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地球環境

「アジア森林パートナーシップ(AFP)第1回実施促進会合」
サマリー(仮訳)


平成14年11月11日
於:三田共用会議所

(英語版はこちら)


1.プログラム・参加者

 2002年11月11日、東京において日本政府、インドネシア政府、国際林業研究センター(CIFOR)、ザ・ネイチャー・コンサーバンシー(TNC)の共催で、「アジア森林パートナーシップ(AFP)第1回実施促進会合」が開催された。同会合には、AFPパートナーから57名(12政府、7国際機関、1NGO)及びオブザーバーとして41名(3政府、4国際機関等、24NGO等)が参加した。会合プログラム及び参加者リストは別添の通り。


2.開幕演説

 会合冒頭、土屋品子外務大臣政務官が主催国を代表して開幕演説を行い、アジア地域における経済的繁栄と環境保全のためには、持続可能な森林経営を促進することが重要であることを強調した。また、土屋政務官は、日本が政府開発援助(ODA)を始めとする様々な手段や国際熱帯木材機関(ITTO)を通じた協力により、ASEAN地域及び中国における持続可能な森林経営を促進してきたことに言及した。さらに、土屋政務官は、将来の世代のために森林の多面的恩恵を確保するため、国際社会が更なる行動をとらねばならないこと、また、この目的を達成するため、WSSDの際に正式に発足した新規で革新的なパートナーシップであるAFPが極めて重要であることを強調した。


3.基調演説

 西村六善外務省地球環境問題担当大使は、その基調演説において、森林をパートナーシップの問題として取り上げ、多様な主体によるアプローチを採用するといったAFPの独創性につき言及した。西村大使は、持続可能な森林経営は人類にとって非常に重要であり、将来の世代のためにより良い森林の恩恵を確保するためには各国が責任ある姿勢をとり、信頼し得る手段を実行に移さなければならないことを強調した。また、2001年制定された森林・林業基本法を紹介し、世界中で持続可能な森林経営が実行可能な選択肢となるよう日本は引き続き世界に対して技術協力等を行っていく方針である旨述べた。さらに、持続可能な森林経営を促進する上で最も重要な要素は人々のコミットメントであることを強調した。
 ワヒューディ・ワルドジョ・インドネシア林業省官房長は、その基調演説において、インドネシア政府のAFP促進のための意欲を表明し、違法伐採対策、森林火災予防、森林部門の再編、森林の復旧及び天然資源の保全、森林部門における地方分権化、といったインドネシア政府の森林政策における優先課題につき説明した。ワヒューディ官房長はまた、インドネシア政府の違法伐採対策のための3つのアプローチ、即ち、森林管理・行政の改善、森林経営の発展を通じた人々の福祉の向上、効果的な森林法規の実行の促進、につき説明した。さらに、アジアにおける持続可能な森林経営を促進するためアジア内外の政府・機関に対して本パートナーシップへの参加・支援を呼びかけた。
 デイビッド・カイモウィッツ国際林業研究センター(CIFOR)所長は、その基調演説において、違法伐採は環境を破壊するだけでなく、政府の歳入を減じさせ、法の支配を弱めることに言及した。カイモウィッツ所長は、違法伐採問題は森林法規の実行だけでは解決できず、木材生産国及び消費国が協力して取り組まなければならないことを強調した。また、同所長は、森林火災の予防及び森林の復旧が長期的な将来におけるアジアの森林に決定的な役割を果たすことになるので、本パートナーシップがこれらの問題にも取り組むことが適当である旨言及した。さらに、これらの問題には多くの主体が関わっているので、AFPのような多様な主体によるアプローチが意見交換や諸活動の調整等のための有用なフォーラムを提供できることを強調した。また、同所長は、CIFORがAFPのパートナー及びその他の主体に対してタイムリーに、適切且つ正確な情報を提供するための主要な役割を担っていることを光栄に思っている旨強調した。
 ナイジェル・サイザー・ザ・ネイチャー・コンサーバンシー(TNC)アジア・太平洋森林プログラム局長は、AFPがヨハネスブルグ・サミットにおいてTNCの会長を主要な参加者の一人として迎え発足したことに関してパートナー達に祝意を述べた。サイザー局長は、AFPがより有効となり基礎的な情報交換の場から一歩踏み出すためには以下のいくつかの主要な段階を経る必要があることを強調した。
共通の目標及び優先課題、共同行動、タイムテーブル、役割及び責任を含む透明性のある参加型作業計画の準備。
森林法の施行とガバナンスに関する東アジア閣僚会合(FLEG)、国際熱帯木材機関(ITTO)、インドネシアと英国との間の二国間アクションプラン等現在進行中の他の関連プロセスとの積極的な調整。
AFPプロセス及び合意された諸活動への参加のため支援及び資金を必要とする主体に対するパートナーからの資金手当て。
効果的な情報の発信及び透明性の確保(CIFORが同役割を果たしうる)。


4.違法伐採対策セッション

 本セッションでは、日本、インドネシア、米国、EC、TNCその他いくつかのパートナーの代表者によるプレゼンテーションの後、違法伐採に対処するため如何なる国際協力が効果的かに関し議論が行われた。
 この議論においては、AFPの目的を達成する上で、既存の様々な取組や新たなアイディアに関するパートナー間の情報交換を促進することが極めて有意義であることが指摘された。CIFORは、自らのウェブサイトを用いてそのような情報を収集し発信する役割を担うことに同意した。また、他のパートナーも、自らのウェブサイトに情報を掲載したり、CIFORのウェブサイトにリンクを張るなどの方法により、可能な限り情報交換に協力すべきことが提案された。これに関連して、透明性の確保の観点から、各パートナー国は、AFPの下で得られた情報を積極的にそれぞれの自国語に翻訳すべきであることが指摘された。
 また、違法伐採問題の背景要因には、貧困や需要と供給の不均衡のほか、地方分権プロセスが多少影響するなど分野横断的な性格があることを踏まえ、この問題に対しては総合的な取組が必要であることが指摘された。
 アジア地域においては、幅広い取組が既に行われているものの、この問題に効果的に対処するためには依然として多額の資金が必要であることが指摘された。他方、そのような資金が直ちに確保できると考えるのは現実的ではないとの指摘もあった。このような観点から、AFPの取組の第一歩として、既に実施中又は実施済みの取組の整理分析を行うことが提案された。これは、結果として既存の資金の効率的な活用に役立つとともに、追加的な資金の確保にも資する可能性があるものとして提案されたものである。また、各パートナーは、二国間の取組などの既存の取組を引き続き継続すべきことが提案された。これらは、将来的にはAFPの下で多国間の協調的な取組へと進展する可能性があるものである。
 第三者機関による認証及び木材の追跡システムについて、違法伐採対策として有効な手段たり得るとの意見もあった。この問題については、AFPの下に作業グループを設置するなどしてさらに議論するのが適当である旨が合意された。これに関連し、木材輸出国における取組とISO14001で求められる輸入国内での「グリーン購入」の動きとを繋げる観点から、産業界のAFPへの参加が一層奨励されるべきとの指摘があった。
 AFPの活動について、スケジュールを明確にしつつ進めることの重要性を強調する意見もあったが、この問題については、既存の取組の整理分析の結果を踏まえつつ、さらに議論すべきとの意見もあった。


5.森林火災予防及び植林を含む荒廃地の復旧セッション

 本セッションでは、マレイシア、ITTO、中国、CIFOR、国連大学その他いくつかのパートナーの代表者によるプレゼンテーションの後、森林火災を予防し、荒廃地の復旧・植林を促進するためには如何なる国際協力が効果的かに関し議論が行われた。
 この議論においては、これらの分野ではこれまでにも多くの取組が行われてきており、パートナー間の情報交換が極めて有意義であることが指摘された。森林火災の予防や荒廃地の復旧・植林を促進するためには地域コミュニティとの協力や人材育成が重要であることが強調された。2003年10月に、オーストラリア、特にニュー・サウス・ウェールズ州農山村火災局が「第3回国際森林・原野火災会議及び展示会」並びに「国際森林・原野火災サミット」を開催することが紹介され、AFPへの具体的な貢献として歓迎された。


6.森林火災予防及び植林を含む荒廃地の復旧セッション

 総括セッションでは、AFPの次のステップとして何をすべきかに焦点を絞って議論が行われた。前の2つのセッションで強調されたとおり、パートナー間での情報の共有・交換並びに特に市民社会及び産業界からの参加拡大の必要性が再確認された。AFPの活動が、アジア太平洋林業研究機関連合(APAFRI)などアジア地域での他の既存の取組と連携すべきことが提案された。AFPの取組分野をさらに絞り込み、スケジュールを明確に設定することが必要であると強調する意見もあった。
 インドネシア政府は、12ヶ月以内にインドネシアにおいて、次回会合を主催する用意がある旨を表明し、この申し出は歓迎された。また、2003年の5月末から6月初めにジュネーブで開催され、違法伐採対策や森林火災予防が議題の一部となる次回のUNFF会合の機会に、AFPの次のステップについて議論するため一部のパートナーが会合を持つことについても提案された。
 セッションの最後に、ジュネーブ及びインドネシアでの会合の進め方を含め、次回の会合及びそれ以降に向けてAFPの取組をどのように進めるべきかを、有志パートナーによる小さな検討グループを設けて議論することが提案された。


7.閉会の辞

 松本有幸林野庁次長は、閉会の辞において、全ての参加者からアジア森林パートナーシップに貢献することへの関心と意欲が示されたことに対し、謝意を述べた。松本次長は、既存の資金を可能な限り効率的かつ効果的に活用すべきこと、パートナーやその他の関心を有する国や機関等の間で情報・意思の疎通を図るべきこと、及び関心を有する国や機関等の一層の参加を促すべきことを強調した。


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