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経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約第16条
及び第17条に基づく第2回報告
(仮訳文)
我が国においては、国民の文化的諸活動の助長、奨励のための国家政策として、芸術・文化の振興、文化財の保護、アイヌ文化の振興、社会教育の振興のための施策を積極的に講じている。関連法令としては、特に音楽文化の振興を図るため、音楽文化の振興のための学習環境の整備等に関する法律を制定するとともに、文化的な活動を奨励し、芸術文化の向上に功績のあった者を顕彰するため、文化功労者年金法及び文化勲章令を制定し、また、文化財の保護のため文化財保護法を、さらに、アイヌ文化の振興等のため、アイヌ文化の振興並びにアイヌの伝統等に関する知識の普及及び啓発に関する法律を定めている。さらに、社会教育法を制定して、学校教育以外の場において、主として、青少年及び成人に対して行われる組織的な教育活動の振興に努めており、この社会教育法を受けて、図書館法および博物館法を定めている。具体的には、すべての者が文化生活に参加する権利を実現するために、以下のような施策を講じている。
- (1) 文化の発展及び文化生活への大衆参加を促進するための資金面での措置
- (a) アーツプラン21による支援
- (b) 芸術文化振興基金による芸術文化活動に対する助成
- (c) 芸術文化の普及向上に関する業を主たる目的とする公益法人のうち、特に助成金の支給を行うものの設立許可
- (d) 国民文化祭や全国高等学校総合文化祭の開催
(2) 文化施設の設置
- (a) 地方公共団体が行う文化施設の整備に対して補助金を交付し、国は、公民館、公立博物館(美術館を含む)及び公立図書館の設備整備に要する経費の一部を補助している。1996年現在、公民館の数は17,819、博物館の数は986、図書館の数は2,396、文化会館の数は1,549となっている。)
- (b) 優れた美術作品、その他の資料を収集して公衆の観覧に供し、あわせてこれに関連する調査研究及び事業を行うことを目的として、国立美術館4館(東京国立近代美術館、京都国立近代美術館、国立西洋美術館、国立国際美術館)を設置
- (c) 現代舞台芸術の創造、振興及び普及を図ることを目的とする新国立劇場を設置
- (3) 文化的アイデンティティの確立の助長
- 地域的な特色のある民俗芸能等を重要有形又は無形民俗文化財として指定し、用具の修理・新調や記録等その保存と活用に係る活動に対し、補助を行っている。
- (4) アイヌ文化の振興等
- アイヌの民俗文化財の保存と伝承のため、有形及び無形の民俗文化財のうち重要なものについて、重要有形民俗文化財又は重要無形民俗文化財の指定等を行うとともに、北海道教育委員会に対して、アイヌの民俗文化財の調査・映像記録作成、伝承活動等を行う上での必要な経費を助成している。
また、1995年3月、内閣官房長官の下に設置された「ウタリ対策のあり方に関する有識者懇談会」は、約1年にわたる総合的な検討の結果、1996年4月に国が行うアイヌに関する新たな施策の必要性等を提言した報告書を取りまとめた。それを受けて新たな施策の具体化等の検討が進められ、1997年5月、アイヌ文化の振興並びにアイヌの伝統等に関する知識の普及及び啓発に関する法律が成立し、同年7月から施行された。
なお、同年6月には、アイヌ文化の振興等を図るための事業を実施する「財団法人アイヌ文化振興・研究推進機構」が設立され、同年11月、同法人を同法に基づく指定法人に指定した。
アイヌ文化の振興等を図るため、1997年度からは、同法人に対する支援を通じて、アイヌ文化の振興等の施策を積極的に推進することにより、アイヌの人々の民族としての誇りが尊重される社会の実現と我が国の多様な文化の発展に寄与するよう努めているところである。
- (5) マスメディア及び通信メディアの役割
- 国民の支払う受信料によって運営されている日本放送協会では、その有するチャンネルのひとつ(「NHK教育」)を、学校教育及び社会教育のプログラムにも充てている。
- (6) 文化遺産の保護
- 文化財保護法では、有形文化財、無形文化財、民俗文化財、記念物及び伝統的建造物群の5分野を文化財として定義するとともに、これらの文化財の保存に必要な技術及び埋蔵文化財も保護の対象としている。
国においては、これらの文化財のうち重要なものを、国宝、重要文化財、史跡、名勝、天然記念物等として指定等するとともに、有形の文化財の場合にはその保存修理、公有化等に対して補助しており、また、無形の文化財の場合は、その伝承者の養成、記録の作成等に対し補助するなど、その保護に必要な措置を講じている。
また、1992年に締結した「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」に基づく世界遺産一覧表に、文化遺産として「姫路城」「法隆寺地域の仏教建造物」、「古都京都の文化財(京都市、宇治市、大津市)」、「白川郷・五箇山の合掌造り集落」、「原爆ドーム」、「厳島神社」が現在までに記載されており、その保護に必要な措置を講じてきている。
- (7) 文化及び芸術の分野の専門教育
- 大学、短期大学等において、芸術に関する種々の専門教育が行われている。1997年現在、大学における芸術学部、音楽学部等、芸術に関する学部等の数は52、これらに在籍する学生数は約6万2,000人であり、短期大学における芸術に関する学科の数は81、これらに在籍する学生数は約2万2,000人となっている。
- (8) 文化の保護、発展及び普及のためにとられているその他の措置
- (a) 芸術家の研修等の実施
- (b) 芸術文化活動指導者の派遣事業、公立文化施設職員等に対する研修の実施
- (c) 芸術文化の発展に関し優れた功績を挙げた者に対する顕彰・優遇(叙勲褒章、地域文化功労者表彰、文化庁長官表彰、文部大臣奨励賞、日本芸術院の設置等)
- (d) 芸術鑑賞機会の提供(各種巡回公演事業、国立博物館・美術館巡回展等)
- (e) 優れた芸術文化活動及び文化財保護活動等文化の振興に資すると考えられる事業等に対する後援名義の付与
- (f) 芸術文化関係の公益法人等に対する税制上の優遇措置
- (g) 国指定文化財に対する税制上の優遇措置
- (1) 科学技術の振興
- 学術研究を真に実りあるものにするためには、研究者の独立性を最大限に尊重することが不可欠であり、憲法第21条(表現の自由)及び第23条(学問の自由)は、研究、発表、教授の権利を保障している。
我が国における学術研究の中心は大学であるが、国立学校設置法に基づき、国立大学、国立大学附置研究所、学部附属教育研究施設等や大学共同利用機関が設置されているほか、私立学校振興助成法及び私立大学の研究設備に対する国の補助に関する法律に基づき、私立大学等の研究費等の一部を国が補助している。
その他、国は、学術研究の振興のための基幹的研究費である科学研究費補助金の拡充や学術研究を推進する事業に対して日本学術振興会への出資金を活用する制度の創設、研究者の養成を担う大学院の整備充実やポストドクター(博士課程修了者)等1万人支援計画に沿ったフェローシップ制度の充実をはじめとした若手研究者の養成・確保、基礎研究の重点的推進、研究設備の整備・充実、学術情報センターを中心とした学術情報システムの整備充実、研究者交流をはじめとした国際学術交流など、学術研究の振興のための多面的な施策を展開している。また、新技術の創出を目指した基礎研究の推進の一環として、科学技術振興事業団への出資を活用し、国立試験研究機関、大学等の研究者を対象とした競争的資金による公募型の基礎研究推進制度を創設し、その拡充を図っている。その他、国立試験研究機関等を対象とした国際研究交流として、科学技術振興調整費により国際共同研究等を実施するとともに、科学技術振興事業団においてSTAフェローシップ制度等の事業を推進している。
また、日本学術振興会法により設置された特殊法人である日本学術振興会は、学術研究の助成、研究者に対する援助、学術に関する国際協力の実施の促進、その他学術の振興に関する各種事業を行っている。
さらに、1996年5月には、日本学術振興会法の改正を行い、新たに学術の応用に関する研究を政府出資金により行う業務が開始された。
加えて、国は、学術上功績顕著な科学者を優遇するための機関として設けられた日本学士院に対する財政措置を講じている。
- (2) 関連情報の流通促進
- 学術研究の成果は、学会等において発表され、その結果、産業界ほか実際的な応用分野で広く活用されている。
国としても、学会が発行する学術に関する各種定期刊行物、青少年及び一般社会人を対象とした講演会の開催等への補助を通じて、学術に関する情報の普及に努めている。科学技術振興事業団(JST。1996年10月1日に日本科学技術情報センター(JICST)と新技術事業団を統合して設立。)においては、日本科学技術情報センターから日本の科学技術情報に関する中枢的機関としての役割を引き継ぎ、科学技術の情報の流通促進を図るため、オンラインによる情報提供サービス等を実施している。また、1987年に開設した、米国のケミカルアブストラクツサービス(CAS)及びドイツのFIZカールスルーエと日本科学技術情報センターとの間の国際科学技術情報ネットワーク(STN-International)を引き継ぐなど、国際間での科学技術情報流通の基盤整備を推進するとともに、1996年5月には日米科学技術協力協定の下で米国内に科学技術日本文献機械翻訳センターを開設し、さらに、アジア・太平洋諸国に向けて国内の科学技術に関する研究情報の発信を予定するなど、海外への積極的な情報発信に取り組ん・ $G$$$k!#
また、国立科学博物館、国立民族学博物館及び国立歴史民俗博物館等において、関連分野に係る調査研究並びに資料の収集、保管、公衆への供覧・展示による情報提供の促進に努めている。
- (3) 自然遺産の保護
- 我が国では、自然環境を適正に保全するため、自然環境保全法に基づき、全国で自然環境の現況把握を進め、併せて優れた自然環境を有する地域を自然環境保全地域等として指定、管理を行っている。
また、学術的価値の高い地域を含む傑出した自然の風景地の保護と利用を図るため自然公園法に基づき自然公園の指定、管理を行ってきており、1994年現在、その合計面積は533万ヘクタールで国土面積の14パーセントを占める。
さらに、国有林野においては、原生的な天然林を保存することにより、自然環境の維持、動植物の保護等に資するため、森林生態系保護地域等保護林の設定、管理を行っている。
特に、1992年に締結した「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」に基づく世界遺産一覧表に、自然遺産として「屋久島」(ヤクスギをはじめとする特異な生物相、植生の典型的な垂直分布)及び「白神山地」(すぐれた原生状態が保存され、動植物相が多様な森林であり、氷河期以降の新しいブナ林の東アジアにおける代表的なもの)が記載されており、1995年に策定した管理計画に基づき、各種制度の運用及び各種事業を推進し、その保護に必要な措置を講じてきている。
また、動植物種及び生態系を中心とした我が国を代表する自然を保全するために、動植物、地質鉱物等で学術上価値の高いものを「天然記念物」に指定し、現状変更等を制限している。
- (4)科学技術の普及発展のためにとられている措置
- (a)青少年の科学技術への興味、関心を高めるために地方公共団体が行う「先端科学技術体験センター」の整備の支援
- (b)科学技術振興事業団による、仮想的に科学技術を体験するバーチャル科学館の開発、魅力ある展示物の試作、セミナー等の開催
- (c)科学技術の普及啓発に寄与する活動に対する後援名義の付与
- (d)科学技術の普及啓発関係の公益法人に対する税制上の優遇措置
- (e)科学技術に関し優れた功績を挙げたものに対する顕彰(叙勲褒章、科学技術庁長官表彰、注目発明)等
- (1) 科学の分野における精神的及び物質的利益の保護
- 我が国では、人間の精神的活動により生じる知的所有権のうち、科学の分野において精神的及び物質的利益を生む可能性がある知的創作物についての権利については、発明(自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう。)、考案(自然法則を利用した技術的思想の創作で、物品の形状、構造又は組合せに係るものに限るが、高度であることを要しない。)、意匠(物品の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合であって、視覚を通じて美感を起こさせるものをいう。)として、それぞれ特許法、実用新案法、意匠法により保護されている。
ところで、知的創作活動の中心的な担い手である大学の研究者のこれら権利の保護については、法律上保護の対象とはされてきたものの、大学における研究活動と大学研究者の発明の態様が様々であり、特許法で想定している職務発明に該当する使用者と従業者との関係にそぐわないこと等から、統一的な取扱いが困難であった。このため、文部大臣の諮問機関である学術審議会は、1977年の答申「大学教員等の発明に係る特許等の取扱いについて」でその基本的な考え方を明らかにし、統一的な基準を示した。現在では、この答申に基づき、大学における学術研究から生じる発明についても適切な取扱いが行われている。
- (2) 文学及び芸術の分野における精神的及び物質的利益の保護
- 我が国では、著作権法その他の関係法令により、著作者の精神的・物質的利益を保護している。また我が国は、ベルヌ条約、万国著作権条約及びTRIPS協定等の条約を締結しており、これらの条約によって負う義務を越えた保護を行っている。
著作権、著作者人格権が十分に保護されるためには、国民がこれらの権利についてより深い知識・理解を有することが必要である。したがって、著作権思想の一層の普及を図るために、教員、都道府県職員、図書館等の職員及び一般社会人を対象とした各種の講習会等を実施するとともに、著作権法の概要につき分かりやすく解説した出版物の発行等を行っている。
また、これらの権利を実効的に行使するため設立された著作権の管理団体が著作権者の権利保護に努めている。このような団体として、日本音楽著作権協会、日本文芸著作権保護同盟、日本脚本家連盟、日本シナリオ作家協会があり、文化庁長官の監督の下にそれぞれの分野で役割を果たしている。
- (1) 科学の分野における国際交流及び協力
- 科学の進歩のためには、国境を越えた研究者の知的交流が不可欠であり、そのための支援は重要である。
我が国は、国際的な会議、シンポジウム等に参加を希望する研究者に対し、旅費等の支給を行うなど国際交流のための種々の施策を講じている。また、日本学術振興会は、学術研究の助成、研究者に対する援助、学術に関する国際協力の実施の促進等の事業活動を行っている。また、我が国は、ユネスコの活動に積極的に協力しており、信託基金の拠出による地球環境事業をはじめとした開発途上国への科学協力事業等を実施している。
1991年度からは、科学技術協力協定等において政策的に重要と認められた分野において、国際研究交流促進のための情報交換、方策の検討を目的とした国際ワークショップを開催している。
- (2) 文化の分野における国際交流及び協力
- 我が国は、国際文化交流事業を効率的に行い、もって世界の文化の向上及び人類の福祉に貢献することを目的とする国際交流基金を設立し、様々な文化交流事業(芸術家の派遣、各分野の文化人の国際会議やシンポジウムへの派遣、多くの芸術家やその他異なる文化領域で活躍している人々の海外からの招へい、美術展や講演等の開催等)を行うとともに、民間の文化交流団体に対して助成等を通じ支援を行っている。
また、政府は、開発途上国の文化・教育の振興のため、1975年度以降の予算措置により、文化無償協力として、文化財及び文化遺跡の保存・活用、文化関係の公演及び展示等の開催、並びに教育及び研究の振興のために使用する資機材を購入するための資金を贈与しており、これまで、100ヶ国以上に対し、計853件、1996年度までに、348億2,450万円の実績がある。また、有償資金協力においても、1979年、1982年、1991年に途上国の文化遺産史跡、遺跡の維持のための事業に対し、計66億9,000万円を供与している。
また、前述のとおり、ユネスコの「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」を1992年に締結し、条約に基づいた世界遺産の保護を行い、政府は、世界遺産基金に拠出している。
更に、政府は、人類共通の貴重な財産である世界の遺跡の保存・修復への協力を目的として、1989年、ユネスコ内に文化遺産保存日本信託基金を設立し、1997年度までに2,615万ドルの拠出を行った。また、中国敦煌莫高窟壁画等の保存修復に関する共同研究、アジア太平洋地域の文化財建造物の保存修復協力、アンコール文化遺産保護に関する研究協力、海外にある日本古美術品に対する保存修復協力、アジア文化財保存セミナーの実施などを行ってきたところである。また、文化財保存分野での国際協力を実施するための拠点として、国際共同研究・情報の収集と提供・人材の養成を柱とした「国際文化財保存修復協力センター」を1995年度に設置した。
無形文化財の保存・振興に対しても、1993年より、ユネスコ無形文化財保存振興日本信託基金に拠出を行ない、主にアジアの無形文化財の保存・振興に協力を行ってきている。
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