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囲み II-1 人間の安全保障の取組例

人間の安全保障基金を通じた取組

◎概要
★1998年12月、小渕総理大臣(当時)のハノイにおける政策演説の中で、国連に「人間の安全保障基金」を設立することを発表し、1999年3月設置された。
★国際社会が直面する貧困、環境破壊、紛争、地雷、避難民問題、麻薬、感染症など多様な脅威に取り組む国連関係の国際機関の活動の中に、人間の安全保障の理念を反映させ、人間の生存・生活・尊厳を確保していく目的で、各事業に対し拠出を行う。
◎実績
★2004年(暦年)には、26案件、約3,261万ドルを承認。
 ●2004年に承諾された主な案件
  ・「ザンビア・イニシアティブ:地方統合を通じての開発」
 周辺国から難民が流入したザンビア西部州において、地域社会の難民受入能力を強化し、難民受入地域の安定を図るプロジェクト。かんがい施設の普及、家畜の保護対策などの農業支援事業および家畜用道路の整備、劣化した土地の植林などを行い、食料の生産能力を強化するとともに、難民が受入国のコミュニティに貢献しうる一員となるための環境を整える。
  ・「出稼ぎの多いコミュニティにおけるHIV対策」
 季節的要因や仕事を求めて地方から都市部に流入する人々が多いタイ北部・北東部のコミュニティにおいて、HIVに対する知識を高め、HIVの脅威から人々を保護し、脅威に対応できる能力を強化するプロジェクト。出稼ぎ労働に伴うHIVの危険性を周知するための活動、コミュニティを基礎とする所得創出を通じた持続性のある経済基盤の構築、コミュニティ主導の所得創出活動の立案などの支援を行う。

草の根・人間の安全保障無償資金協力による取組

◎概要
★2003年度より、人間の安全保障の理念をより強くプロジェクトに反映させるため、従来の草の根無償資金協力を拡充した。
★開発途上国の地方公共団体、教育・医療機関、及び開発途上国において活動しているNGOなどが現地において実施する比較的小規模なプロジェクトに対して実施する援助であり、いわゆる草の根レベルに直接裨益することを目的としている。
◎実績
★2004年度は1,306件、107か国・1地域へ約128億9,695万円を供与。
 ●2004年度に実施された主な案件
  ・「アンパーラ県津波被災地域におけるコミュニティ緊急復旧支援計画」(スリランカ)
 スリランカ東部地域アンパーラ県における津波災害からの復旧を促進するため、同県内被災地域でコミュニティ支援活動を行っている現地NGOアンパーラ県社会福祉機関を通じ、ブルドーザーやトラクターなどの機材を供与し、住民自らの力によるコミュニティの復旧を支援。
  ・「タシケント市シャイハンタウル地区“モフラルオイム”女性と若者の職業訓練センター環境整備計画」(ウズベキスタン)
 ウズベキスタン国タシケント市シャイハンタウル地区における職業訓練センターに対し、女性支援を目的として裁縫、コンピューター、料理などの分野の職業訓練機材を供与し、コミュニティ内の失業問題を改善するとともに、就業を通じた女性の所得向上を図るもの。


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