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columnII-1 ガーナにおける現地ODAタスクフォースの活動

 近年、ガーナの開発を取り巻く環境は、貧困削減戦略(GPRS:Ghana Poverty Reduction Strategy)の策定、現地レベルでの援助協調の活発化など、著しい変化を遂げています。特に、2001年の拡大HIPCイニシアティブ(第II部2章3節2-(7)参照)への参加をきっかけとしてガーナが債務救済措置の対象になり、それまで比較的大きな割合を占めていた円借款による新規協力が困難となったことは、日本の対ガーナ支援方針の根本的な見直しを迫ることになりました。
 このような変化に危機感を募らせたガーナの現地の大使館とJICA事務所は、新しいODA大綱でも重視されている「国別アプローチ」につながる、対ガーナ援助方針を同国の現状に合致した形で改定するための共同作業を開始しました。具体的には、ガーナの政府関係者、そしてガーナの有識者や経済人とも政策対話を繰り返し、GPRS体制下でのガーナの開発のニーズをより的確に確認する一方、日本の弱点や比較優位なども考慮しつつ、3~5年にわたる中長期的視点から、GPRS開発目標のうち日本のとるべき開発支援の方向を絞り込んできました。こうした現地での連携強化に基づく開発支援の再構築は、正に現在、新ODA大綱の下で進められている「現地ODAタスクフォース」の流れを先取りするものであり、試行錯誤の連続でした。
 その一例として、ガーナでは、加速する援助協調に如何に対応していくべきかという問題があります。ガーナは国家財政上ドナーからの援助に大きく依存している国ですが、そうした国では、各ドナーの支援を効率的・効果的に活用するために、国家予算の策定プロセスに沿った形で、各国が協調して援助の中長期的な見通しを高めること(これを「予測性」と言います)が求められてます。それに対して、日本のODAは単年度予算をベースとして実施されるので、中長期的な見通しを立てるためには工夫が必要になります。この課題を克服し現地レベルの援助協調に積極的に参画するために、ガーナの現地ODAタスクフォースは、単年度予算をベースとする日本のODAを通じた異なる年度の複数のプロジェクトを相互に関係付けるなどして、日本の援助の「予測性」が高まるよう取り組みました。
 このように、現地 ODAタスクフォースの活動は、日本のODAの弱点や比較優位を率直に検討し、その克服・改善・強化を通じて日本の開発援助政策にフィードバックするなどして、日本の支援が援助国・被援助国の双方にとって意義あるものにするには日本として何をすべきなのか、それを見つけ出すプロセスでもあります。ガーナをはじめ、各国で現地ODAタスクフォースは正に日本のODA改革の最前線として活動を続けています。

現地での政策協議の様子
現地での政策協議の様子


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