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(8)IT
わが国は、グローバル化がもたらす恩恵を十分に享受できる先進国とそうでない途上国の間の情報格差(デジタル・ディバイド)に対応するため、2000年7月に開かれた九州・沖縄サミットに先立ち「国際的な情報格差問題に対する包括的協力策」を発表しました。この協力策では、今後5年間で総額150億ドル程度を目途に非ODA及びODAの公的資金による協力を表明しています。わが国は、ITは基本的に民間主導で発展する分野であるとの考え方から、ODAによる協力は途上国におけるインフラ構築や人材育成など商業ベースに馴染まない分野に対する協力に充てることとしています。また、本協力策の大きな部分は民間ベースのプロジェクトを支援するJBICによる投資金融や輸出金融・アンタイドローン等の非ODAによる協力が中心になると想定されています。
こうした考えの下、わが国は、[1]政策・制度づくりへの知的貢献、[2]人づくり、[3]情報通信基盤の整備・ネットワーク化支援、[4]援助におけるIT利用の促進、の4つを柱として協力を進めています。
囲みII-3 国際的な情報格差に対する包括的協力策の実施状況(2001年度)
わが国ODAによるIT分野への協力として、国際的デジタル・ディバイドの解消に向けて、開発途上国におけるIT分野の人材育成を支援するため、途上国の大学等の研究機関やIT主管官庁からIT分野の研究者・技術者を招へいし、共同研究を実施しているほか、わが国公益法人が実施する開発途上国からのIT分野の研修員の受入れ、海外派遣専門家の要請及び派遣等の事業を支援しています。また、アジア大洋州地域の電気通信に関する地域的国際機関であるアジア・太平洋電気通信共同体(APT)注)の実施するIT関連技術者の育成プログラムに対して積極的に支援をしています。
さらに、沖縄県とハワイ州の協力成果をアジア・太平洋諸国に移転するための枠組みづくり及び沖縄県にアジア・太平洋地域の学術研究交流拠点を形成する取組を支援するために、2001年に沖縄県にて国際ワークショップを開催するなどの支援も行っています。
このようなわが国の協力を効果的・効率的に推進するために、途上国のIT主管官庁と実務者レベルでの政策対話を継続的に実施し、協力のあり方について協議を行うとともに、具体的案件の形成作業を取り進めています。また、世銀・UNDPをはじめとした国際機関や米国国際開発庁(USAID)等他ドナーとの意見交換を通じて、具体的な連携の可能性について模索しています。
援助におけるIT利用については、本章第1節(3)(イ)においても触れた「JICA-NET」による遠隔技術協力の導入を実施しています。