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6 開発援助委員会(DAC)議長プレスリリース(仮訳)
~新たな援助理念への政策と資源の一致に向けた日本の努力~
2002年の日本の政府開発援助(ODA)純額は93億米ドルで、世界第2位の援助国である。日本は、1992年から2001年までのほぼ10年間、経済的理由によりODA額削減に至るまで、世界最大の援助国であった(訳注:総支出額ベース)。2002年の日本のODA額は、国民総所得の0.23%を占めたが、1991-92年度(平均)の0.31%より低くなっている。モンテレイの開発資金国際会議において、日本は援助の増額を確約できなかった数少ない援助の一つであった。
今回のOECD開発援助委員会(DAC)対日援助審査においては、日本の援助戦略・運営における積極的な改革に注目した。最も重要な取り組みとして、日本はODA大綱を改定し、最近の国内・国際情勢の変化により対応すべく、貧困削減、持続的成長、地球規模問題への対応の必要性、平和構築を含む新たな戦略的優先課題を取り入れた。加えて、2つの主要な援助実施機関において変化がもたらされた。技術協力を担当する国際協力機構(旧国際協力事業団:JICA)は2003年に(独立行政法人化により)より自立的、効率的な組織となった。また1999年には、2つの金融機関の統合により国際協力銀行(JBIC)となった。さらに、今や外務省は、多様で、しばしば縦割りとなるODA実施関連組織を調整する法的権限を付与されている。
今次援助審査では、本部および現場で新ODA大綱を日本が実施していく上での日本の援助システムへの影響に関心が集まった。具体的には、日本の開発戦略における、貧困削減のような横断的テーマの位置づけの強化に関連する問題が議論された。会合では、日本が援助量を増大させることが強く奨励された。また、さまざまな危機(訳注:アジア経済危機、紛争等)に対処するための日本の努力が留意された。ODAの継続とミレニアム開発目標達成への国民の支持を強化するよう日本政府に要請された。DACは、日本が低所得・重債務国向け援助における無償援助比率の引き上げについて検討することを奨励した。その他の主要テーマとして、農業問題を含めた、省庁横断的な途上国開発のための政策一貫性向上の必要性も議論された。また、タンザニアやベトナムで試行されている有望な取り組みをふまえて、日本の援助マネジメントをさらに合理化・分権化することが有用であることに留意したが、その実現にはスタッフの更なる増員と質の向上が必要となる。この関連で、開発援助委員会は、開発途上国における援助慣行の調整と調和化に対する日本の支援について評価した。
今次会合では、開発分野における国際的合意の形成、経済成長と貧困削減(の関係)に関する様々な見解の収斂について、日本が果たしているより大きな役割を歓迎した。
日本の開発協力政策とプログラムに関するDAC援助審査は、2003年12月12日に行われた。今次会合においては、リチャード・マニングDAC議長が議長を務め、吉川元偉外務省経済協力局審議官が日本代表団長を務めた。審査国は、米国と欧州委員会(EC)が務めた。