本編 > 第II部 > 第1章 援助世界における日本の位置
2000年のわが国のODA実績(確定値)(注1)は、二国間ODAが対前年比13.1%減の1兆392億円(ドルベースでは対前年比8.2%減の96.4億ドル)、また、国際機関を通じた援助は対前年比26.8%減の4,073億円(ドルベースでは対前年比22.7%減の37.79億ドル)と、それぞれ大幅な減少となりました。その結果、ODA全体では、対前年比17.5%減の1兆4,465億円(ドルベースでは対前年比12.8%減の134.19億ドル)となりました。なお、2000年の二国間ODA実績を形態別にみると、無償資金協力は対前年比14.7%減の2,273億円(ドルベースでは対前年比9.9%減の21.1億ドル)、技術協力は対前年比9.6%増の3,994億円(ドルベースでは対前年比15.8%増の37億ドル)、政府貸付等は対前年比27.0%減の4,125億円(ドルベースでは対前年比22.8%減の38.3億ドル)となりました。さらに地域別の実績をみると、アジア地域へのわが国の二国間援助が、対前年比20.3%減の52.8億ドルとなり、二国間援助の約54.8%を占めたほか、アフリカは対前年比2.6%減の9.7億ドル(10.1%)、中南米は対前年比1.8%減の約8億ドル(8.3%)、中近東は対前年比33.7%増の7.3億ドル(7.5%)、大洋州は対前年比9.3%増の1.5億ドル(1.6%)、欧州(東欧を含む)は対前年比22.2%減の1.2億ドル(1.2%)、となりました。
2000年の実績が前年に比べて大幅な減少になった背景には、主に99年にアジア通貨経済危機支援の一環としてアジア開発銀行(ADB:Asian Development Bank)に約33億ドル(保証のための31.6億ドルを含む)の支援を行ったことにより同年の国際機関に対する出資・拠出等が大幅増(円ベースで倍増)となったこと、及び2000年の二国間政府貸付が前年に比べ減少したこと(円ベースで27%減)があります。
こうしたわが国のODA実績を他の経済協力開発機構(OECD)・開発援助委員会(DAC)メンバー国の実績と比較してみると(注2)、2000年もわが国は昨年に続き世界第1位のODA供与国となりました。DAC22か国のODA実績総額(暫定値)は、530.6億ドルで前年に比べ6%減少となり(99年は564.4億ドル)、2年続いていた増加傾向から減少に転じました。その理由としては、第一に、2000年には多くの通貨においてドル高が進行し、実績額が目減りしたこと、第二に、ODAとして認められる対象国・地域リスト(DACリスト、第V部資料編参照)が変更され、10か国・地域(注1)が同リストから除外された結果、従来ODAとして報告可能であったものがODA対象外となったこと等が挙げられます。なお、ODAの対GNI比率は、DAC全体で0.22%でしたが(注2)、その中で日本は0.28%であり、DAC諸国中第12位でした(前年7位)。
以上は援助の絶対額に関する指標ですが、供与の条件を示す指標として「贈与比率」と「グラント・エレメント」(注3)が国際的に広く用いられています。国際比較を可能とするために、98/99年の平均で比較すれば、わが国の「贈与比率」は45.4%であり、また、「グラント・エレメント」は83.6%と、ともにDAC諸国中最も低いものでした。しかし、贈与を絶対額で比較すれば、98/99年の日本の実績は86.56億ドルで米国に次いで第2位であり、大きな貢献となっています。(第V部資料編参照)