CTBTフレンズ外相会合の概要と評価
平成16年9月24日
NY時間9月23日10:30~11:15(日本時間23日23:30~24日00:15)、我が国は、フィンランド、豪、蘭(現EU議長国)とともに、ニューヨークの国連本部において、包括的核実験禁止条約(CTBT)フレンズ外相会合を開催し、各国にCTBT早期署名・批准を求める外相共同声明(英文・日本語仮訳)を発出した。我が国からは、川口大臣が出席した(高須在ウィーン代大使、小笠原軍備管理軍縮課長他同席)。
1.CTBTフレンズ外相会合の位置付け
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昨年9月に開催された第3回CTBT発効促進会議(2年毎に開催)の際、日本が主催した外相昼食会において、川口大臣より、CTBT発効促進会議が開催されない本年(2004年)においてもCTBT発効促進の機運を維持・強化するために外相会合を開催することを提案した。これを受けて、日本、豪、フィンランド、蘭が共催国となり、CTBT早期発効を重視している国の外相の参加を得て開催した。なお、CTBTフレンズ外相会合は2002年9月に初めて開催され、今回は2回目の会合となる。
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(2) |
この会合には、共催国の他(但し、豪については選挙のため外相欠席)、韓国、カナダ等27ヵ国から閣僚級が、又、15ヵ国から非閣僚級が参加した。また、阿部国連軍縮局長も出席し、アナン事務総長のメッセージを代読した。
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2.外相会合及び外相共同声明の概要
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外相会合の概要
冒頭、川口大臣より、被爆60周年にあたる明年開催されるNPT(核兵器不拡散条約)運用検討会議に向けて、CTBTの早期発効のための最大限の努力を行う必要があること等を述べた。これに引き続き各国の外相がそれぞれ発効促進活動の重要性を訴えつつ、概ね以下の発言を行った。
(イ) |
日本をはじめとする共催4ヵ国のイニシアティブに対して謝意、評価。
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(ロ) |
CTBTは核兵器の不拡散及び核軍縮の双方にとって極めて重要。
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(ハ) |
CTBT発効まで核実験モラトリアムが継続されることの重要性を再確認し、法的拘束力のあるCTBTの早期発効の重要性についても確認。
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外相共同声明の概要
(イ) |
CTBTは、NPTの無期限延長を可能にした1995年NPT運用検討会議における合意の不可分の一体をなすものであり、CTBTの早期発効は、2000年NPT運用検討会議で核軍縮・不拡散の目標を達成する実際的措置として位置付けられている。
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(ロ) |
CTBTは核兵器に利用可能な物質、技術、知識の拡散防止に向けて重要な貢献を行う。CTBT早期発効問題における進展は、明年のNPT運用検討会議の積極的な成果に資する。
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(ハ) |
CTBT未署名・未批准国、特に発効要件国に対し、可及的速やかにCTBTを署名・批准することを要請する。
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3.評価
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今回のCTBTフレンズ外相会合には、英、仏、露といった核兵器国を含め前回を大きく上回る国より参加者が得られたところ、明年のNPT運用検討会議に向け、CTBT発効促進の機運を維持・強化することができた。
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(2) |
CTBTの発効促進に向けた政治的モメンタムを高める努力は核実験実施に対する抑止力になっている(核実験は99年以来一度も行われていない)と考えられるところ、今次CTBT外相共同声明の発出は、こうしたモメンタムを高める上で有意義であった。
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(3) |
今回の国連総会における日本の主要課題は、国連改革を通して我が国の安保理常任理入りを実現することにあったが、核軍縮・不拡散という国際の平和と安全に直結した分野で今回日本が主導的役割を演じたことは、安保理常任理入りの議論との関係でも有意義であったと考えられる。 |
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