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軍縮・不拡散


ロシア余剰兵器プルトニウムの管理・処分問題

平成15年4月



1.問題の所在

(1) 米露両国は、第一次戦略兵器削減条約(START I)の履行の結果、2001年末、戦略核弾頭をそれぞれ約6,000発まで削減した(米は6,000発、露は5,000発を削減)。更に、2002年5月、米露両国は戦略兵器削減条約(モスクワ条約)を署名し、2012年までに各々が保有する戦略核弾頭のうち、1,700~2,200発までを削減する旨合意した。

(2) この結果、解体された核兵器から発生する大量のプルトニウムについて、国内管理体制が弱く、処分のための資金も少ない露において、その核兵器への再転用と流出を防止することが、(イ)不可逆性の確保により米露核軍縮の一層の進展を促し、(ロ)核テロ対策及び核の不拡散を強化する観点から、重大な課題となっている。

(3) この問題の解決は、当事国である米露間で枠組みを構築して取り組んできているが、資金・技術面等で他の主要国の協力が必須であり、これまでもG8サミット・プロセスの主要案件として協力が検討されてきた。


2.G8サミット・プロセスにおける検討

(1) 2000年米露協定により、米露双方でそれぞれ、34トンの余剰兵器プルトニウムを並行して処分する旨合意。ところが、露には充分な資金が無く、他のG8各国に支援が求められた。

(2) 2000年九州・沖縄サミットで、(イ)「国際的な資金調達計画」(公的・民間双方の資金拠出の可能性を検討)及び(ロ)協力関係を調整するための「多数国間の枠組み」の構築を2001年ジェノバ・サミットまでに行う旨合意された。

(3) これを受け、G8不拡散専門家会合(NPEG)の下にプルトニウム処分プランニング・グループ(PDPG)が設置され、検討が始まった。しかし、ジェノバ・サミットまでに検討が終了せず、参加国を非G8諸国にも拡げ、国際資金調達計画の完了及び多数国間の枠組みの交渉に係る議論を継続する旨がジェノバ・サミットで合意された。

(4) 2002年1月、米国は、大量破壊兵器の不拡散及び解体支援のための計画を見直し、自国におけるプルトニウム処分をガラス固化体として処分する計画を取止め、全量MOX(ウラン・プルトニウム混合酸化物)燃料に加工し、原子炉で処分する計画を採用した。

(5) 2002年6月のカナナスキス・サミットにおいて合意されたG8グローバル・パートナーシップの中で、露におけるプルトニウム処分は、優先課題の一つとして位置付けられた。G8外相会談の議長声明においても、多数国間の枠組みに関する交渉を2003年に完了すべく、取り組んでいることが報告された。

(6) 2002年4月から、PDPGの後継機関としてプルトニウム処分に係る拡大G8会合(G8に加え、スウェーデンがオブザーバーとして参加)が定期的に開催され、露側のプルトニウムの処分方式や多数国間の枠組みのあり方等について、検討が行われている。



3.日本の取り組み

(1) 日本の核燃料サイクル開発機構と露の研究機関との間の研究協力により、約20kgの兵器級プルトニウムをバイパック(振動充填)燃料に加工し、高速炉を用いて処分することに成功した。

(2) 日本は、2002年6月のカナナスキス・サミットにおいて、小泉総理より、余剰プル処分のためにG8が新たに設立する多数国間の枠組みに1億ドルの拠出を行うことを発表した。


【参考:国際科学者会議(於:モスクワ)における小泉総理大臣演説(2003年1月11日)
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