能性がある。そのため、各国が実施するアンタイド化の努力がバランスのとれたものとなるように、モニタリングを行い、各国のアンタイド化に向けた努力を促進していくことが合意されている。
(4)透明性の確保
勧告は、透明性を確保し、勧告の遵守状況を監視するため、次のような手続きを規定している。
(イ)アンタイド型の案件については、DAC事務局に対して、案件ごとにプロジェクト額、入札期間、調達制度などに関する事前通報を行う。
(ロ)案件ごとの落札者情報をDAC事務局に通報する。
(ハ)DAC加盟国間で追加情報が必要であったり、不明な点を問い合わせをする必要がある場合の情報提供のための手続きを定める。
(5)モニタリング
勧告がODAの量や質に与える影響、及びDAC諸国それぞれの勧告の実施状況などにつき毎年レビューを行い報告を取りまとめる。
2.日本のアンタイド化実施状況
日本のアンタイド化の実施状況は、2003年約束額ベースで、LDC向けODAでは65%、二国間ODA全体(技術協力と行政経費を除く)では96.1%となっている。