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(7)テロ
 テロは、国境を越えて行われ、途上国のみならず、先進国を含めた国際社会全体に直接影響を及ぼす重大な地球的規模の問題です。途上国の中には、テロ事件捜査、出入国管理、テロ資金対策などのテロ対処能力が必ずしも十分でない国もあり、テロリストにテロの手段を与えない、テロリストに安住の地を与えない、テロに対する脆弱性の克服という観点から、日本としても、これら諸国のテロ対処能力の向上を重視しています。また、テロが多発すれば、海外直接投資等経済活動が停滞するおそれがあることから、途上国にとってもテロ対策を強化し、テロを未然に防止することは開発の重要な前提条件であり、ODAを活用して自らのテロ対処能力を高めることが、途上国の開発上の利益にも合致するものと考えられます。
 特に、東南アジア地域との関係では、この地域におけるテロを防止し、安全及び安定を確保することは日本の繁栄にとっても重要なことから、同地域に対し重点的に支援を実施しています。具体的には、出入国管理、航空保安、税関協力、輸出管理、警察、海上保安機関の能力強化等の分野において、2003年度には、約220名の研修員を受け入れました。また、2003年9月には、化学兵器テロの予防、発生の際の危機管理・被害対処、これらテロに使用される物質の管理等に関する知識・経験の提供・共有及び地域間協力のあり方等を目的とした「アジア・大洋州地域諸国に対する化学・生物テロ被害対処及び危機管理セミナー」を実施しました。このセミナーは、2002年10月のAPEC首脳会議の際に、小泉総理大臣より、テロ対処面における危機管理能力向上を目的として2003年度より5年間で150人の研修員受入を実施する旨表明したことを踏まえて開催されたものです。更に、2003年6月、フィリピンに対し、テロ対策にも資する支援として、大量に保管されている犯罪者の指紋や被疑者の指紋と犯罪現場の遺留指紋とを自動で照合する指紋自動識別システムの整備をガバナンス無償(注)にて行いました。日本は、今後もテロ対策関連機材の供与などを含め、この分野での協力を積極的に行っていく方針です。


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