CTBTに関する大臣共同声明(仮訳)
- 我々、この声明を出した各国外相は、包括的核実験禁止条約(CTBT)締結の基礎となった構想をあらためて確認するために集まった。その構想とは、核軍縮・不拡散の分野での主要な手段として、この世界から核実験をなくし、系統的かつ漸進的な核兵器の削減及び核拡散防止のために貢献する条約を支えようというものである。
- 核兵器のすべての実験的爆発及び他のすべての核爆発の停止をもたらすCTBTの早期発効は、国連総会において、核軍縮・不拡散という目的の核心をなすと確認されている。前回の核兵器不拡散条約(NPT)運用検討会議においても、CTBTの重要性を強調し、NPTの核軍縮・不拡散という目的の達成に必要な一連の現実的措置の第一にCTBTの発効を掲げている。
- 世界が今日直面している最重要課題の一つは、大量破壊兵器に利用できるような物質、技術、知識の拡散を防止することである。CTBT交渉以来、国際的な緊張は次々と現れているが、多国間の軍備管理と不拡散への努力という一層大きな枠組みの中で、今日、本条約の発効が一層緊急な課題となっている。我々は、世界の平和と安全を強化するために、CTBTが極めて重要な役割を有することを確認する。この役割は我々全てが認識しなくてはならない。
- 我々は、すべてのCTBT未署名国及び未批准国、特に発効要件国に対し、可及的速やかに署名・批准することを求める。その実現のため、本条約を最も高い政治レベルによる関心の焦点とすることを目標にして、我々は、地域的及び多国間の会合の場等において、個別にないし共同で、適切な形で申し立てて行く。科学界、NGO及びその他の市民社会にも又、本条約に対する関心を高め、支持を強めていくために果たすべき役割がある。
- 我々は、すべての国に対し、核兵器の爆発的実験及び他のすべての核爆発のモラトリアムを継続するよう要請する。モラトリアムの自発的な継続は極めて重要であるが、条約発効の代わりにはなり得ない。CTBTのみが、国際社会に対し、核兵器の爆発的実験もしくは他の全ての核爆発を終了させる永遠のかつ法的拘束力のある約束に展望をもたらしている。
- 我々は、条約遵守を保証するため、検証機構を構築する機運を維持することが重要だと考える。我々は、すべての署名国に対し、分担金の全額かつ遅滞なき支払いを通じて、可及的速やかに検証制度を構築し、運用するために必要な財政的資源を確保するよう訴える。条約が予見しているように、条約発効の時点までに検証制度を完成させることは、締約国が条約への遵守を果たしている強い証しとなるであろう。
- 検証制度は、世界全体を網羅するという点で、前例のないものとなる。検証制度は、第一義的な機能に加え、地震学的、放射性核種、微気圧振動及び水中音波による観測網を設置し利用することの結果として、技術分野における技術移転及び科学的知見の交換を通じて、特に開発途上国に対し、科学分野及び民生上の利益をもたらすであろう。更に、国家間の技術協力は、既にめざましいCTBTの検証能力を向上させるのに役立つであろう。我々は、署名国間の協力により効果的な技術協力が可能となるべき道筋を探っていくと共に、又、他の諸国に対してこの努力に加わって行くことを要請する。
- 我々は、1996年のCTBT締結により結実した核兵器の実験的爆発の禁止という構想を現実のものとするための努力を惜しまず、又、各国の同僚である外相に対し、この取組みに参加するよう招請する。
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アレクサンダー・ダウナー
オーストラリア外務大臣
ウィリアム・グレアム
カナダ外務大臣
ソレダー・アルベアル・バレンスエラ
チリ共和国外務大臣
ドミニク・ガルゾー・ド・ヴィルパン
フランス共和国外務大臣
ラーズロー・コヴァーチ
ハンガリー共和国外務大臣
川口順子
日本国外務大臣
マルワーン・ムアッシャル
ジョルダン王国外務大臣
ヤープ・デ・ホープ・スヘッフェル
オランダ王国外務大臣
フィル・ゴフ
ニュージーランド外務貿易大臣
崔成泓
大韓民国外交通商部長官
スレ・ラミド
ナイジェリア連邦共和国外務大臣
アラン・バグネル・ティソン
ペルー共和国外務大臣
ブラス・オプレ
フィリピン共和国外務長官
イワノフ、イーゴリ・セルゲエヴィチ
ロシア連邦外務大臣
ヌコサザナ・クラリス・ドラミニ=ズマ
南アフリカ共和国外務大臣
アンナ・リンド
スウェーデン王国外務大臣
シュクリュ・シーナ・ギュレル副首相兼外相
トルコ共和国外務大臣
ジャック・ストロー
英国外務英連邦大臣
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