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(2)人材育成と開発研究

 援助を実施するのは人であり、優れた開発人材の確保と活用は効率的に援助を進めるため極めて重要であり、分野・課題毎の高度の知見や技術を有し、豊かな国際性も備えた専門家の育成が強く求められています。このような開発人材の発掘・育成はODA改革の重要な柱である国民参加や効率性の向上を推進するためにも重要な要素となります。新しいODA大綱においても「専門性をもった人材を育成する」とされており、またそのような人材が国内外において広く活躍できるよう、「機会の拡大に努める」とともに、「海外での豊かな経験や優れた知識を有する者などの質の高い人材を幅広く求めてODAに活用」していくとしています。
 そのような取組の一環として、ODA改革での議論を受けて、JICAに「国際協力人材センター」を2003年10月に開設しました。広く国際協力に関わる人材の有効活用を図るため、JICAをはじめとする国際協力関係の求人情報の提供、JICA国際協力人材登録制度への登録、研修・セミナー情報の提供などを行っています。

■大学や研究機関との連携
 援助の効率化の観点から開発途上国に関する地域研究、開発政策研究は欠かせませんが、新しいODA大綱においてもそれらの研究の活発化を図るとともに、日本の開発に関する知的資産の蓄積を図るとしています。
 JICAにおいては、開発途上国のニーズを的確に把握し、国際社会の動向を適切に把握するために、大学や研究機関の関係者を中心とした外部有識者を委員に迎え、開発や援助に関する課題やテーマに対して調査研究を実施しています。具体的には、[1]主要な援助国・地域や分野・課題などを対象とする事業戦略調査研究、[2]援助のノウハウや手法を対象とする援助手法調査研究、[3]援助実施上の重要な個別課題を対象とする個別課題調査研究を実施しています。また、JBICについても、客員研究員を招くとともに、世界銀行等の国際機関とも連携をとりながら、内外の研究者との共同研究を行うなど、開発援助問題や開発政策等につき調査研究を実施しています。
 さらに、日本の大学が有する知的資源を広く開発協力に活用し、援助機関との連携を図るための「国際開発協力サポート・センター」が、2003年7月に開所し、データベースの整備や研修の開催等を通じた大学等が開発協力に参画する環境の整備が進められています。

コラムI-11 子供たちからのカンボジア救援米プロジェクト


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