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2.南アジア地域
 日本の南アジア地域に対する2003年の二国間ODAは、約9億6,285万ドルで、二国間ODA全体に占める割合は16.0%です。
 南アジア地域は、世界人口の5分の1を占め、4か国がLDCであり、世界最大の貧困人口を抱えています。ODA大綱は、南アジア地域における大きな貧困人口の存在に十分配慮することとしています。こうした貧困、人口問題に加え、初等教育普及率の低さや保健医療の未整備、また、感染症問題なども深刻であり、MDGs達成を目指す上でもアフリカと並び最大の課題を抱える地域です。また、核不拡散問題及び2001年9月11日の米国同時多発テロ事件以降の「テロとの闘い」という側面からも、同地域は日本を含む国際社会の重要な関心地域です。
 日本は、今後もこの地域の抱える貧困問題への対応を重視していくとともに、域内各国の経済自由化や経済面を中心とした地域協力等の地域の安定と発展に向けた望ましい動きを支援していく考えです。
 貧困削減と貧困層の生存の確保のための支援としては、特に、LDCであるバングラデシュ、ブータン、ネパール、モルディブに対しては、無償資金協力と技術協力の連携をはかりつつ、農業、居住環境、保健・医療等の基礎生活分野に重点を置いた協力を行っています。特に、WHOが定める「2005年までにポリオを世界から根絶する」との目標を支持し、その目標達成のため、西太平洋地域からのポリオ根絶に引き続き、南アジア地域のポリオ根絶のため、2003年度はインド、パキスタン、バングラデシュに対して、ワクチンの供与などで積極的に支援を行いました。
 民間活動の活発化及び海外からの投資促進に資する環境整備のための人材育成、経済・社会インフラ整備等への支援においては、人材育成については、インド、パキスタン両国が比較的高い技術水準を有していることから、ネパール、バングラデシュ、スリランカを中心に支援を行っています。また、経済・社会インフラ整備については、主に域内のLDC諸国を対象に無償資金協力による基礎インフラ関連案件支援を行っています。また、円借款により、インドに対してはエネルギー分野及び運輸インフラ分野を中心に、例えば、深刻な電力不足を解消するための「プルリア揚水発電所建設計画(第2期)」や首都デリーにおいて深刻化している交通渋滞や大気汚染問題に対処するため、「デリー高速輸送システム建設計画(第5期)」、住民参加型の植林を通じて環境を改善するとともに事業地域の貧困層の所得向上を支援する「ハリヤナ州森林資源管理・貧困削減計画」等を実施しています。
 スリランカの和平プロセスの支援については、2003年6月、日本、米国、ノルウェー、EU(European Union)が共同議長となり、51か国、22国際機関が参加して、「スリランカ復興開発に関する東京会議」が開催され、今後4年間で総額累計45億ドルを超える支援の意思表明がなされ、日本も、和平の進展を十分見極めながら今後3年間で最大10億ドルまでの支援を行う用意があることを表明しました。なお、スリランカの和平プロセス支援に関しては、2003年版ODA白書52頁も参照ください。

図表II-31 南アジア地域における日本の援助実績

図表II-31 南アジア地域における日本の援助実績


columnII-9 平和構築に貢献する円借款~スリランカ「農村経済開発復興計画」


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