囲みI-5 日本政府に対するDAC援助審査勧告(仮訳)(2003年12月)
戦 略
1.ODA大綱の実施にあたり、日本は、ODAの第一の目的が援助受入国の開発であることを強調すべきであり、より狭い国益が、この目的に優先しないことを確保すべきである。
援助量
2.日本は、横断的イシュー、特にミレニアム開発目標(MDGs)を達成する一環としての貧困削減について、個別セクターとして扱うのではなく、これらを主流化させる政府全体のアプローチを形成するべきである。
3.日本は、幅広い国民の支持を形成し、経済状況の改善に伴いODA量を増加させるよう最大限の努力を払うべきである。
4.債務貧困国へのローンの供与が多額の債務救済を招いた経験から得られた教訓は、今後の貸付政策に生かすべきである。
5.日本は、貧困国または(途上国国内の)貧困層にいかに焦点を当てていくのかについてのより明確な政策を形成するべきである。
6.日本は、貧困削減のために基礎的保健・教育サービスに対する投入を増やすことにより、新ODA大綱の方向性に従った、よりバランスのとれた分野別ポートフォリオの達成に努めるべきである。
政策の一貫性
7.日本は途上国開発のための(政策)一貫性に関する政策表明を行うとともに、この問題について国民を啓蒙する方法を模索すべきである。
8.日本は、適切な政策決定を行う能力を向上するために、開発のための政策一貫性に関する分析能力を高めるべきである。
9.日本は、外国直接投資及び地域経済協力協定における環境、社会、ガバナンスの側面をモニターする体制を整備すべきである。
マネージメント
10.日本は、援助スキーム別の体制から、より国別アプローチに基づく体制や国別予算の設定に移行することを検討すべきである。日本は、ベトナムやタンザニアで行われているような権限委譲の試みを、被援助国における日本の援助関係者タスクフォースと戦略的アプローチの効果的利用に特に重点を置きつつ、拡大すべきである。
11.外務省は無償資金協力の運営の多くの部分をJICAに委譲し、自らは戦略・政策の立案、組織調整に専念することを検討すべきである。
12.特に、(現場への)権限委譲を成功させるためには、より多くの開発協力要員が全体的に必要である。開発要員の能力水準と技能に関する計画・分析を含む、統合されたODA人事政策を構築すべきである。
13.LDC諸国向けODAのアンタイド化勧告の精神に則り、日本は、主契約者を限定している無償資金協力を漸次アンタイド化するための具体的施策の特定に関し、DACと共に作業を行うべきである。
注:DAC議長プレスリリース(仮訳)については、第III部第3章6を参照。