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(3)人口
 世界人口は過去50年で倍増し、今日では63億人(注)を超えています。人口問題は、地球環境や食料、エネルギー問題とも関連する地球的規模の問題です。特に、多くの途上国においては、人口増加が貧困・失業、飢餓、教育の遅れ、環境悪化等の問題に大きな影響を与えており、対応が急務となっています。
 人口問題には、人口の増加・減少といった数の問題、また人々の生活の向上といった質の問題の両面があり、それぞれの視点からのアプローチが重要となっています。日本は、途上国への支援に際し、家族計画などの直接的な支援と共に、基礎的保健医療、女子の基礎教育やジェンダーなどを含めた包括的アプローチをとっています。具体的には、家族計画/リプロダクティブ・ヘルスに関する活動(II部2章3節1-(2)参照)や途上国の人口政策への支援等を行っているUNFPAIPPFへの支援を行っており、2003年度にはUNFPAに対して49億円、IPPFに対して19億円の拠出を行いました。これら拠出金は、途上国の国勢調査等人口関連のデータ収集・分析のために用いられるほか、妊産婦の健康改善、女性の能力強化、世界全体で12億人を超えるといわれる思春期の若者を対象としたプロジェクト等に活用されています。なお、人口/リプロダクティブ・ヘルス分野で活動する日本のNGOは、アフガニスタンの母子医療保健支援活動、ミャンマーにおけるリプロダクティブ・ヘルスの広報教育活動、ラテンアメリカ及びカリブ地域の思春期の若者を対象としたリプロダクティブ・ヘルスに関する教育プログラムの強化などでUNFPAやIPPF(International Planned Parenthood Federation:国際家族計画連盟)と協力しています。
 また、日本はUNFPAがエリトリアにおいて実施する紛争と干ばつにより被害を受けた住民の生活の質を改善することを目的とする「リプロダクティブ・ヘルスに関連する疾病率、死亡率削減のためのコミュニティの取組強化」計画に対して人間の安全保障基金を通じて支援を行い、バングラデシュ政府が妊産婦死亡率を低下させるために策定した「緊急産科医療サービス強化支援計画」に対する無償資金協力等を実施しました。
 2004年はカイロで開催された国際人口・開発会議の10周年にあたることから、日本がメンバーを務める国連人口・開発委員会やUNFPAの執行理事会を通じて国際社会の対応強化に努力しており、今後も人口問題についての議論に積極的に参画していく考えです。


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