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(4)食料
世界では約8億人が飢餓に瀕しており、このうち約3億人は子供であり、5秒に1人の子供が飢餓に関係する理由で亡くなっていると言われています。世界食料サミット(ローマ宣言)及びMDGsでは、2015年までに飢餓に苦しむ人口比率を半減させることが掲げられていますが、内戦、自然災害、テロ、HIV/AIDS感染流行等の理由により、食糧支援の必要性は高まり続けています。食糧支援を行う国際機関であるWFPは、2003年、約1億人を対象に33億ドルの食糧配給を行い、活動規模は前年の倍以上になっています。
日本は、このような国際社会による取組を踏まえ、既に説明したとおり、食糧不足に直面している途上国に対して短期的な取組として食糧援助を行うとともに、途上国の食料生産性の向上に向けた努力を中長期的に支援する取組を並行して進めています(II部2章3節1-(4)以下参照)。食糧援助については、飢餓への対応として人道的見地から実施しており、主にアフリカを対象に2003年度は二国間援助で計20か国、国際機関(WFP及び国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA:United Nations Relief and Works Agency)経由で計23か国・地域に112億6,400万円の拠出を行いました。このうち、WFPに対しては、2003年に1億3,000万ドルの拠出を行い、米、EC、英に次いで第4位の援助国となっています。
緊急状態において、生命の危機に瀕している人々に対しては一般食糧配給が重要ですが、受益者の自立支援を促進する観点からは、プロジェクト型の食糧援助活動が重要になります。日本は、WFPが実施する学校給食、「Food-for-Work」(労働の対価としての食糧配給)を積極的に支援しています。世界では、約1億人の子供が小学校に通っていませんが、学校給食を実施することで、児童の出席率及び授業への理解度が向上し、さらに出席した児童、特に女児に対して家に持ち帰るための食糧も併せて配給することで、家族の生活補助を行うとともに、家族の教育に対する理解促進にも役立っています。また、「Food-for-Work」は、地元農民の参加により農村インフラ等の整備を実施し、その労働の対価として食糧配布を行う事業であり、地元住民のオーナーシップの促進を目的としています。
図表II-25 食糧援助の地域別配分


食料援助の様子(スワジランド)