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2.MDGsの達成状況に関するモニタリング
ミレニアム・サミットのフォローアップとして作成された「ミレニアム宣言の実施に向けたロード・マップ」において、UNDPが世界銀行やOECDと協力して進捗状況を報告することとされているのを受け、2001年12月、アナン国連事務総長はマロック=ブラウンUNDP総裁兼国連開発グループ議長を国連システムにおけるMDGsのキャンペーン・マネージャー兼スコア・キーパーに任命しました。これを受け、国連では、世界銀行、IMF、OECD等と連携して、グローバル・レベル及び各途上国レベルでMDGs達成に向けた進捗状況を把握するためのモニタリングを行っています。
グローバル・レベルでは、2002年より、国連事務総長は国連総会に対し、「ミレニアム宣言の実施に向けた進捗状況に関する年次報告書」を毎年提出しており、2005年からは、5年毎に「MDGsの達成状況に関する包括的な報告書」を策定する予定になっています。一方、各途上国レベルでは、UNDPが調整する国連国別チームの支援のもとに、「ミレニアム開発目標報告書」が作成されています。これは、2004年末までに全ての途上国において作成される予定となっており、2003年8月現在で27か国及び2地域分について作成が終了しています。
囲みII-4 ミレニアム開発目標(MDGs)の達成の見通し等についての国際社会における見方
また、MDGsに対する理解を深めるため、UNDPが中心となって「ミレニアム・キャンペーン」が推進されています。キャンペーンでは、先進国、途上国を問わず世界中全ての人々がMDGsに対する理解と支持を深め、その達成に向けて様々な組織や団体が自発的に幅広い連携を行うことを確保する取組が図られています。
さらに、世界銀行は、こうした努力の一環として、2003年4月の総会において、MDGs達成に向けた途上国、先進国及び国際機関の政策及び活動の進捗状況を定期的にモニタリングすることを決定しました。世界銀行及びIMFが報告書原案(initial report)を起案し、9月の世界銀行・IMF総会では世界銀行よりグローバル・モニタリングの報告を行いました。2004年4月の合同開発委員会において完全版の報告が提示される予定になっています。
こうしたモニタリングを行うためには、途上国に十分な統計作成能力があり、MDGs関連のデータベースが整備されていることが必要不可欠です。日本は、こうした考えを世界銀行との間で共有しており、日本による支援を核として、世界銀行と国連が連携した取組が行われることになりました。具体的には、世界銀行が国連ミレニアム・プロジェクト*1と連携して行うデータベース作成や、途上国のキャパシティ・ビルディング強化のための努力に、日本が世界銀行に信託している開発政策・人材育成基金から、210万ドルの支援を行いました。その成果は2004年に東京において開催予定の会合でレビューされることになっています。