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「日中韓投資取決めのあり得べき形態に関する非公式共同研究」第3回会合

平成16年8月25日

 7月19-20日、中国(北京)において標記の会合が開催された。本共同研究会合は、昨年10月の日中韓首脳共同宣言を受けて、三国間の投資促進を目的に、投資促進による経済効果の分析を始め、投資ルールの強化やビジネス環境の改善などにつき、産学官のメンバーが包括的に議論する場として立ち上げられたものであり、3月の第1回会合(東京)・5月の第2回会合(ソウル)及び今次第3回会合と議論を重ねてきており、9月16-17日に開催される東京会合を経て、本年秋に首脳に報告を提出する予定である。

1.議論のポイント

(1) 投資促進による経済効果

 第1回、第2回会合の成果を基に、投資の更なる促進が、今後の三国間の経済連携の強化に極めて重要であるとして、以下の共通認識が確立されるとともに、これらの分析結果を首脳への報告に盛り込むことで合意。

三国間の投資関係については、我が国の対韓国投資ではIT関連の投資が増えてきている。韓国の対日投資については日韓投資協定による知的財産権保護や内国民待遇の規定による効果により、R&Dセンターの設立等が増えている。中国による対日韓の投資は、大きくはないが、対韓国では半導体や自動車等に係る様々なM&Aが開始されている。

中国はその経済発展において、直接投資がもたらすバランスの取れた経済的効果を多様な形で享受し、最も多くの恩恵を受けてきた。

日韓による対中投資が増加するなか、企業内貿易についても、ローカルに対するスピルオーバー効果が非常にポジティブな影響を及ぼしている。

先進国と途上国間では垂直的な貿易が一般的な傾向であるなか、日中韓では「電子・電気機械」及び「機械設備」では、一定の水平的分業が確立されつつある。

「電子・電気機械」などのデジタル系の技術については、日中韓がそれぞれの投資受入れ環境をさらに整備していくことが、特に欧米との関係において重要となる。

直接投資を含めて対外開放度を上げている国は、国際競争力のランキングにおいてもパフォーマンスが良い。

グローバル時代においては、国境を越えて企業も人もダイナミックに移動するので、国内の自由化を実現出来ない国は世界から遅れていく。日中韓の直接投資のポテンシャルはEUやNAFTAと比べるとまだまだ大きいので、グリーンフィールド投資のみならず、M&Aや戦略的提起による株式の持ち合いを促進し、ビジネスチャンスを拡大することが今後の課題である。

(2) ビジネス環境改善

 我が方より、第1回、第2回会合での議論を踏まえて、透明性確保の方策としてノーアクションレター制度やパブリックコメント制度の拡張・強化知的財産権保護に関する調査委員会の設置、紛争処理に関するコンサルテーション制度投資促進のためのワンストップセンターの設置地方・中央政府の統一的行政運営の推進に向けたキャパシティービルディング等を提案しつつ、これらを短期・中期の観点から具体的なアクションに繋げていくことが重要との指摘を行った。
 中国からはビジネス環境の改善で直ぐには取り組めない内容もあるので、今後は各国の置かれた状況を勘案して、提案内容を個別具体的に検討した上で、一歩一歩進めるべきとの指摘がなされた。

(3) 投資に関する国際ルール

 本議題冒頭のプレゼンテーションにおいて、韓国より、日韓投資協定をグローバルスタンダードのモデルとした日中韓三国間の投資協定を検討すべきとの指摘があるとともに、我が方より、日中投資保護協定と日韓投資協定の比較や、近年の新型投資協定の内容などについて説明を行った。これを受けた主要な議論は以下の通り。

我が方より、日中韓における高いレベルの投資協定が必要性を強調しつつ、具体化に当たっては、投資設立前(プレ)・後(ポスト)のNT(内国民待遇)とMFN(最恵国待遇)や、広範なパフォーマンス要求の禁止、透明性の確保、知的財産権保護、紛争処理メカニズムを参考にすべしと指摘するとともに、今後出来るだけ速やかに交渉に入るべきと指摘した。

中国は、自由度の高い投資ルールがwin-win-win に繋がるとの考え方には一定の同意を示しつつも、各国の発展段階が違いには十分に配慮すべきであることを指摘した。これに対して、我が方は、中国が途上国という主張に対しては、購買力平価で経済規模を計ると中国経済は日本経済よりも大きいとの計算もできることを指摘。中国の成長は極めて短期間の間で実現されたものであるが、その結果として国内市場の開放も同じ急速なスピードでおこなうことが強く期待されている旨指摘した。

中国は、韓国が指摘するような投資に関するグローバルスタンダードとは、単に先進国が主張しているものであって、確固としたものが確立されている訳ではないとした上で、特に、中国としては、プレのNTや知的財産権保護等は自国産業保護の観点からは大いに問題があることを強調した。これに対して、我が方は、中国は投資受入れ国としてのみではなく、投資を行う国となりつつあり、知的財産権保護についても、自国企業の保護・発展に繋がる問題であるとの観点から積極的に取り組んでほしいこと及び中国は、先進国対発展途上国という視点からではなくて、現実の発展のスピードを見て将来を見据えた視点での投資ルールのあるべき姿を検討すべきであると指摘した。

韓国から、新型の投資協定は投資を引きつける牽引力があることを説明し、中国が新型投資協定に躊躇するのであれば、日韓投資協定に反映されているようなS&D(Special and Differential treatment。途上国に対する特別かつ異なる取扱)の措置を執ればよいと指摘した。我が方からは、新しい投資協定には三国ができることを書けばいいのであって、仮に全国的に一律に出来ない事情があるものについては、ビジネス環境改善整備の一環として取り組めばよいことを説明した。

我が方は、日越においても新型投資協定を締結したことを紹介しつつ、世界でも新型の投資協定が増えてきている背景を説明するとともに、日中韓で新しい投資ルールを策定するのであればMAI構想やWTO協定を越える内容をもったものを目指さなければ意味がないことを指摘した。

(4) 首脳への報告の概要

 首脳への報告に盛り込むべき要素として、(イ)「日中韓三ヵ国間の投資促進の経済的効果」、(ロ)「ビジネス環境の改善」及び(ハ)「投資ルールの強化」とすることで合意。ただし、これらの事項に関し、方向性やフレームを示すのみならず、行動志向型なものを首脳に報告すべきとする日韓の主張に対して、中国は、今後の対話促進のメカニズムは置くが、現時点で具体的なアクションに繋がるものには反対の姿勢を崩さなかったので継続協議とした。なお、第4回会合で纏められる本共同研究の成果は、日中韓経済局長会議に諮った上で、首脳に報告される予定。

2.まとめ

 三国間の投資促進を図ることは、自国経済にとっても極めて重要であるとの認識を共有し、日中韓が共同して投資環境を改善する努力を傾注することを確認されたが、本共同研究の成果として、どこまで踏み込んで首脳に報告することが可能かなどについては、同報告の草案を通して、さらに議論することとなった。
 第4回会合では、新型投資協定を含めた投資ルール策定に向けた取組、ビジネス環境改善に向けた具体的なアクションについて、最終的な議論がなされる予定である。


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